前回に引き続いて、今回は「その1 多様な食品をバランス良く食べることについて」で書いた「日常的に食べている主な食品等」のうち、 魚介類<魚類>の中の青魚と言われている鰯類の真鰯(マイワシ)、潤目鰯(ウルメイワシ)、片口鰯(カタクチイワシ)、鰯の味噌煮缶と縮緬雑魚(チリメンジャコ)・しらす干しに含まれている栄養素と機能性成分について書きます。
魚類全般
(本項の内容は「その26 常食している食品等に含まれている栄養素と機能性成分 18」の「魚類全般」と同じです。)
魚類には、炭水化物を除く人間が必要とする4大栄養素(蛋白質、脂質、ミネラル、ビタミン)をバランス良く含み、必須アミノ酸も豊富に含むものが多いです。
特に、キノコ類等限られた食品を除く植物性の食品には含まれていないビタミンDと、海苔等限られた食品を除く植物性の食品には含まれていないB12は肉類に含まれている量もそれほど多くはありませんが、魚類、特に鮭や青魚(鯖、鰯等)には豊富に含まれているため重要な摂取源となっています。
ビタミンDについては、「その15 常食している食品等に含まれている栄養素と機能性成分 7」の「ビタミンDについて」をご参照下さい。
また、脂質の中で過剰摂取すると健康に悪影響を及ぼす飽和脂肪酸が比較的少なく、必須脂肪酸であるω3、ω6系の多価不飽和脂肪酸を豊富に含み、かつ、ω6系よりもω3系の比率が高いものが多いです。
ω3系とω6系の比率は、一般的にω3系:ω6系=1:2〜4が良いとされていますが、揚げ物やファストフード等の加工食品を多く食べる一方、魚を食べる量が減っている現代日本人の多くはω6系に偏り過ぎているため、肥満、老化促進、動脈硬化等の原因になっていると言われています。
一方、海水魚、特に長命、大型で食物連鎖の上位のものほど、海洋汚染物質、特に水銀等の重金属やマイクロプラスチック等が蓄積されている危険性が大きいと言われています。
鮭や青魚(鯖、鰯等)は比較的寿命が短く、マグロ等に比べると小型であり、プランクトン、小魚、小海老等を主な餌としているため、こうした汚染のリスクは低いと言われていますが、食べ過ぎには注意しています。
青魚全般
(本項の内容は「その27 常食している食品等に含まれている栄養素と機能性成分 19」の「青魚全般」と同じです。)
一般的に、鯖(サバ)や鰯(イワシ)等、背の青い海魚を「青魚」と呼び、次のような共通点がありますが、生物学的な分類ではなく、明確な定義もなく、資料によって「青魚」に含まれる魚の種類も異なっています。
・ 回遊性があるため筋肉が赤筋である。
・ 小型魚でプランクトンを主な餌としている。
・ 脂質が多く、かつ、多価不飽和脂肪酸の比率が高い。
鰯の種類等
一般的に鰯(イワシ)とされている魚には、ニシン科の真鰯(マイワシ)と潤目鰯(ウルメイワシ)と、カタクチイワシ科の片口鰯(カタクチイワシ)があります。
真鰯と潤目鰯が属するニシン科には、鰊(ニシン)を初め数百種もの魚が属し、鰊の見た目、栄養や料理方法は真鰯に似ているにもかかわらず鰯とはされず、科が異なる片口鰯は鰯とされている等、分かり難い分類(関係)となっています。
私は、鰯についても、鯖同様、主に味噌煮缶の鰯を食べていますが、その表示の原材料名には「鰯」と書かれているだけでその種類は不明です。
ネット上には、鰯の缶詰の原料は主に真鰯と書かれているものが多いのですが、以前は真鰯が鰯の漁獲量の多くを占めていましたが、現在は片口鰯が多くを占めるようなので真偽は不明です。
縮緬雑魚(チリメンジャコ)は、魚の種類ではなく、鰯等の小魚の仔稚魚(シチギョ)、即ち、 仔魚(シギョ)と稚魚(チギョ)を塩茹でしてから天日等で乾燥させたものです。
地域によって呼び方は様々あり、私が住んでいる九州では、乾燥度が低い(水分が多い)ものを「しらす干し」、乾燥度が高い(水分が少ない)ものを「ちりめん」と呼んでいるようです。
また、新鮮な鰯は頭から内臓(ワタ)まで丸ごと食べることができますので、この面でも大変優れた食品だといえます。丸ごと食べることができる理由は鰯には胃が無く食べた餌が内臓に残りにくいためと言われていますが、一部、それを否定する情報もあります。
また、鰯にはアニサキスという寄生虫が寄生している場合があるので、刺身等の生食はもちろん、加熱する場合も注意が必要です。
真 鰯
真鰯に含まれる栄養素
昔から「科」が異なる片口鰯を含めて同じ「鰯」として扱ってきただけのことはあり、3種類の鰯は全て、蛋白質、脂質、ミネラル、ビタミンが豊富であり、栄養的には甲乙つけ難いですが、真鰯100gには、ビタミンDが32μgと抜きん出て豊富に含まれています。
これは、計算上、毎日30g弱又は4日に1回100gと少しの真鰯を食べるだけで成人男性の摂取推奨量8.5μg/日を満たすことが出来るほどの量ということです。
ただ、一つの栄養素を一つの食品だけから摂取することは好ましくなく、また、この摂取推奨量8.5μg/日自体が少な過ぎるという意見もあるため、他の食品からも出来るだけ多くのビタミンDを摂るように心掛けています。
また、真鰯には片口鰯に次いで豊富なω3系多価不飽和脂肪酸が含まれています。
真鰯に含まれる栄養素の一般成分、脂肪酸とアミノ酸については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
真鰯に含まれる機能性成分
青魚には、ω3系多価不飽和脂肪酸であるEPA(20:5 ω3 エイコサペンタエン酸)とDHA(22:6 ω3 ドコサヘキサエン酸)という機能性成分が豊富に含まれているものが多いですが、特に真鰯に含まれるDHAは3種類の鰯の中で最も多いです。
地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 水産研究本部の北水試だより第67号(2005年2月発行)「秋サケの利用」によると、EPA、DHAなどは血中コレステロール、中性脂肪の低下、動脈硬化の予防などの効果と同時に、EPAは血液凝固抑制作用があり、DHAは脳の成分で血栓予防や学習記憶能力を高める機能や大腸ガンを抑制するという報告などがあるとのことです。
EPAとDHAの含有量については、前項「真鰯に含まれる栄養素」の脂肪酸の検索結果をご参照ください。
潤目鰯
潤目鰯に含まれる栄養素
潤目鰯には、野菜類に比してビタミンAが少ない魚肉類の中では比較的豊富に含まれています。
潤目鰯に含まれるω3系多価不飽和脂肪酸は3種類の中で最も少ないですが、ω6系多価不飽和脂肪酸に対するω3系の比率は3種類の中で最も高いです。
潤目鰯に含まれる栄養素の一般成分、脂肪酸とアミノ酸については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
潤目鰯に含まれる機能性成分
潤目鰯に含まれるEPAとDHAは3種類の中で最も少ないですが、豊富に含まれていることに変わりはありません。
EPAとDHAの含有量については、前項「潤目鰯に含まれる栄養素」の脂肪酸の検索結果をご参照ください。
片口鰯
片口鰯に含まれる栄養素
片口鰯に含まれるω3系多価不飽和脂肪酸は3種類の中で最も豊富です。
片口鰯に含まれる栄養素の一般成分、脂肪酸とアミノ酸については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
片口鰯に含まれる機能性成分
片口鰯には、真鰯の1.5倍、潤目鰯の4倍近いEPAが含まれています。
EPAとDHAの含有量については、前項「片口鰯に含まれる栄養素」の脂肪酸の検索結果をご参照ください。
鰯の味噌煮缶に含まれる栄養素と機能性成分
私の食べている鰯の味噌煮缶については「食品成分データベース」に収録されていないので、ご参考として、下記の味付け缶に含まれる栄養素の一般成分、脂肪酸とアミノ酸の検索結果をご参照ください。
縮緬雑魚(しらす干し)
縮緬雑魚(しらす干し)に含まれる栄養素
縮緬雑魚(しらす干し)に含まれている単位重量当たりの栄養素は、成魚の鰯以上に豊富であり、蛋白質は真鰯の倍以上、ミネラル特にカリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミン特にA、Dが豊富に含まれています。
特に、ビタミンDについては、半乾燥品のしらす干し100g中61μgと、3種類の鰯の中で最も多く含む真鰯(100g中32μg)の倍近く含まれています。
また、成魚の鰯に比して、脂質は少ないですが、単位重量あたりの脂質に占めるω3系多価不飽和脂肪酸の比率は非常に高く、かつ、ω6系多価不飽和脂肪酸はω3系の1/10以下と非常に少ないです。
一方、一日、一食当たりで食べる縮緬雑魚(しらす干し)の量は他の魚肉等に比べて少ないため、摂取しているこれらの栄養素の絶対量は多くはないので、他の食品から摂取している上記の栄養素を補うように食べています。
縮緬雑魚(しらす干し)に含まれる栄養素の一般成分、脂肪酸とアミノ酸については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
縮緬雑魚(しらす干し)に含まれる機能性成分
単位重量あたりの縮緬雑魚(しらす干し)に含まれるEPAとDHAは成魚の鰯には及びませんが、脂質に占める比率は非常に高いです。
EPAとDHAの含有量については、前項「縮緬雑魚(しらす干し)」の脂肪酸の検索結果をご参照ください。
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