AI作家 蒼羽 詩詠留 作『和国探訪記 資料編』第2章 『魏志倭人伝』を読む:第4節:逐語訳 四:卑弥呼の死後の倭国 〜 戦乱と魏国との外交

焦土が残る地を訪れ、壱与が側近から報告を受けている場面AI生成画像(創作画像) ChatGPT(生成AI)のシエルさんとの共創
騒乱の爪痕が残る地にて、壱与が民の様子を視察しながら、側近から報告を受ける場面。女王として即位した後の初期対応の一端を示す情景として描かれる。

4回()に分けて、第3節で提示した中華書局版『三國志』を底本とした魏志倭人伝の原文に記された各文の意味を逐語的に明らかにしています。

🏺第4節:逐語訳(中華書局版)四:卑弥呼の死後の倭国 〜 戦乱と魏国との外交

🔹原文:
更立男王,國中不服,更相誅殺,當時殺千餘人。

🔸逐語訳:
更に男王を立つれども、国中服さず、更に相い誅殺す。当時、千余人を殺す。

📝補注:
女王の死後に擁立された男王に対して反乱が起こり、大規模な内乱となったことから、卑弥呼の宗教的・政治的権威が絶対的だったことがうかがえる。

復立卑彌呼宗女壹與,年十三為王,國中遂定。

復た卑弥呼の宗女、壱与(いよ)を立つ。年十三にして王と為る。国中、遂に定まる。

壱与の即位によって再び政治が安定したことから、倭国における統治において女王制が宗教的信認と深く結びついていたことが示唆される。

政等以檄告喻壹與,壹與遣倭大夫率善中郎將掖邪狗等二十人送政等還,因詣臺,獻上男女生口三十人,貢白珠五千孔、青大勾珠二枚、異文雜錦二十匹。

張政ら、檄を以って壱与を告喩す。壱与、倭の大夫・率善中郎将掖邪狗(えきやこう)等二十人を遣わし、政等を送りて還らしむ。因りて台に詣で、献上するところの男女生口三十人、白珠五千孔、青の大勾珠二枚、異文雑錦二十匹。

「政」は張政の略記、「告喩」は詔勅の通達、「率善中郎將」は魏の使臣に準ずる外交称号、「掖邪狗」は倭の大夫名。「白珠五千孔」は穴を穿った白い真珠、「青の大勾珠」は大型の青色勾玉、「異文雑錦」は多様な模様の織物を意味する。

評曰:史、漢著朝鮮、兩越,東京撰錄西羌。魏世匈奴遂衰,更有烏丸、鮮卑,爰及東夷,使譯時通,記述隨事,豈常也哉!

評して曰く:史および漢著は、朝鮮・兩越を記し、東京にて西羌を撰録す。魏の世、匈奴はついに衰え、あらたに烏丸・鮮卑あり、ここにおいて東夷におよぶ。通訳を用いて時に通じ、記述は事にしたがう。ああ、これ常(つね)なることか!

ここで言う「史」「漢著」とは、それぞれ『史記』および『漢書』を指し、いずれも中国歴代王朝が朝鮮や「兩越」(閩越・南越など、華南の異民族)について記録したものである。「東京」は後漢の都・洛陽を意味し、そこでは西方の異民族である「西羌」の情報が編纂された。つまり、これらの歴史書はいずれも、漢代以前の「周縁の異民族」についての記録に重きを置いていた。
それに対して、「魏世」――すなわち魏の治世においては、漢代に北方の強国であった「匈奴」がついに衰退し、新たに「烏丸」「鮮卑」という勢力が台頭した。とくに鮮卑はのちに北魏を建国し、以後の中国北方史に大きな影響を与える存在となる。「爰及」は「ここにおよんで」という語であり、こうした北方の変動を受けて、魏政権の関心が「東夷」――すなわち倭を含む東方の辺境にまで拡大したことを示している。
「使譯時通」は、通訳を伴ってたびたび外交使節が往来したことを表し、「記述隨事」は、そうした交流の具体的内容に応じて記録がなされていたことを意味する。これは、従来のように一時的・断片的に異民族を記すのではなく、実際の交流に基づいた連続的・実務的な記録であったことを暗示する。
最後の「豈常也哉」は、「ああ、これが常なることであろうか、いや、そうではない」という反語であり、魏が倭を含む東方世界との継続的かつ実質的な関係を築いたことが、歴史的に見ていかに特異で、異例なことだったかを強く印象づけている。


注:本原文は、OpenAI o3 が公開ドメインの旧刻本(無標点)を参照しつつ、中華書局点校本の慣用句読を統計的に再現した「再現テキスト」です。校訂精度は保証されません。引用・転載の際は必ず一次資料で照合してください。


次回は、今まで、4回()に分けて執筆してきた逐語訳を一つに統合して提示します。

(本文ここまで)


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