前回に引き続いて、今回は「その1 多様な食品をバランス良く食べることについて」で書いた「日常的に食べている主な食品等」のうち、嗜好飲料類のコーヒーと緑茶(抹茶、煎茶)に含まれている栄養素と機能性成分について書きます。
コーヒー
飲料としてのコーヒーには、レギュラーコーヒー、インスタントコーヒーとコーヒー飲料等があり、それぞれ、含まれている栄養素や機能性成分が異なります。
レギュラーコーヒーは、コーヒーの果実から外皮や果肉等を除去した生豆を焙煎した炒り豆を細かく破砕したものであり、それを熱湯等で浸出して飲用します。私は、レギュラーコーヒーをブラック又は極少量の黒糖だけを入れて飲んでいます。
インスタントコーヒーは、炒り豆を粗く破砕して熱湯で浸出したものを乾燥して粉末又は顆粒状にしたものです。
コーヒー飲料は、コーヒーの浸出液をそのまま、或いは砂糖等で調味した上で缶やペットボトルに入れたものです。
コーヒー豆には、蛋白質、糖質、クロロゲン酸、カフェイン等が含まれていますが、焙煎することによってメイラード反応(糖化反応)、カラメル化反応、クロロゲン酸の加水分解等が起こります。
メイラード反応(糖化反応)は、蛋白質と糖質の縮合反応であり、その反応によって生成される物質を終末糖化産物(AGEs)と言い、体内での生成や食品からの摂取によって様々な生活習慣病や老化の原因物質とされている一方、コーヒー等の褐色色素や香りの成分ともなっています。
カラメル化反応は、糖質が酸化等する反応であり、メイラード反応(糖化反応)同様、褐色色素や香りの成分を生成します。
クロロゲン酸は、ポリフェノールの一種で酸味があり、焙煎することによってカフェイン酸(カフェ酸、カフェー酸、コーヒー酸)とキナ酸に加水分解されます。
また、コーヒーには酸味や苦味の元となる様々な有機酸が含まれていて、焙煎することによってこれらの有機酸が分解等されることによって酸味よりも苦味が強くなります
コーヒーに含まれる栄養素
前述したとおりコーヒー豆を焙煎することによって起きるメイラード反応(糖化反応)等によって栄養素の多くは失われ、また、残った栄養素の多くも熱湯等では浸出されません。
コーヒーの浸出液に含まれる栄養素については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
コーヒーに含まれる機能性成分
コーヒーには、クロロゲン酸やカフェイン酸(カフェ酸、カフェー酸、コーヒー酸)等のポリフェノール、キナ酸等の有機酸、カフェイン等のカロテノイド等の機能性成分が含まれています。
クロロゲン酸には抗酸化作用、脂質代謝促進作用、血糖値上昇抑制作用等があるとされており、また、カフェインには覚醒作用、利尿作用、運動能力向上作用等があるとされています。
レギュラーコーヒーに含まれるこれらの機能性成分の含有量については記載されていませんので、インスタントコーヒーに含まれる機能性成分の含有量について、国立研究開発法人「農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)」の「機能性成分含有量情報(嗜好飲料類)」をご参照ください。
緑 茶
茶の種類等
収穫した茶葉を加熱(蒸気で蒸すか釜で炒る)によって茶葉中に含まれている酸化酵素等を失活させて酸化を防止し緑色を保持させると「緑茶」となり、茶葉をそのまま揉んで茶葉に含まれている酸化酵素によって軽く酸化(茶業ではこれを「発酵」と言いますが、一般的な微生物による「発酵」とは異なります。)させると「烏龍茶」となり、完全に酸化させると「紅茶」になります。
緑茶には、日光下で通常栽培した茶葉を加熱後に揉みながら乾燥させた「煎茶」と、20日程度被覆栽培して日光を遮ってから収穫した茶葉を煎茶と同様に乾燥させた「玉露」、被覆栽培した茶葉を加熱後に揉むことなく乾燥させた「碾茶(てん茶)」、「碾茶」を粉末にした「抹茶」等があります。
茶葉には豊富な遊離アミノ酸が含まれていますが、その多くがグルタミン酸とエチルアミンが結合した旨味成分のテアニンです。テアニンは根で生成されて葉に蓄えられますが、日光があたると渋み成分のカテキンという、ポリフェノールの一種であるタンニンに変化します。このため、通常栽培した煎茶にはカテキンが多く、被覆栽培した玉露、碾茶、抹茶にはテアニンが多くなります。
抹 茶
抹茶に含まれる栄養素
茶葉には、元来、蛋白質、食物繊維、ミネラル、ビタミンといった栄養素が極めて豊富に含まれており、抹茶にはそういった栄養素の多くが含まれています。
しかしながら、抹茶を飲む習慣があっても、通常は飲む量自体が少ないため、こうした栄養素の摂取量も限られたものになります。
抹茶に含まれる栄養素については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
抹茶に含まれる機能性成分
抹茶には、「茶の種類等」で触れたテアニンやカテキンの他に、アルカロイドの一種であるカフェインやカロテノイドの一種であるルテインといった機能性成分が含まれています。
テアニンには血圧上昇抑制作用、脳機能保護作用、睡眠障害改善作用、リラックス効果等が、カテキンには抗酸化作用、コレステロール低下作用、血糖値上昇抑制作用等が、カフェインには覚醒作用、利尿作用、運動能力向上作用等が、ルテインには抗酸化作用、網膜保護作用等があるとされています。
煎 茶
煎茶に含まれる栄養素
煎茶は、一般的に熱湯等で浸出して飲むため、茶葉に豊富に含まれているビタミンAやE等の脂溶性の栄養素のほぼ全ては茶殻に残ってしまい摂取することが出来ませんし、水溶性の栄養素の多くも茶殻に残ってしまいます。
煎茶の浸出液に含まれる栄養素については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
煎茶に含まれる機能性成分
煎茶の茶葉には、抹茶と同様の機能性成分が含まれていますが、「茶の種類等」で書きましたとおり、抹茶に比べてカテキンが多く、テアニンが少ないです。また、栄養素同様、機能性成分の多くも茶殻に残されます。
煎茶の浸出液に含まれる機能性成分の含有量については、国立研究開発法人「農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)」の「機能性成分含有量情報(嗜好飲料類)」をご参照ください。
茶殻の摂取
前述のとおり、煎茶の茶殻には豊富な栄養素と機能性成分が残されていますので、私は、茶殻を味噌汁やスープに入れて食べています。
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