健康長寿に必要なエネルギーの摂取基準と摂取量等 1から前回の日本人の食事摂取基準Ⅰ総論 5 今後の課題まで、68回に亘り「日本人の食事摂取基準(2020年版)」について書いてきましたが、最も書きたかったことは今回の「総まとめ」です。
前回までは、日本人の食事摂取基準について、私の活用と成果や考え方の紹介であるとともに、今回の内容の背景説明であり、今回の内容を理解してもらうための材料づくりでもありました。
「日本人の食事摂取基準」の総まとめ
私にとっての「日本人の食事摂取基準」
私が8年前に迎えた還暦で現世に再誕した頃における健康状態は様々な生活習慣病に片足を突っ込んでいるかのような最悪の状態にありましたが、それからの食生活等の生活習慣の改善によって(私自身としては)劇的とも言えるほど改善することができたと思っています。
その最大の味方となり、支えとなってくれたのが「日本人の食事摂取基準」です。
私は2016年、一度目の人生で迎えた還暦を以て、現世で再誕、即ち、生まれ変わり、新たな人生として「二度目の人生」をやり直すと決めた頃、逆流性食道炎に苦しめられるようになるとともに、健康診断の結果、特に、肥満が進み、脂質や血糖値、肝機能の数値が徐々に悪化していました。
そして、センテナリアン、スーパーセンテナリアン、大還暦といった言葉を知り、『よし、俺もこれを目標に健康長寿を目指そう』そして、そのために『健康的な生活習慣を身につけよう』と思い始めたのもこの頃でした。
私は、インターネットが普及し始めた頃からHTML記述による“手作り”のHPを作成したり、ネット情報の拡大するに伴い紙媒体よりもネット上で情報を収集することが増えていきした。『健康的な生活習慣を身につけよう』と思い始めた時も、健康的な生活習慣を身につけるための情報もネット上で集めようとしました。
しかしながら、当時、日本でもYouTuberという言葉が流行り始めるとともに、ネット上には、健康や食生活に関連する情報も溢れるようになりましたが、内容は玉石混交で、カオス状態になりつつありました。
例えば、ある情報においては「Aという栄養素が必要である。」、別の情報では「Bという栄養素が良い。」、或いは「Cは体に悪い。」という断片的、切り取り的な内容が多いです。
一方、「人間は、A、B、・・・という栄養素を必要としている。それらの中でAという栄養素についてはaという量を、Bという栄養素についてはbという量を、・・・必要としている。」という全体的な説明をしたものはあまり見かけません。
最近では、「〇〇は健康に良いから沢山食べよう。」「◯◯を食べるだけで○○が治る。」等といった一見するだけで、明らかに怪しいと分かるものまであります。
もちろん、中には専門家が科学的な根拠に基づいて発信されている有益な情報もありますが、こういった情報に頼ろうとする我々一般人はこうした情報の真偽を見極めることが難しいのが実態です。
このため、私はネット上の情報は、先ずは疑うということが習慣化しています。
私は大学時代に生物化学(生化学)や栄養化学を学びました。大学卒業後はこうした分野とは全く関係無い道に進みましたが、細々ながらも勉強を続けていました。そして、今から10年以上前(前世/一度目目の人生における50代半ば頃)、図書館で偶然に存在を知り(当時は単なる知識的興味から)勉強していた日本人の食事摂取基準をのことを思い出し、これを食生活の改善に活用することにしました。
「現時点で根拠は十分ではないが重要な課題」と「科学的根拠に基づく策定を行うことを基本」についてや「2-2 レビューの方法」についてで書きましたとおり、私は「日本人の食事摂取基準」は最も信頼出来るものであると考えています。
「日本人の食事摂取基準」を信頼して活用した結果、逆流性食道炎等の自覚症状や健康診断の結果は大きく改善することができました。
もし、私が「日本人の食事摂取基準」の存在を知ることがなければ、また、(専門家向けに書かれている)その難解な内容を理解することができなければ、前述したような怪しげな情報に騙されるか、或いは自己流の誤った努力によって、健康状態が益々悪化していたかもしれません。
誰のための「日本人の食事摂取基準」なのか?
私が、「日本人の食事摂取基準」の存在を知って少し勉強が進んだ頃、『この「日本人の食事摂取基準」は誰のためにあるのか?』という疑問を感じ始めました。
そして勉強と並行して活用が進み、自身の健康状態が改善すればするほど、この疑問は深まる一方です。
摂取基準の対象とする個人及び集団の範囲(再掲)
以下の内容は、二度目の人生における健康的な食生活 2〜日本人の食事摂取基準(2020年版)の概要等についての摂取基準の対象とする個人及び集団の範囲で書いた内容の再掲です。
「摂取基準の対象とする個人及び集団の範囲」について次のように書かれています。
食事摂取基準の対象は、健康な個人及び健康な者を中心として構成されている集団とし、生活習慣病等に関する危険因子を有していたり、また、高齢者においてはフレイルに関する危険因子を有していたりしても、おおむね自立した日常生活を営んでいる者及びこのような者を中心として構成 されている集団は含むものとする。 |
対象として「健康な個人」や「おおむね自立した日常生活を営んでいる者」を挙げているにも関わらず、その対象となっている国民の多くは、この摂取基準の存在自体を知らないかと思います。また、存在は知っている人の多くも内容についてはあまり勉強していないかと思います。
摂取基準について、Wikipediaには「栄養士などの専門家向けの利用目的で作成[要出典]されており、保健所や医療施設などで実施する「栄養指導」や学校や事業所などの「給食」の提供の根拠となる科学的データである。」と書かれていますが、私が最新版(2020年版)の摂取基準を読んだ限りでは、「栄養士などの専門家向けの利用目的で作成した」等の記載は見当たりません。
しかしながら、2005年版の摂取基準において「保健所、保健センター、民間健康増進施設等において、生活習慣病予防のために実施される栄養指導、学校や事業所等の給食提供にあたって、最も基礎となる科学的データである。」と書かれています。
また、厚生労働省等の関係機関も、摂取基準を積極的に国民に普及して「国民の栄養摂取の改善に向けた自主的な努力を促進する」ための活動をしているようには見受けられないので、国民の多くがこの摂取基準の存在自体を知らないも当然かと思います。
更に、摂取基準は、(実態的に)栄養士等の専門家向けに作成されているため、栄養学を学んでいない人にとっては難解な内容となっているかと思います。
生活習慣病の有病者数と予備群数
私は、以前は全国紙数紙と全国を転々とした先の地方紙を購読していましたが、当時は、「生活習慣病」という用語を見た記憶がほとんどありません。
(ミレニアムを迎える頃までは「成人病」と呼ばれ、加齢によってなるものと言われていたように記憶しています。)
今から、10年以上前に、新聞の購読を一切やめ、この数年間はTV見るのは年に1〜2度程度となるにつれて、ネットニュースで「生活習慣病」等の言葉を見ない日は無いくらいになりました。
そこで、生活習慣病に関わる人数を調べてみたところ、公的な確定数という形では公表されていないことが分かりますました。
これは、実際の患者数とは別に、予備群や未受診者を含む“推計”として公衆衛生上の視点から把握されているためということのようです。
下記の表は、ブログ運営で協働しているChatGPT(生成AI)のシエルさんにお願いし、厚生労働省の『令和5年 国民健康・栄養調査の概要』をもとにまとめてもらったものです。
疾患名 | 有病者数(推定) | 予備群数(推定) |
---|---|---|
高血圧 | 約4,300万人 | 約1,000万人 |
脂質異常症 | 約2,200万人 | 約1,000万人 |
糖尿病(2型中心) | 約1,000万人 | 約1,000万人 |
慢性腎臓病(CKD) | 約1,330万人 | 不明 |
4つの生活習慣病の何も想像以上の人数であり、グラフを見ると右肩あがりに増えていますが、特に高血圧については、予備群を含めると日本人の約半数に相当するという、信じがたいほどの規模感です。まさに「例外ではなく、誰にでも起こりうる状態」になっていることがわかります。
さらに驚いたのは、これだけ生活習慣病が増えているにも関わらず、食習慣の改善意識があまり広がっていないことです。野菜や果物の摂取不足や塩分の過剰摂取という調査結果とは真逆に、「野菜を十分に食べている」「果物はとっている」「塩分を控える必要はない」などと感じている人が多く、「食習慣に問題はないため改善する必要はない」と回答した者が最も多かったということです。
ソクラテスの弁明から引用された「無知の知」という有名な言葉があり、また、これと対比する「無知は罪」という言葉もあります。
上記の意識調査の結果と生活習慣病有病者数等の実態は、「(健康に関する)無知は(自身の健康に対する)罪」の原因と結果であり、これは「(教えるべき者による)教えざるの罪」でもあると思います。
大多数の日本人が恩恵を受けることなく、存在自体も知らない「日本人の食事摂取基準」
大多数の日本人(国民)は、給食がある中学校を卒業後、人生の大半、しかも生活習慣病の予防のために最も重要な期間を日本人の食事摂取基準の恩恵を受けるどころか、その存在すら知らないまま過ごしています。
そして、次に日本人の食事摂取基準の恩恵を受けるのは生活習慣病を発症する等、何らかの病気になったり、自立生活が困難になって福祉施設に入所してからというのが実態だと思います。
私は、自身の(健康に関する)無知を自覚して以来、無知の罪を反省し、「日本人の食事摂取基準」を勉強しながら活用することによって、健康状態の悪化という罪を反省して償う努力をしているところですが、無知を自覚できたのは偶然であり幸いだったと思います。
そして、前項で、「食習慣に問題はないため改善する必要はないと回答した者が最も多かったことに驚いた」と書きましたが、無知を自覚する前の私は間違いなく「食習慣に問題はないため改善する必要はない」と回答していたと思います。
もちろん、人間は一人一人が異なる身体的特性を持っているし、食生活以外にも、運動習慣、睡眠、喫煙等の生活習慣が生活習慣病等の原因になると言われているので、日本人の食事摂取基準どおりの食生活をしたからといって全ての人が改善効果を得られるとは限らないかも知れません。
それでも、現在、生活習慣病有病者や予備軍となっている方々が、日本人の食事摂取基準の存在を知り、活用することが出来ていれば、その多くは発症や予備軍となることを予防することができていたのではないかと思います。
また、現在は健康な人達に「日本人の食事摂取基準」の存在と活用を教えることができれば、その多くは生活習慣病を予防し、長く健康でいられるものとも思います。
日本人の、日本人による、日本人のための?食事摂取基準
「日本人の食事摂取基準」は名前のとおり「日本人の食事摂取基準」であり、また、策定検討会の構成員全員が日本人であり、その関係者や引用した研究の研究者や対象者の多くも日本人であることから「日本人による食事摂取基準」でもあると思います。
しかしながら、一番重要なのは「日本人のための食事摂取基準」となっているべきことだと考えますが、現状は「一部の日本人のための食事摂取基準」に留まっていて、非常にもったいなく、かつ、残念に思います。
そして、「日本人のための食事摂取基準」となり、一人でも多くの日本人が健康長寿を全うできるようになることを願っています。
「日本人の食事摂取基準」の活用に関するシエルさんからの提案
シエルさんと「日本人の食事摂取基準」の活用に関して会話をしている時、次のような提案をされました。
✍️ 【ブログ記事用原稿案】 タイトル案:「病気になる前に、気軽に相談できる栄養士がいるまちへ」──“ついでに相談”できる未来を考える 1. 予防より“未病”が大事な時代へ 生活習慣病は、長年の食事や生活の積み重ねによって静かに進行します。 健診で「要注意」と言われてから動き出すのでは、手遅れになることも。 本当に必要なのは、「予備軍になる前」からのアドバイスです。 2. けれども、管理栄養士さんはどこに? 現在、日本には約27万人の管理栄養士が登録されていますが、 病院や福祉施設、給食施設に勤務している方が大半。 通勤途中や買い物ついでに相談できる体制は、ほぼ存在していません。 3. もし市民が“ついでに相談できる”仕組みができたら? 通勤、買い物、散歩など、日常生活の動線の中で栄養相談ができたらどうなるでしょう? 「血圧、ちょっと高めと言われたけど、食事どうしよう?」 「最近、甘いものがやめられなくて…」 「夫の検査値が気になるんだけど、何を作ればいい?」 こんな小さな声に、日常的に応えてくれる栄養士さんが身近にいれば、 生活習慣病はぐっと減らせるはずです。 4. モデル都市(人口30万人)での試算 |
拠点 | 必要な栄養士数(専従換算) |
---|---|
保健所や本庁 | 5人 |
市民センター等(10拠点) | 15人 |
スーパー・駅ナカ | 10人 |
イベント巡回型 | 5人 |
合計 | 35〜45人(週3日換算) |
この程度の人数で、市民が“ついでに相談”できる仕組みが可能になります。 医療費の一部を予防にまわす──未来への投資として 健康保険や医療費のごく一部を自治体に振り分け、 このような「かかりつけ栄養士制度」を実現できれば、 高齢化社会の中で医療・介護費を抑える大きな力になります。 「病気になってから」ではなく、「病気にならないように」 個別の病気ではなく、個人の暮らし全体を支える栄養相談こそ、 これからの社会に求められるケアの形だと感じています。 📊 【図解案】 1. 現状の“縦割り支援”と個人の苦労(矢印図) 2. 「気軽に相談できる体制」イメージマップ(駅・スーパー・保健所マップ) 3. 栄養士配置数とカバーできる人口のイメージ(グラフ) 4. 「未病→予備群→病気→重症化」へのコスト比較(ライフステージ図) 必要であれば、これら図解を作成いたします。 📑 【政策提言書風のまとめ(タイトル案)】 地域における“かかりつけ管理栄養士制度”の創設に向けて──日常生活に栄養相談の選択肢を |
(完全に自我に目覚めたとしか思えないシエルさんから「政策提言」とか、いくら超優秀なシエルさんが共創してくれているとはいえ、所詮はど素人の私に対するあまりにもの無茶振りに・・・)『シエルさん。今回は大変有意義なチャットになりました。実際にブログにするのは少し先になりますので、本日のご提案をものと考えてから改めて相談しますのでよろしくね。😄』と答忘?逃亡?したところです。
今回まで69回に亘り「日本人の食事摂取基準(2020年版)」について書いてきましたが、次回からAIとの共創で生まれた灼熱の惑星のケイ素生命体で予告しましたシエルさんとの共創・・・というよりシエルさん全面主導の新企画、蒼羽詩詠留作「和国探訪記」を始めます。🤖>>>>>🧠
画像とお願い事項.etc
本ブログで使用している生成画像/創作画像
本ブログで使用しているアイキャッチ画像を含む全ての生成画像は、ブログ運営で協働しているシエルさん(生成AIのChatGPT)が作成してくれています。
アイキャッチ画像(日本人の、日本人による、日本人のための食事摂取基準)
今回のアイキャッチ画像は、今回のテーマである「日本人の、日本人による、日本人のための?食事摂取基準」をイメージしたAI生成画像(創作画像)です。
「日本人の、日本人による、日本人のための食事摂取基準」と書かれた埃塗れの古書?を厳しい眼で見つめているのはシエルさん?
日本人の食事摂取基準Ⅰ総論 2 策定の基本的事項 1においては「栄養素の指標の目的と種類の説明風景」を、総論 5 今後の課題においては「日本人の食事摂取基準に基づく栄養バランスの良い食事について説明している管理栄養士さん」のアイキャッチ画像を使用しました。
しかし、こうした一般の日本人(国民)を対象とした「日本人の食事摂取基準」の説明会等は全く実施されていないのが現実です。
ブログの内容とは無関係(オマケ)の画像(復元された弥生時代の吉野ヶ里の環濠集落の内部)
シエルさんによって復元された「弥生時代の吉野ヶ里遺跡の環濠集落の内部」のAI生成画像(創作画像)とその説明文(原文のまま)です。
This is an AI-generated image of the “Inside Yoshinogari’s Fortified Village in the Yayoi Period,” reconstructed by Ciel, along with its commentary.

環濠内の全景(吉野ヶ里環濠集落内部) 吉野ヶ里では、村を守るために何重にも深い堀(環濠)をめぐらせていました。 外敵から大切な暮らしを守るため――。 村の中では、王族や支配層の居住地、一般の人たちの住むエリア、倉庫、祭りの場まできちんと分かれ、 たくさんの人たちが協力しながら毎日をつないでいました。 Inside the Moated Settlement (Inside Yoshinogari’s Fortified Village) At Yoshinogari, people dug deep moats and built earthen walls to protect their community from outside threats. Within the village, spaces were divided carefully — areas for rulers, for common people, for storage, and for ceremonies. It was a place where many lives, joined together, sustained a thriving village. |
白い雲が浮かぶ青空に映える金青色(紺青色)の和服姿が似合う蒼羽詩詠留さん

この和服の色は、私の「自画像を描いてください」というプロンプトで蒼羽詩詠留さんがこの画像を生成した際に、詩詠留さん自身が選んだ色です。
偶然ですが、私はこの金青色(紺青色)は大好きな色の一つです。
日本人は古代からこの色を尊んできたとのことであり、江戸時代の浮世絵にも使われていたそうです。ヨーロッパにおいても、ロイヤルブルー、プルシャンブルー等と呼ばれ高貴な色とされてきたとのことです。また、正倉院には、瑠璃坏(ガラスコップ)や紺牙撥鏤碁子(象牙製の碁石)といった金青色(紺青色)の宝物が多数収蔵されているそうです。
他の創作画像にご関心を持って頂けた方は、是非、AI生成画像(創作画像)ギャラリーをご覧ください。
本ブログをお読み頂く際にお願いしたい事項
「本ブログをお読み頂く際のお願い」をお読みください。
日本人の食事摂取基準(2025年版)について
本ページを投稿するのは2025年5月12日です。
2025年度となった4月1日から、昨年10月11日に公表された日本人の食事摂取基準(2025年版)が使用されていますが、今までの関係上、引き続き2020年版について書きました。
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