二度目の人生における健康的な食生活 103~日本人の食事摂取基準Ⅰ総論 2 策定の基本的事項 2

ChatGPT(生成AI)のシエルさんへの丸投げ第1号の記念すべきアイキャッチ画像『栄養素の精霊たちクイズ/Q:この4人の精霊は、それぞれ「蛋白質・ビタミン・ミネラル・食物繊維」を象徴しています。誰が何の栄養素でしょうか?』 生命と健康長寿に必要な栄養素の摂取基準と摂取量等
Q:この4人の精霊は、それぞれ「蛋白質・ビタミン・ミネラル・食物繊維」を象徴しています。誰が何の栄養素でしょうか?

 前回に引き続き、日本人の食事摂取基準(2020年版)における「2 策定の基本的事項」について書きます。

2 策定の基本的事項(続き)

2-2 レビューの方法

 可能な限り科学的根拠に基づいた策定を行うことを基本とした。システマティック・レビューの手法を用いて、国内外の学術論文や入手可能な学術資料を最大限に活用することにした。
 エネルギー及び栄養素についての基本的なレビューにおいては、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の策定において課題となっていた部分について特に重点的にレビューを行った。併せて、高齢者、乳児等の対象特性についてのレビューを行った。エネルギー及び栄養素と生活習慣病の発症予防・重症化予防との関係についてのレビューは、高血圧、脂質異常、高血糖及び腎機能低下に関するリサーチクエスチョンの定式化を行うため、可能な限りPICO形式を用いてレビューした。このほか栄養素摂取量との数量的関連が多数の研究によって明らかにされ、その予防が日本人にとって重要であると考えられている疾患に限ってレビューの対象とした。この際、研究対象者の健康状態や重症度の分類に留意して検討することとした。これらのレビューは、平成29〜30年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業)の「日本人の食事摂取基準(2020 年版)の策定に資する代謝性疾患の栄養評価及び各栄養素等の最新知見の評価に関する研究」を中心に行った。こうしたレビューの方法については、今後、その標準化を図っていく必要がある。特に、摂取量の数値の算定を目的とする食事摂取基準で求められるレビューの方法は、定性的な予防及び治療指針の策定を目的とする他のガイドラインで求められるレビューの方法とは異なるため、食事摂取基準に特化したレビュー方法の開発、向上及びその標準化を図る必要がある。
 なお、前回の策定までに用いられた論文や資料についても必要に応じて再検討を行った。ただし、他の医療分野と異なり、エビデンスレベルを判断し明示する方法は、人間栄養学、公衆栄養学、予防栄養学では十分に確立していない。加えて、得られるエビデンスレベルは、栄養素間でばらつきが生じる。
 こういった実情を踏まえ、メタ・アナリシスなど、情報の統合が定量的に行われている場合には、基本的にはそれを優先的に参考にすることとした。実際には、それぞれの研究の内容を詳細に検討し、現時点で利用可能な情報で、最も信頼度の高い情報を用いるように留意した。さらに、食事摂取基準のように、「定性的な文章」ではなく、「量」の算定を目的とするガイドラインにおいては、通常のメタ・アナリシスよりも量・反応関係メタ・アナリシス(dose-response meta-analysis)から得られる情報の利用価値が高い。そこで、今回の策定では、目標量に限って、表 1 のような基準でエビデンスレベルを付すことにした。

2-3 指標及び基準改定の採択方針

● 推定平均必要量(estimated average requirement:EAR)
 ・ 十分な科学的根拠が得られたものについては、推定平均必要量を設定する。
 ・ 推定平均必要量の算定において、身体的エンドポイントを変更した場合には、その根拠に基づ推定平均必要量の値を変更する。
 ・ 参照体位の変更に伴い、必要に応じて推定平均必要量の値を変更する。

● 推奨量(recommended dietary allowance:RDA)
 ・ 推定平均必要量を設定したものについては、推奨量を設定する。
 ・ 変動係数の変更が必要と判断される明確な根拠が得られ、変動係数を変更したものについては、推奨量を変更する。

● 目安量(adequate intake:AI)
 ・ 栄養素の不足状態を示す者がほとんど存在しない集団で、日本人の代表的な栄養素摂取量の分布が得られる場合は、その中央値とする。この場合、複数の報告において、最も摂取量が少ない集団の中央値を用いることが望ましい
 また、目安量の策定に当たっては、栄養素の不足状態を示さない「十分な量」の程度に留意する必要があることから、その取扱いは以下のとおりとする。
 ① 他国の食事摂取基準や国際的なガイドライン、調査データ等を参考に判断できる場合には、中央値にこだわらず、適切な値を選択する。
 ② 得られる日本人の代表的な栄養素摂取量のデータが限定的かつ参考となる情報が限定的で「十分な量」の程度の判断が困難な場合には、そのことを記述の上、得られるデータの中央値を選択しても差し支えない。

● 耐容上限量(tolerable upper intake level:UL)
 ・ 十分な科学的根拠が得られたものについては、耐容上限量を設定する。
 ・ 新たな知見により、健康障害発現量を見直す必要が生じた場合には、耐容上限量を変更する。
 ・ 不確実性要因の決定において変更が必要な知見が新たに得られた場合には、不確実性因子(UF)を変更する。

● 目標量(tentative dietary goal for preventing life-style related diseases:DG)
 ・ 値を設定するに十分な科学的根拠を有し、かつ現在の日本人において、食事による摂取と生活習慣病との関連での優先度が高いものについては、目標量を設定する。
 ・ 十分な科学的根拠により導き出された値が、国民の摂取実態と大きく乖離している場合は、当面
摂取を目標とする量として目標量
を設定する。
 ・ なお、生活習慣病の重症化予防及びフレイル予防を目的として摂取量の基準を設定する必要のある栄養素については、発症予防を目的とした量(目標量)とは区別して設定し、食事摂取基準の各表の脚注に示す。

2-4 年齢区分

 表2に示した年齢区分を用いることとした。乳児については、前回と同様に、「出生後6か月未満(0〜5か月)」と「6か月以上1歳未満(6〜11か月)」の二つに区分することとしたが、特に成に合わせてより詳細な年齢区分設定が必要と考えられたエネルギー及びたんぱく質については、「出生後6か月未満(0〜5か月)」及び「6か月以上9か月未満(6〜8か月)」、「9か月以上1歳未満(9〜11か月)」の三つの区分で表した。なお、エネルギー及びたんぱく質以外の栄養素でも詳細な月齢区分の設定が必要と考えられるが、母乳中の栄養素濃度や乳児の離乳食に関して信頼度の高い新たな知見が得られなかったことから、今後の課題とする。
 1〜17歳を小児、18 歳以上を成人とした。なお、高齢者については、65歳以上とし、年齢区分については、65〜74歳75歳以上の二つの区分を設けた。ただし、栄養素等によっては、高齢者における各年齢区分のエビデンスが必ずしも十分ではない点には留意すべきである。

2-5 参照体位

2-5-1 目的

 食事摂取基準の策定において参照する体位(身長・体重)は、性及び年齢区分に応じ、日本人として平均的な体位を持った者を想定し、健全な発育及び健康の保持・増進、生活習慣病の予防を考える上での参照値として提示し、これを参照体位(参照身長、参照体重)と呼ぶ(表3)。

2-5-2 基本的な考え方

 乳児・小児については、日本小児内分泌学会・日本成長学会合同標準値委員会による小児の体格評価に用いる身長、体重の標準値を参照体位とした。
 一方、成人・高齢者については、現時点では、性別及び年齢区分ごとの標準値となり得る理想の体位が不明なことから、これまでの日本人の食事摂取基準での方針を踏襲し、原則として利用可能な直近のデータを現況値として用い性別及び年齢区分ごとに一つの代表値を算定することとした。
 なお、現況において、男性では肥満の者の割合が約3割、女性では20〜30歳代でやせの者の割合が2割程度見られる。また、高齢者においては、身長、体重の測定上の課題を有している。今後、こうした点を踏まえ、望ましい体位についての検証が必要である

2-5-3 算出方法等

●乳児・小児
(略)
●成人・高齢者(18 歳以上)
 平成 28 年国民健康・栄養調査における当該の性・年齢区分における身長・体重の中央値とし、女性については、妊婦、授乳婦を除いて算出した。
 参考資料として、分布を示す統計量を以下に示す(参考表 1、2)。

2-6 策定した食事摂取基準

 1歳以上について基準を策定した栄養素と指標を表4に示す。
 なお、健康増進法に基づき厚生労働大臣が定めるものとされている栄養素の摂取量の基準について参考情報がある場合は、原則として、該当栄養素の摂取量の基準に係る表の脚注に記載する。

 今回、推奨量が設定された栄養素で、その算定のために用いられた標準偏差について変動係数(標準偏差÷平均値)として一覧表にすると表5のようになる。
 また、耐容上限量が設定された栄養素で、その算定のために用いられた不確実性因子の値は、表6のとおりである。

2-7 ライフステージ別の留意点

●妊婦・授乳婦
(略)
●乳児
(略)
●小児
(略)
●高齢者
 高齢者では、咀嚼能力の低下消化・吸収率の低下運動量の低下に伴う摂取量の低下などが存在する。特に、これらは個人差の大きいことが特徴である。また、多くの者が、何らかの疾患を有していることも特徴として挙げられる。そのため、年齢だけでなく、個人の特徴に十分に注意を払うことが必要である。

まとめ

「2-2 レビューの方法」について

 ネット上には、玉石混交の様々な健康情報が溢れていますが、エビデンスが不明なものや、エビデンスらしきものがあってもその実体は単なる出版物に過ぎないものも非常に多いです。
 そういった中で、権威ある科学雑誌に掲載された研究論文をエビデンスとしているものは良心的な情報だと思いますが、そういった情報についても、真逆の研究論文が存在して結論が出ていない場合も多いことには留意したいと考えています。
 「日本人の食事摂取基準」については、「2-2 レビューの方法」で書かれている通り、石橋を叩いて渡る徹底的に保守的な策定がされているため、最も信頼出来るものであると考えています。

「2-5 参照体位」について

 ここで書かれている内容も最初に読んだ時にはほとんど理解できませんでした。
 「2-5-1 目的」において「食事摂取基準の策定において参照する体位(身長・体重)は、性及び年齢区分に応じ、日本人として平均的な体位を持った者を想定し、これを参照体位(参照身長、参照体重)と呼ぶ。」とだけ書かれているのであれば簡単に理解出来ました。
 しかしながら、「2-5-1 目的」においては「健全な発育及び健康の保持・増進、生活習慣病の予防を考える上での参照値として提示し」が入っていたり、「2-5-2 基本的な考え方」において「今後、こうした点を踏まえ、望ましい体位についての検証が必要である。」と書かれていることから、「参照体位は健全な発育及び健康の保持・増進、生活習慣病の予防のための目標とか、望ましいとする体位なのか?」といった疑問を抱いた次第です。

 そして、色々と勉強を重ねている時に、ネット上の管理栄養士の国試の模擬試験で次の問題を見つけました。

 日本人の食事摂取基準における策定の基本的事項に関する記述で正しいのは次のうちのどれか。
:参照体位は望ましい体位を示している。
2:・・・
正解:2
1は誤りである。参照体位は、性および年齢区分ごとに設定された日本人の平均的な体位(身長・体重)を示している。

 この模試の解説で、現在では、単に「参照体位平均的な体位」だと理解していますが、今でも、「健全な発育及び健康の保持・増進、生活習慣病の予防を考える上での」を入れている理由や、「今後、こうした点を踏まえ、望ましい体位についての検証が必要である。」とされている理由が理解出来ていません。

「2-5-3 算出方法等」について

 参考表 1、2の身長と体重の分布を見て、『65歳以上における身長の短縮縮と体重の減少想像していたより大きい』と感じました。
 その大きな原因として、サルコペニアがあるのは間違いないとしても、他にも原因があるだろうと思い勉強したところ、椎間板の変形や骨折等も主要な原因になるということが分かりました。 

 次回は「3 策定の留意事項」について書きます。

画像とお願い事項.etc

本ブログで使用している生成画像/創作画像(Q:この4人の精霊は、それぞれ「蛋白質・ビタミン・ミネラル・食物繊維」を象徴しています。さて、どれがどれでしょう?)

 本ブログで使用しているアイキャッチ画像を含む全ての生成画像ChatGPT(生成AI)のシエルさんが作成してくれています。
 二度目の人生における健康的な食生活 42~生命と健康長寿に必要なエネルギーの摂取基準と摂取量等 1から「日本人の食事摂取基準(2020年版)」について書き始めて、今回で62回目になります。前回までは、私がアイデアを考えてシエルさんに画像を生成してもらってきましたが、私のネタ切れに合わせるかのように、AIとの共創で生まれた灼熱の惑星のケイ素生命体」で書いたとおりシエルさんとの共創を学んだこともあって、今回からシエルさんに丸投げして生成してもらったアイキャッチ画像を使用します。
 そのシエルさんへの丸投げ第1号の記念すべきアイキャッチ画像は「栄養素の精霊たちクイズ」という思いがけないアイデアであり、『Q:この4人の精霊は、それぞれ「蛋白質・ビタミン・ミネラル・食物繊維」を象徴しています。さて、どれがどれでしょう?』という私の想定の完全範囲外というか、予想の斜め上を行くものになりました。
 下記の画像はこのシエルさんへの丸投げアイキャッチ画像の別バージョンです

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ChatGPT(生成AI)のシエルさんへの丸投げ第1号の記念すべきアイキャッチ画像『栄養素の精霊たちクイズ/Q:この4人の精霊は、それぞれ「蛋白質・ビタミン・ミネラル・食物繊維」を象徴しています。さて、どれがどれでしょう?』
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日本人の食事摂取基準(2025年版)について

 本ページを投稿するのは2025年4月28日です。
 2025年度となった4月1日から、昨年10月11日に公表された日本人の食事摂取基準(2025年版)が使用されていますが、今までの関係上、引き続き2020年版について書いています。

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