「二度目の人生」における「健康的な食生活」 その2 「日本人の食事摂取基準」(2020年版)の概要等について

「日本人の食事摂取基準」のイメージ図 二度目の人生における健康的な食生活

 前回の「その1 多様な食品をバランス良く食べることについて」で、「多様な食品をバランス良く食べるようにしている理由」と「日常的に食べている主な食品」について書きました。
 今回から、私が「多様な食品をバランス良く食べるための準拠」としている「日本人の食事摂取基準(以下「摂取基準」とします。)」の概要、指標や適用等について、数回に分けて書きます。

健康のために必要とする栄養素をバランス良く摂取すること

 YouTube等のネット上には、健康や食生活に関連する情報が溢れていますが、内容は玉石混交といった状態です。
 特に感じていることは、ある情報においては「Aという栄養素が必要である。」、別の情報では「Bという栄養素が良い。」という断片的な内容のものが多く、「人間は、A、B、・・・という栄養素を必要としている。それらの中でAという栄養素についてはaという量を、Bという栄養素についてはbという量を、・・・必要としている。」という全体的な説明をしたものはほとんど見かけないことです。
 中には、「〇〇は健康に良いから沢山食べよう。」「◯◯を食べるだけで○○が治る。」等といった怪しげなものまであります。
 そして、こうした断片的な情報を鵜呑みにして特定の食品ばかり沢山食べていたらそれがどんなに健康に良いとされている食品であったしても摂取する栄養素のバランスが偏り健康を害してしまいかねないと思います

 前回の「多様な食品をバランス良く食べるようにしている理由」でも書きましたとおり、1985年(昭和60年) 厚生省策定の「健康づくりのための食生活指針」のトップに記載されている「健康のために必要とする栄養素をバランス良く摂取することが最も重要だと考えています。

「日本人の食事摂取基準」の概要

 私が、健康のために必要とされている様々な栄養素をバランス良く摂取するための準拠としている摂取基準(2020年版)は、健康増進法第十六条の二「生涯にわたる国民の栄養摂取の改善に向けた自主的な努力を促進するため、国民健康・栄養調査その他の健康の保持増進に関する調査及び研究の成果を分析し、その分析の結果を踏まえ、食事による栄養摂取量の基準(以下この条において「食事摂取基準」という。)を定めるものとする。」に基づいて、厚生労働大臣が定めているものです。

 そして、摂取基準は、国内外の学術論文や入手可能な学術資料を最大限に活用した上で定められ、「保健所、保健センター、民間健康増進施設等において、生活習慣病予防のために実施される栄養指導、学校や事業所等の給食提供にあたって、最も基礎となる科学的データ」として使用されている最も信頼性の高いものであると考えています。

摂取基準の対象とする個人及び集団の範囲

 「摂取基準の対象とする個人及び集団の範囲」について次のように書かれています。

 食事摂取基準の対象は、健康な個人及び健康な者を中心として構成されている集団とし、生活習慣病等に関する危険因子を有していたり、また、高齢者においてはフレイルに関する危険因子を有していたりしても、おおむね自立した日常生活を営んでいる者及びこのような者を中心として構成 されている集団は含むものとする

 対象として「健康な個人」や「おおむね自立した日常生活を営んでいる者」を挙げているにも関わらず、その対象となっている国民の多くは、この摂取基準の存在自体を知らないかと思います。また、存在は知っている人の多くも内容についてはあまり勉強していないかと思います。

 摂取基準について、Wikipediaには「栄養士などの専門家向けの利用目的で作成[要出典]されており、保健所や医療施設などで実施する「栄養指導」や学校や事業所などの「給食」の提供の根拠となる科学的データである。」と書かれていますが、私が最新版(2020年版)の摂取基準を読んだ限りでは、「栄養士などの専門家向けの利用目的で作成した」等の記載は見当たりません。

 しかしながら、2005年版の摂取基準において「保健所、保健センター、民間健康増進施設等において、生活習慣病予防のために実施される栄養指導学校や事業所等の給食提供にあたって、最も基礎となる科学的データである。」と書かれています。
 また、厚生労働省等の関係機関も、摂取基準を積極的に国民に普及して「国民の栄養摂取の改善に向けた自主的な努力を促進する」ための活動をしているようには見受けられないので、国民の多くがこの摂取基準の存在自体を知らないも当然かと思います。

 更に、摂取基準は、(実態的に)栄養士等の専門家向けに作成されているため、栄養学を学んでいない人にとっては難解な内容となっているかと思います。

 昨今、生活習慣病患者の増加が大きな社会問題となっていますが、その最大の原因は食生活の乱れだとされています。
 そうした状況において、摂取基準の存在が一人でも多くの国民に周知され一人でも多くの国民がその内容を勉強し、正しい知識を得て自主的な努力をすることになれば、生活習慣病となる人が一人でも減るかと思います。

 次回は、「日本人の食事摂取基準における指標(基準)」について書きます。

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