前回に引き続いて、今回は「その1 多様な食品をバランス良く食べることについて」で書いた「日常的に食べている主な食品等」のうち、 鳥肉類の中の鶏肉(胸肉、ささ身肉、股肉)と、卵類の鶏卵に含まれている栄養素と機能性成分について書きます。
肉類全般
「日本食品標準成分表」では、肉類を<畜肉類><鳥肉類><その他>に区分しています。
<畜肉類>は哺乳類であり、一般的なスーパーで売られている牛肉や豚肉のほか、馬肉(バニク)、羊肉(ヨウニク)、鯨肉(ゲイニク)、鹿肉(シカニク)、猪肉(シシニク)、猪豚肉(イノブタニク)、兎肉(ウサギニク)、山羊肉(ヤギニク)が掲載されています。
<鳥肉類>は鳥類であり、鶏肉(ケイニク、トリニク、ニワトリニク)のほか、鶉肉(ウズラニク)、鵞鳥肉(ガチョウニク)、 鴨肉(カモニク)、雉肉(キジニク)、七面鳥肉(シチメンチョウニク)、雀肉(スズメニク)、鳩肉(ハトニク)、珠鶏鳥肉(ホロホロチョウニク)が掲載されています。
<その他>としては、爬虫類の鼈肉(スッポンニク)、両生類の蛙肉(カエルニク)、昆虫類の蝗(イナゴ)と蜂(ハチ)が掲載されています。
肉類は、一般的に、蛋白質、ミネラル、ビタミンが豊富で炭水化物が少ないですが、その種類によって含まれる栄養素や機能性成分が大きく異なり、かつ、同じ種類の肉類でも、それぞれの品種、飼料、生育年数や部位によっても大きく異なる場合が多いです。
鶏肉全般
鶏肉は、一般的に、蛋白質が豊富で、9種類の必須アミノ酸のバランスも優れており、ビタミンの中では特にエネルギー代謝における補酵素として必要不可欠なB群が豊富で、脂質が少ないです。
鶏肉には、大きく分けて親鶏(オヤドリ)と若鶏(ワカドリ)があり、親鶏は卵を産まなくなった採卵用の品種の廃鶏で、若鶏はブロイラー、即ち、食肉用の品種です。
ネット上には、鶏肉にはビタミンAが豊富であるといった情報もありますが、それは親鶏だけであり、若鶏に含まれるビタミンAは親鶏の1/5程度です。
私が常食している鶏肉は若鶏の胸肉であり、時々、若鶏のささみ肉と股肉も食べます。
親鶏を食べることはほとんどありませんが、比較・参考のため親鶏の胸肉についても書きます。
若鶏胸肉
若鶏胸肉に含まれる栄養素
若鶏の胸肉には、若鶏の3部位(胸・ささ身・股)の中では、ささ身肉に次いで蛋白質が豊富で、脂質が少なく、何れもささ身肉との差は僅かです。
このため、若鶏の胸肉はささ身肉とともに、ヘルシーな肉であり、また、筋トレに相応しいとされています。
若鶏の胸肉(皮なし)に含まれる栄養素の一般成分とアミノ酸については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
若鶏胸肉に含まれる機能性成分
鶏胸肉には、イミダゾールジペプチド(イミダペプチド)という機能性成分が含まれています。イミダゾールジペプチドとは、イミダゾール基を有するアミノ酸結合体の総称で、人間を含む様々な動物の骨格筋や脳に含まれており、特に、鳥類や回遊魚など長時間連続して運動する動物の骨格筋(鳥類は胸肉、魚類は尾鰭屈筋)中には豊富に含まれています。
Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療)vol. 36 no. 3 2008「CBEX-Dr 配合飲料の健常者における抗疲労効果」には次のように書かれています。
(前略) トリ胸肉中にはイミダゾールジペプチドであるカルノシン,アンセリンが豊富に含有されており,ヒトや動物の骨格筋や脳などに高濃度に存在する。運動時には組織が酸化傷害を受け,疲労の一因となることが知られているが,イミダゾールジペプチドは抗酸化作用をもつことが報告されており,酸化傷害を抑制すると考えられている。 (中略) CBEX-Dr(60 mLあたりイミダゾールジペプチドとして400mg)配合飲料は 4 週間摂取後の 4 時間身体作業負荷の条件下において,身体的パフォーマンスの低下抑制作用および疲労感上昇の低減作用がみられ,抗疲労効果が示された。その作用機序は本飲料に含まれるイミダゾールジペプチドがもつ抗酸化作用によるものであると推測しうる。CBEX-Dr 配合飲料は肉体的疲労を感じる人に適した食品であると考えられた。 |
若鶏ささ身肉
若鶏ささ身肉に含まれる栄養素
若鶏のささ身肉には、若鶏の3部位(胸・ささ身・股)の中で、最も蛋白質が豊富であり、最も脂質が少なく、最もヘルシーな肉であると言われています。
若鶏のささ身肉に含まれる栄養素の一般成分とアミノ酸については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
若鶏ささ身肉に含まれる機能性成分
「若鶏胸肉に含まれる機能性成分」で書きましたイミダゾールジペプチド(イミダペプチド)という機能性成分はささ身肉にも豊富に含まれています。
若鶏股肉
若鶏股肉に含まれる栄養素
若鶏の股肉(モモニク)には、若鶏の3部位(胸・ささ身・股)の中で、最も蛋白質が少なく、最も脂質が多いですが、その差は然程多くはないので、牛肉や豚肉と比べたらヘルシーな肉であり、また、胸肉やささ身肉より食感が良いため、私は蒸し焼き等で食べる時は股肉を選ぶことも多いです。
若鶏の股肉(皮なし)に含まれる栄養素の一般成分とアミノ酸については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
若鶏股肉に含まれる機能性成分
「若鶏胸肉に含まれる機能性成分」で書きましたイミダゾールジペプチド(イミダペプチド)という機能性成分は股肉にも含まれていますが胸肉やささ身肉よりも少ないです。
親鶏胸肉
親鶏胸肉に含まれる栄養素
親鶏の胸肉には、若鶏よりも豊富な蛋白質が含まれており、ビタミンAは若鶏の3部位の3〜10倍も含まれ、他の栄養素も若鶏と比べて遜色はありませんが、食感が好みではないため私はほとんど食べることはありません。
親鶏の胸肉(皮なし)に含まれる栄養素の一般成分とアミノ酸については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
親鶏胸肉に含まれる機能性成分
「若鶏胸肉に含まれる機能性成分」で書きましたイミダゾールジペプチド(イミダペプチド)という機能性成分は親鶏胸肉にも同様に含まれています。
鶏 卵
鶏卵に含まれる栄養素
鶏卵は、炭水化物、特に食物繊維とビタミンC以外の、人間が必要とする全ての栄養素がバランス良く含まれている優れた食品です。
特に、鶏肉にはあまり含まれていないカルシウム、ビタミンA、D、E、B2、B12、葉酸が比較的豊富に含まれています。
鶏卵に含まれる栄養素の一般成分とアミノ酸については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
鶏卵に含まれる機能性成分
鶏卵には、リン脂質の一種であるレシチンという機能性成分が含まれています。
「健康長寿ネット」の「レシチン・コリンの効果と摂取量」には次のとおり書かれています。
レシチンとは レシチンはフォスファチジルコリンとも呼ばれ、約13%のコリンを含むリン脂質(リンを含む脂質)の一種で、細胞膜の主成分です。脳神経や神経組織を構成します。レシチンなどのリン脂質が不足すると、細胞膜が正常に働かなくなったり、コレステロールが蓄積することもあります。またレシチンの働きは水と油を混ぜ合わせる乳化作用、酸化防止作用、保水作用などがあります。 レシチンの効果 アルツハイマー型認知症を予防 アルツハイマー型認知症の原因の1つに脳内神経伝達物質であるアセチルコリンの量が減ることです。アセチルコリンはコリントアセチルCoAからできていますが、コリンはレシチンからできています。材料であるレシチンやコリンが不足すると、神経伝達物質が生成されなくなってしまうため、徐々に記憶力の低下や認知症などを引き起こします。 動脈硬化の予防 動脈硬化の原因はLDLコレステロールが血液中に蓄積したことによっておこりますが、レシチンの性質である乳化作用によって、血液中のコレステロールが溶け、余分なコレステロールが血管壁に溜まるのを防ぎ、血液中のコレステロールの量をコントロールします。さらにレシチンが多いと、HDLコレステロールが増えるため、LDLコレステロールコレステロールが減ります。 肝臓の機能を高める レシチンは細胞膜を活性化する働きもあるので、肝臓の細胞も活性化させ、肝機能を保護する働きがあります。脂肪肝は肝臓に脂肪が蓄積された状態なので、レシチンによって脂肪の代謝がアップすると肝臓の機能も高まります。 脂質の代謝を活発 レシチンの構成成分であるコリンは肝臓で行われる脂質の代謝に必要です。肝臓での脂質が蓄積されるのを防ぐため、脂肪肝などを予防します。 美肌効果 レシチンの乳化作用によってコレステロールが血液中から排泄されるため、血流が良くなり、酸素や栄養素が全身に行き渡るため、肌に必要な栄養素がいき美しい肌が維持できます。 また、レシチンの乳化作用は脂溶性ビタミン(油に溶けやすい性質)である、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKの吸収も助けてくれます。 |
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