前回に引き続いて、今回は「多様な食品をバランス良く食べることについて」で書いた「日常的に食べている多様で健康的な食品等」のうち、重曹(重炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム)の作用(機能、働き) とそれを摂取している理由・効果について書きます。
重曹の概要
重曹(NaHCO3)とは、重炭酸曹達(ジュウタンサン ソーダ)の略称であり、別名(旧名称)を重炭酸ナトリウム、正式名称を炭酸水素ナトリウムと言います。「重炭酸(イオン)」は「炭酸水素イオン(HCO3–)」 のことで、「曹達(ソーダ)」は本来は重曹(NaHCO3)や塩(塩化ナトリウム、NaCl)を構成する「ナトリウム(Na)を意味する英語のsoda(ソーダ)」の当て字です。
また、重炭酸の重は、明治時代に、他の化合物同様、英語のbi-carbonateのbi(二つ、2倍等の意味の接頭語)を「重」と翻訳したからです。ネット上には『重曹(炭酸水素ナトリウム)は炭酸ナトリウムより比重が重いから』という説明が流布されていますが、重曹(炭酸水素ナトリウム)の比重約2.159は、炭酸ナトリウムの比重約2.532よりも軽いのでこの説明は完全な間違いです。
重曹は、最も身近なところでは、パンやクッキー等の生地を膨らませるための膨らし粉()=ベーキングパウダーとしてや、食器やキッチン・洗面台のシンク(流し台)の水垢落とし、ヌメリ落としとして使用されています。
水垢落とし等としては、前回書いたクエン酸も用いられますが、油汚れや皮脂汚れが原因の水垢等(酸性)にはアルカリ性の重曹が、水道水に含まれているミネラル分や石鹸が原因の水垢等(アルカリ性)には酸性のクエン酸が効果的です。
また、重曹には化学的な効果に加えて、細かい結晶粒子による研磨効果による汚れの除去もあります。一方、クエン酸も細かい結晶粒子ですが、直ぐに水に溶解しますので研磨効果はほとんど期待できません。
なお、濃度にもよりますがクエン酸の酸度はそこそこ強目なのに対して、重曹のアルカリ度は弱いのでネット上に流布されている『重曹による酸性物質の中和』云々は話半分以下で考えておいた方が良いと思います。
現在の炭酸水は水に高圧の炭酸ガス(二酸化炭素)を溶け込ませて生産されていますが、かつてはクエン酸を含む柑橘類の搾り汁に、その後、工業生産されたクエン酸に重曹(重炭酸曹達)を加えて炭酸ガス(二酸化炭素)を発生させて生産されていました。炭酸水をソーダ水(曹達水)と呼ぶのはその頃の名残であり、前述したとおり、本来はナトリウム(Na)の意味であったソーダ(曹達)が今では炭酸水、更には炭酸ガス(二酸化炭素)の意味のようになってしまいました。
因みに、米国でも本来ナトリウム(Na)の意味であったsoda(ソーダ)が炭酸水の意味を持つようになっているようです。
蛇足ながら、1920年創立の「日本曹達株式会社」の創立時の事業は、創立者中野友禮氏が開発した「中野式食塩電解法」による苛性曹達(カセイソーダ、水酸化ナトリウム、NaOH)の製造です。その後事業拡大に伴い様々な化学製品を製造しており、その中に重曹を含むソーダ(ナトリウム)関連の製品は多くありますが、私が同社のHPを検索した限りは炭酸水(所謂、ソーダ水)は見当たりませんでした。
また、私が子供の頃に食べていた夏蜜柑は物凄く酸っぱかったため、その酸味を砂糖で味覚的に中和するか、重曹をふりかけ化学的に中和して食べていました。
重曹は、上記の他にも、粉末式消火剤、中和剤、食品や医薬品の原料や添加剤をはじめとして、様々な工業製品の原材料となっています。
なお、重曹1gには、食塩0.7gに相当するナトリウム(Na)が含まれているので重曹を使用した食品の摂取には注意が必要です。
重曹の作用(機能、働き)
薬剤としての効能又は効果
重曹は薬剤の成分となっており、その「効能又は効果」は次のとおりとなっています。
1 経 口 (1)下記疾患における制酸作用と症状の改善 胃・十二指腸潰瘍、 胃炎(急・慢性胃炎、薬剤性胃炎を含む)、上部消化管機能異常(神経性食思不振、いわゆる胃下垂症、胃酸過多症を含む) (2)アシドーシス注1の改善、尿酸排泄の促進と痛風発作の予防 2 含嗽(がんそう)注2・吸入 上気道炎の補助療法(粘液溶解) 注1:アシドーシスには、酸の生産過剰による血液中の酸の蓄積または血液中からの重炭酸塩の過剰な喪失が原因で発生する代謝性アシドーシスと、肺機能や呼吸速度が低下し、血液中に二酸化炭素が蓄積して生じる呼吸性アシドーシスとがあります。(MSDマニュアル家庭版) 注2:うがい |
ネット上で書かれている重曹の作用(機能、働き)
ネット上では、重曹の作用(機能、働き)について、胃酸過多(胸焼け、二日酔い等)の中和、疲労回復、口臭改善、便秘改善、疲労回復等が謳われています。
これらのうち、胃酸過多(胸焼け、二日酔い等)の中和については、「薬剤としての効能又は効果」にもあるとおりですが、その他の作用(機能、働き)についてはエビデンスが不明です。
重曹を摂取等している理由と効果
私が重曹を摂取等している理由は次のとおりです。
1 逆流性食道炎の症状緩和
詳細については、二度目の人生における本気の生活習慣の改善 10~8年近くの「本気の生活習慣改善の成果」等についての逆流性食道炎と健康診断結果の改善等の概要をご参照ください。
2 Uberの配達時等における疲労回復と塩分補給
「疲労回復と塩分補給のため」というより、上記の「逆流性食道炎の症状緩和」のために重曹水を飲む時に、疲労回復の効果も期待し、序でに塩分補給もしているということです。
3 歯磨き粉の代替
詳細については、二度目の人生における本気の生活習慣の改善 9〜その他の生活習慣の改善(喫煙、飲酒、ストレス、入浴、歯磨き、清潔)の歯磨きをご参照ください。
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