前回に引き続いて、今回は「その1 多様な食品をバランス良く食べることについて」で書いた「日常的に食べている主な食品等」のうち、 畜肉類の中の豚肉(ロース赤肉、ヒレ赤肉、モモ赤肉)に含まれている栄養素と機能性成分について書きます。
肉類全般
(本項の内容は「常食している健康的な食品の栄養素と機能性成分 21」の「肉類全般」と同じです。)
「日本食品標準成分表」では、肉類を<畜肉類><鳥肉類><その他>に区分しています。
<畜肉類>は哺乳類であり、一般的なスーパーで売られている牛肉や豚肉のほか、馬肉(バニク)、羊肉(ヨウニク)、鯨肉(ゲイニク)、鹿肉(シカニク)、猪肉(シシニク)、猪豚肉(イノブタニク)、兎肉(ウサギニク)、山羊肉(ヤギニク)が掲載されています。
<鳥肉類>は鳥類であり、鶏肉(ケイニク、トリニク、ニワトリニク)のほか、鶉肉(ウズラニク)、鵞鳥肉(ガチョウニク)、 鴨肉(カモニク)、雉肉(キジニク)、七面鳥肉(シチメンチョウニク)、雀肉(スズメニク)、鳩肉(ハトニク)、珠鶏鳥肉(ホロホロチョウニク)が掲載されています。
<その他>としては、爬虫類の鼈肉(スッポンニク)、両生類の蛙肉(カエルニク)、昆虫類の蝗(イナゴ)と蜂(ハチ)が掲載されています。
肉類は、一般的に、蛋白質、ミネラル、ビタミンが豊富で炭水化物が少ないですが、その種類によって含まれる栄養素や機能性成分が大きく異なり、かつ、同じ種類の肉類でも、それぞれの品種、飼料、生育年数や部位によっても大きく異なる場合が多いです。
豚肉全般
豚肉は、鶏、豚、牛の3種類の肉類の中では、鶏肉に次いで蛋白質が豊富であり、鶏肉との差もごく僅かで、9種類の必須アミノ酸のバランスも優れています。
脂質は鶏肉より多いですが、その差もごく僅かです。
更に、多くのミネラルとビタミン、特に様々な代謝に必要不可欠なB群は鶏肉や牛肉より豊富であり、栄養素の観点からだけなら、豚肉は最も優れた肉類であり、嗜好的にも私は豚肉は好きです。
一方、豚肉や牛肉のような赤肉には発癌リスクがあると言われているので常食はしない一方、国立研究開発法人 国立がん研究センターの「赤肉・加工肉のがんリスクについて」には、「日本人の赤肉の摂取量は世界的に見ても低く、平均的摂取の範囲であれば大腸がんのリスクへの影響はほとんど考えにくい」と書かれているので、時々は豚肉や牛肉も食べています。
豚肉の部位の中で店頭に多く並んでいるのは、ロース、ヒレ、モモ、バラですがバラ肉は脂質が多いため、私は、豚肉を食べる時は、出来るだけ脂肪が少ないロース、ヒレ、モモを選んで買うようにしています。
なお、ネット上には、豚肉や牛肉にはLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を抑制するオレイン酸(18:1ω9)が豊富に含まれているので健康に良いという情報を見かけますが、オレイン酸は必須脂肪酸ではなく(人体内で合成可能)、また、豚肉や牛肉に含まれている脂質の多くは過剰摂取すると様々な生活習慣病の原因となる不飽和脂肪酸であることに留意しています。
なお、「日本食品標準成分表」においては、豚肉を大型種肉と中型種肉に区分していますが、一般的に売られている豚肉の多くは大型種肉とのことなので、今回は大型種肉のデータを用いています。
豚ロース赤肉
豚ロース赤肉に含まれる栄養素
豚肉の3部位(ロース、ヒレ、モモ)に含まれている栄養素の量には大きな差はありませんが、ロースの赤肉には、蛋白質、脂質、カルシウム、ビタミンA、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン(ヒレ赤肉と同量)が最も豊富に含まれています。
豚ロースの赤肉に含まれる栄養素の一般成分とアミノ酸については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
豚ロース赤肉に含まれる機能性成分
「若鶏胸肉に含まれる機能性成分」で書きましたイミダゾールジペプチド(イミダペプチド)という機能性成分は、鶏肉より少ないものの豚肉にも含まれています。
ネット上には、脂肪酸の代謝によるエネルギー産生に重要なカルニチンは豚肉や牛肉の赤肉に豊富に含まれているといった情報がありますが、ほとんどの人は必要とする量のカルニチンを自身の体内で合成しています。なお、何らかの原因によってカルニチンを十分に合成できない人はこうした赤肉の摂取が有効とも言われています。
豚ヒレ赤肉
豚ヒレ赤肉に含まれる栄養素
豚ヒレの赤肉には、カリウム、マグネシウム、鉄(モモ赤肉と同量)、亜鉛(同左)、ビタミンD、K、B1、B2、B6、B12、ビオチン(ロース赤肉と同量)が最も豊富に含まれています。
豚ロースの赤肉に含まれる栄養素の一般成分とアミノ酸については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
豚ヒレ赤肉に含まれる機能性成分
「豚ロース赤肉に含まれる機能性成分」をご参照下さい。
豚モモ赤肉
豚モモ赤肉に含まれる栄養素
豚モモの赤肉には、鉄(ヒレ赤肉と同量)、亜鉛(同左)、葉酸が最も豊富に含まれています。
豚モモの赤肉に含まれる栄養素の一般成分とアミノ酸については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
豚モモ赤肉に含まれる機能性成分
「豚ロース赤肉に含まれる機能性成分」をご参照下さい。
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