前回に引き続いて、今回は「その1 多様な食品をバランス良く食べることについて」で書いた「日常的に食べている主な食品等」のうち、発酵食品のうちの植物性の酒粕、黒酢と、発酵食品ではありませんがそれに準ずる梅干しに含まれている栄養素と機能性成分について書きます。
酒 粕
酒粕に含まれる栄養素
酒粕の「粕(カス)」は「必要な部分を取り去ったあとの残りもの。役に立たないつまらないもの。」といった意味ですが、酒粕には、食物繊維、様々な代謝に必要不可欠な亜鉛、エネルギー代謝における補酵素として必要不可欠となるB2、B6、葉酸が豊富に含まれています。
酒粕に含まれる栄養素については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
酒粕に含まれる機能性成分
日本醸造協会誌117巻2号p. 76-82(2022年2月)『発酵食品「酒粕」の潜在カー老化抑制や脳機能活性化の可能性一』によると、酒粕には、S-アデノシルメチオニン(SAM)、ポリアミン、グリセロホスホコリン(GPC)、アグマチンといった機能性成分が含まれているとのことです。
また、同誌117巻9号p. 627-634(2022年9月)『甘酒中のレジスタントプロテインの機能性解析について』によると、酒粕等に含まれるレジスタントプロテイン(RP)の機能性として動物実験により脂質代謝の改善効果や肥満抑制効果などがあり、ヒトにおいては便通改善効果、 LDLコレステロール低減効果や肥満抑制効果があることが証明されたとのことです。
黒 酢
黒酢に含まれる栄養素
黒酢を含む食酢は液体食品であるため、単位重量当たりの栄養素の含有量は多いとは言えず、かつ、一般的な飲量も多くない(食酢の過剰摂取は胃や喉、食道などの上部消化管の粘膜を傷める恐れがあります。)ため、黒酢から摂取できる栄養素も多いとは言えません。
黒酢に含まれる栄養素については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
黒酢に含まれる機能性成分
黒酢を含む食酢は、世界的に発酵食品としての歴史が古く、また、古来から健康に良いとされてきました。
近年になって科学的に黒酢の健康効果も研究され、様々な健康効果が明らかになってきましたが、黒酢を含む食酢には、様々な遊離アミノ酸や有機酸等の機能性成分が含まれているため、何の成分がどういった効果を持っているのかは研究途上にあるようです。
以下、そういった研究に関する文献の一端を記載します。
日本醸造協会誌85巻3号p.134-141(1990年)「酢の機能性について」
日本醸造協会誌116巻3号p.151-159(2021年3月)「鹿児島の壺造り黒酢の新たな健康機能性」
一般財団法人 旗影会助成研究(2022年度)「醸造酢に含まれる酢酸菌菌体由来成分の機能性」
一般財団法人 旗影会助成研究(2022年度)「酢酸菌を含む壺酢もろみが腸内細菌叢および免疫機能に及ぼす影響の評価」
梅干し
梅干しは、食塩等に漬けただけで発酵していないため「発酵食品」ではありませんが、梅干しにすることにより、栄養素や機能性成分の種類や含有量が変化するため、私は発酵食品に準ずる食品として食べています。
なお、未成熟の梅の果実(以下「梅」とします。)にはアミグダリンという青酸配糖体が含まれているので食べてはいけないとされています。
梅干しに含まれる栄養素
梅干しの材料である梅に含まれている栄養素の多くは、梅干しにすることによって水分とともに外に排出されるために減少します。
また、梅にはナトリウムの体外排出作用により血圧を下げる効果があるカリウムが比較的豊富に含まれていますが、梅干しにすることによってカリウムが減少することに加えて、ナトリウムがカリウムの15倍以上に増えるため、梅とは逆に血圧を上げることになります。
梅干しに含まれる栄養素と、比較のための梅に含まれる栄養素については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
梅干しに含まれる機能性成分
梅干しには、クロロゲン酸等のポリフェノールや、5-ヒドロキシメチルフルフラール(5-HMF)、クエン酸等の有機酸といった機能性成分が含まれています。
5-HMFは、一般的には馴染みのない機能性成分ですが、糖類を加熱すると生成する成分であり、カラメル色素やくん製の匂いの一成分です。
5-HMFとクエン酸がエステル結合して生成するムメフラールには血流改善機能があるとされています。
クエン酸は、人間を含む多くの生物の細胞内にあってエネルギーを産生するミトコンドリアのクエン酸回路の名前にもなっている重要な成分であり、ネット上では、脂質や糖質の代謝促進、乳酸の消費による疲労・筋肉痛抑制、血液のアルカリ性維持、キレート作用によるミネラルの吸収促進等の作用があるとするものが多いです。
一方、こうした効果を否定する意見もありますが、私の場合、生活習慣の改善に加えてクエン酸を摂って体脂肪を減少したことにより10年間私を苦しめてきた逆流性食道炎の症状をほぼ無くすことが出来ました。
梅干しに含まれるポリフェノールや5-ヒドロキシメチルフルフラール(5-HMF)の含有量については、国立研究開発法人「農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)」の「機能性成分含有量情報(果実類)」をご参照ください。
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