前回に引き続いて、今回は「その1 多様な食品をバランス良く食べることについて」で書いた「日常的に食べている主な食品等」のうち、 魚介類<魚類>の鮭(白鮭)、銀鮭、紅鮭に含まれている栄養素と機能性成分について書きます。
魚類全般
魚類には、炭水化物を除く人間が必要とする4大栄養素(蛋白質、脂質、ミネラル、ビタミン)をバランス良く含み、必須アミノ酸も豊富に含むものが多いです。
特に、キノコ類等限られた食品を除く植物性の食品には含まれていないビタミンDと、海苔等限られた食品を除く植物性の食品には含まれていないB12は肉類に含まれている量もそれほど多くはありませんが、魚類、特に鮭や青魚(鯖、鰯等)には豊富に含まれているため重要な摂取源となっています。
また、脂質の中で過剰摂取すると健康に悪影響を及ぼす飽和脂肪酸が比較的少なく、必須脂肪酸であるω3、ω6系の多価不飽和脂肪酸を豊富に含むものが多いです。
以上のことから、出来るだけこうした魚類は食べた方が良いと言われています。
一方、海水魚、特に長命、大型で食物連鎖の上位のものほど、海洋汚染物質、特に水銀等の重金属やマイクロプラスチック等が蓄積されている危険性が大きいと言われています。
鮭や青魚(鯖、鰯等)は比較的寿命が短く、マグロ等に比べると小型であり、プランクトン、小魚、小海老等を主な餌としているため、こうした汚染のリスクは低いと言われていますが、食べ過ぎには注意しています。
鮭の種類等
店頭で売られている「鮭」は、一般的に「サケ・マス類」と言われている分類学上の「サケ科」の中の一部であり、「鮭(白鮭)」「銀鮭」「紅鮭」があります。
この中で、日本国内の河川に遡上して繁殖するのは鮭(白鮭)だけであり、このため、「鮭」と言うと「白鮭」を指す場合が多いようです。また、銀鮭は東北地方において養殖されたものが多く、紅鮭のほとんど全てはロシア極東地域や米国のアラスカから輸入されています。
養殖の銀鮭は、天然の鮭(白鮭)や紅鮭に比べて、蛋白質が少なく、その分、脂質が多いです。
養殖された銀鮭は年間を通じて店頭に並びますが、天然の鮭は産卵する河川の河口に近づいた頃が漁期となり、日本で産卵する鮭(白鮭)の旬は秋で、ロシアやアラスカで産卵する紅鮭の旬は夏になります。
特に、秋に店頭に並ぶ鮭(白鮭)は「秋鮭」という特別感のある銘で売られる場合が多く、秋刀魚とともに秋を代表する魚です。
ロシアで産卵するため夏場に日本沿岸に近づいたところを漁獲された鮭(白鮭)は「時鮭(ときざけ)」「時不知(ときしらず)」などと洒落た名前で呼ばれますが、流通量が少なく、また、卵や精子が熟す前なので脂の乗りがよく他の栄養も豊富で高値になるため、主に贈答用となり普通のスーパーで見かける機会はほとんど無いと思います。
鮭(白鮭)
鮭(白鮭)に含まれる栄養素
3種類の鮭の中で、白鮭に最も豊富に含まれる栄養素は、カルシウム、鉄、ビタミンB2、ナイアシン、B6、葉酸、ビオチンです。
また、白鮭に含まれるω3系多価不飽和脂肪酸(多くの日本人が不足していると言われています。)は、紅鮭と同量で、銀鮭の半分以下ですが、ω6系多価不飽和脂肪酸(多くの日本人が過剰に摂取していると言われています。)は3種類の鮭の中で最も少ないです。
白鮭に含まれる栄養素の一般成分、脂肪酸とアミノ酸については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
鮭(白鮭)に含まれる機能性成分
鮭(白鮭)、銀鮭、紅鮭には、カロテノイドであるアスタキサンチン、ω3系多価不飽和脂肪酸であるEPA(20:5 ω3 エイコサペンタエン酸)とDHA(22:6 ω3 ドコサヘキサエン酸)といった機能性成分が含まれています。
日本補完代替医療学会誌 2008年5巻3号p.173-182「補完代替医療素材としてのアスタキサンチン」によると、アスタキサンチンには、抗酸化作用、抗炎症作用、血流改善作用、メタボリックシンドロームにおける複数の作用、眼における作用、肩こり改善効果、虚血性疾患に対する効果、ピロリン菌に対する作用、スポーツにおける効果、美肌効果、男性不妊症改善作用等があるとされています。
地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 水産研究本部の北水試だより第67号(2005年2月発行)「秋サケの利用」によると、EPA、DHAなどは血中コレステロール、中性脂肪の低下、動脈硬化の予防などの効果と同時に、EPAは血液凝固抑制作用があり、DHAは脳の成分で血栓予防や学習記憶能力を高める機能や大腸ガンを抑制するという報告などがあるとのことです。
EPA、DHAの含有量が多いのは銀鮭(養殖)、紅鮭、白鮭の順であり、特に銀鮭(養殖)に含まれるDHAは紅鮭や白鮭の倍近くあります。EPA、DHAの含有量については、それぞれの脂肪酸の検索結果を、また、アスタキサンチンの含有量については上記「秋サケの利用」の表1をご参照ください。
銀鮭(養殖)
銀鮭(養殖)に含まれる栄養素
3種類の鮭の中で、銀鮭(養殖)に最も豊富に含まれる栄養素は、脂質、亜鉛、ビタミンA、E、パントテン酸です。
また、銀鮭(養殖)には、多価不飽和脂肪酸とその中のω3系不飽和脂肪酸(多くの日本人が不足していると言われています。)が3種類の鮭の中で最も豊富に含まれていますが、ω6系多価不飽和脂肪酸(多くの日本人が過剰に摂取していると言われています。)もω3系の3/4以上含まれています。
銀鮭に含まれる栄養素の一般成分、脂肪酸とアミノ酸については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
銀鮭(養殖)に含まれる機能性成分
「鮭(白鮭)に含まれる機能性成分」の項をご参照ください。
紅 鮭
紅鮭に含まれる栄養素
3種類の鮭の中で、紅鮭に最も豊富に含まれる栄養素は、蛋白質、カリウム、マグネシウム、ビタミンD、B1、B12です。
また、紅鮭に含まれるω3系多価不飽和脂肪酸(多くの日本人が不足していると言われています。)は、白鮭と同量で、銀鮭の半分以下ですが、ω6系多価不飽和脂肪酸(多くの日本人が過剰に摂取していると言われています。)は白鮭に次いで少なく、その差も僅かです。
紅鮭に含まれる栄養素の一般成分、脂肪酸とアミノ酸については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
紅鮭に含まれる機能性成分
「鮭(白鮭)に含まれる機能性成分」の項をご参照ください。
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