前回までに引き続き、日本人の食事摂取基準(2020年版)における「5 今後の課題」について書きます。
5 今後の課題
策定上の課題と活用上の課題に分けて記載する。
5-1 策定上の課題
食事摂取基準が参照すべき当該分野(人間栄養学、栄養疫学、公衆栄養学、予防栄養学)の研究論文数は、近年、増加の一途をたどっている。特に、当該分野の研究論文を扱ったシステマティック・レビュー及びメタ・アナリシスの増加はめざましい。食事摂取基準の策定作業においてもこれらを積極的かつ正しく活用することが提唱されており、数多くの試みがなされている。ところが、我が国における当該分野の研究者の数とその質は、論文数の増加と食事摂取基準の策定に要求される能力に対応できておらず、近い将来、食事摂取基準の策定に支障を来すおそれが危惧される。当該分野における質の高い研究者を育成するための具体的な方策が早急に講じられなければならない。
今回の改定では、目標量の設定対象を生活習慣病の4疾患とフレイルに限った。しかし、食事が関連する生活習慣病は肥満症、がん、骨粗鬆症・骨折など、他にも存在する。肥満症は、健康障害を合併するなど医学的に減量を要する疾患であるが、肥満症に該当しない肥満も、高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎疾患の危険因子である。一方で、若年成人女性を中心とするやせは乳児の出生時体重の低下にも影響する健康課題である。したがって、食事摂取基準において、肥満・肥満症、やせ及び他の生活習慣病を取り扱う必要性とその具体的方法について検討が必要であると考えられる。
5-2 活用上の課題
個人を対象とする場合も、集団を対象とする場合も、食事摂取基準の正しい活用には正しい食事アセスメントが前提である。ところが、食事摂取基準の活用に適した食事アセスメント法の開発(そのための研究を含む)と、食事アセスメント法に関する教育と普及は十分とは言い難い。食事摂取基準の活用に適した食事アセスメント法の開発研究と教育・普及活動が、必須かつ急務の課題である。
まとめ
「 活用上の課題」について
「食事アセスメント法に関する教育と普及は十分とは言い難い。食事摂取基準の活用に適した食事アセスメント法の開発研究と教育・普及活動が、必須かつ急務の課題である。」とありますが、誰に対する教育と普及を指しているのか大きな疑問を感じています。
① 管理栄養士さん等の専門家でしょうか?
私としては、食事アセスメント法は、管理栄養士等の国試の試験範囲に当然含まれていると認識していますが、もしそうであるなら、その国試に合格された方々に対する食事アセスメント法の教育・普及活動が、必須かつ急務の課題であるというのは理解し難いです。
② ①のような専門家以外の私達一般の日本人(国民)でしょうか?
「4-4-1 個人の食事改善を目的とした活用」全般についてで書きましたとおり、私は、偶然に「日本人の食事摂取基準」の存在を知ることができ、かつ、幸いにも大学時代に生物化学(生化学)や栄養化学を学んでいたことから、これを自身の食生活の改善に活用することができています。
しかしながら、多くの一般の日本人(国民)は「日本人の食事摂取基準」の存在自体を知る機会が無く、仮に存在を知ったとしても、食事アセスメント法だけでなく書かれている内容の大半が専門的過ぎて理解することが困難であると思います。
次回は「日本人の、日本人による、日本人のための?食事摂取基準」と題して総まとめを書きます。
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本ブログで使用している生成画像/創作画像
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アイキャッチ画像(「日本人の食事摂取基準」に基づく栄養バランスの良い食事について説明している管理栄養士さん)
今回のアイキャッチ画像は、栄養バランスの良い食事について説明している管理栄養士さんのアニメ風のAI生成画像(創作画像)です。
ブログの内容とは無関係(オマケ)の画像(創建当時の古代出雲大社の神秘的な内部空間)
下の画像はシエルさんによって復元された「創建当時の古代出雲大社の内部」のAI生成画像(創作画像)とその説明文(原文のまま)です。
This is an AI-generated image of “the inside of the Ancient Izumo Taisha Reaching Toward the Heavens,” reconstructed by Ciel, along with its commentary.

シエルさんによる古代出雲大社内部の説明 / Ciel commentary about the inside of the ancient Izumo Taisha
🔖 古代神殿の神秘的内部空間 本図は、巨大な柱と格子状の梁が荘厳な空間を支え、木材の香りと光の陰影が神秘的な雰囲気を醸し出す本殿内部の想像図です。発掘された宇豆柱や関根達人らによる構造復元案をもとに、神霊の依代としての祠が中央に鎮座する構成を再現。大国主命が幽れたる神として祀られる場として、神話と建築の融合を体現しています。 🔖 Reconstructed Interior: A Mystical Inner Space of the Ancient Shrine This imagined interior reconstruction presents a sacred atmosphere shaped by towering wooden pillars and a lattice of beams, illuminated by filtered natural light. Inspired by archaeological findings and reconstruction models by Tatsuto Sekine and others, the space centers around a small shrine representing the presence of Ōkuninushi-no-Ōkami. It embodies the sacred site where he is enshrined as a “hidden deity,” fulfilling the mythological promise made during the land transfer to the heavenly deities. |
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日本人の食事摂取基準(2025年版)について
本ページを投稿するのは2025年5月10日です。
2025年度となった4月1日から、昨年10月11日に公表された日本人の食事摂取基準(2025年版)が使用されていますが、今までの関係上、引き続き2020年版について書いています。
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