前回までのミネラルの摂取基準と摂取量等に引き続き、今回は「日本人の食事摂取基準(2020年版)」における水の摂取量等について書きます。
Ⅱ各 論 1エネルギー・栄養素 〈参考〉水
1 基本的事項
水は、全ての生命にとって不可欠の物質であり、かつ、単独の物質としてはヒトの身体で最大の構成要素である。ヒトでは、年齢及び除脂肪体重などによって異なるものの、水は体重のおよそ60%を占めている。水は、細胞内液及び細胞外液(血漿、間質液)を構成し、全ての生化学反応の場を提供している。また、栄養素の輸送及び老廃物の排泄のための溶媒として機能し、体温調節においても重要な役割を担っている。
ヒトが体内で利用する水は、摂取される水と代謝水の二つからなる。水の体外への排泄は、尿、皮膚、呼吸、糞便を通じて行われる。通常、両者は量的に釣り合っている。また、代謝水と呼吸を通しての水の排泄はほぼ量的に等しいと考えられている。したがって、水の摂取量と尿、皮膚、糞便を通じた排泄量の総量とは、ほぼ等しいことになる。
2 水の必要量を算定するための根拠
水が、ヒトの生命維持及び健康維持に不可欠であることは明らかである。水の必要量を算定するためには、出納法と水の代謝回転速度を測定する方法が知られている。これらの方法を用いた結果によると、水の必要量は生活活動レベルが低い集団で 2.3〜2.5 L/日程度、生活活動レベルが高い集団で3.3〜3.5 L/日程度と推定されている。しかしながら、その必要量を性・年齢・身体活動レベル別に算定するための根拠は、いまだに十分には整っていない。そのために、例えばアメリカ・カナダの食事摂取基準では推定平均必要量(及び推奨量)ではなく、目安量が設定されている。ヨーロッパ諸国でも同様の方法を採用している。なお、ドイツでは、成人(18 歳以上)の目安量は年齢にかかわらず、男女それぞれ 2,910、2,265 mL/日としている。
日本人成人(30〜76 歳)男女242人の習慣的な水摂取量を16日間半秤量式食事記録法で調べた報告によれば、平均摂取量は男性2,423g/日、女性2,037g/日、男女合計で2,230 g/日であり、30〜49歳で2,121g/日、50〜76歳で2,324 g/日であった(図1左)。年齢が上がるほど水摂取量が多くなる傾向は、間接的ではあるが、24時間尿量を用いた日本人における研究でも観察されている(図1右)。同じく日本人を対象としたインターネットによる質問調査では、水道水の摂取量は1人当たり平均1.28 L/日、潜在的な水道水摂取量は1人当たり平均1.65L/日、2.0L/日が88パーセンタイルに当たり、ほぼ全員をカバーする摂取量は2.5 L/日よりも多いだろうと推定している。
水の摂取源は、欧米諸国では食物由来がおよそ20〜30%、飲み物由来が70〜80%と報告されている。一方、日本人は、水分含量が『パン』よりも高い『めし』と『麺類』を多く摂取する結果、食物由来が1,130g/日(51%)、飲物由来が1,100g/日(49%)と報告されている。また、皮膚からの水の排泄、すなわち発汗は周辺の気温の影響を受けるとの報告があり、日本人成人(30〜76歳)でも、各季節の平均摂取量(男女平均)は、秋・冬・春・夏でそれぞれ 2,280、2,135、2,172、2,331g/日と報告されている。

3 生活習慣病の発症予防及び重症化予防
十分な量の水の習慣的摂取が健康維持に好ましいとする考えは広く存在するが、その科学的根拠は必ずしも明確ではない。その中で、腎結石・尿管結石の発症予防や再発予防、慢性腎臓病の発症予防及び重症化予防に関して幾つかの報告が存在する。便秘についても幾つかの研究があるものの、結果は必ずしも一致していない。
4 目安量の策定
水の必要量を算定するためには、出納法を用いた研究又は水の代謝回転速度を測定した信頼度の高い研究が複数必要であるが、性・年齢・身体活動レベル別に算定できるほどには整っていない。
このような場合、目安量を策定することになるが、健康な日本人の水摂取量を詳細に検討した研究報告は成人で一つ存在するのみであり、そのために目安量を策定することは難しいと考えた。
5 今後の課題
災害発生時の対応等に対しても水の目安量は重要である。我が国において質の高い記述疫学研究の増加が求められる。
私の水の摂取量とまとめ
水の摂取量
水の摂取量は細かく計算してはいませんが、Uberの配達等での運動量が多いことと、入浴中における炭酸水の摂取により飲物として2,000g/日以上、また、濃縮野菜ジュース、豆乳、林檎等を加えたオーバーナイトオーツや鍋料理等を常食しているため食物としても1,500g/日以上、合わせて3,500g/日以上の水を摂取していると思います。
この量は、日本人成人の平均摂取量を1,000〜1,500g/日上回り、過剰摂取ではないかと気にはなっていますが、今までのところ、水中毒等、自覚している健康への悪影響はありません。
まとめ(十分な量の水を摂取している効果)
私は、前世における若い頃の夏に尿管結石(尿路結石)になったことがあります。その頃における結石の原因となるシュウ酸やカルシウムの摂取量はそれほど多くはありませんでしたので、最大の原因は運動に伴う発汗量に見合う水の摂取が不足していたことだったと考えています。
その後、食生活の改善に伴い、ブロッコリー等の野菜類、ナッツ類、ハイカカオチョコレート、緑茶、コーヒー、ココア等、特にシュウ酸を多く含む食品の摂取量が増え続けてきましたが、今までのところ尿管結石は再発していません。
シュウ酸の吸収量を減らすため出来るだけカルシウムも同時に摂取するように心掛けていますが、(過剰摂取かもしれませんが)十分な量の水分摂取も尿管結石の予防に寄与しているかと考えています。
また、最近の健康診断で一番気になっているのは、一時は慢性腎臓病(CKD)の疑いがあるとされるG3aのステージに近づいた腎機能の検査結果ですが、現在のところ未だG2(正常または軽度低下)の範囲内で止めることができているのも、十分な量の水分摂取も寄与しているのではないかと考えています。
次回から、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」における高齢者の特性等について書きます。
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