二度目の人生における健康的な食生活 39〜常食している健康的な食品の栄養素と機能性成分 31

柑橘類とクエン酸のイメージ画像 二度目の人生における健康的な食生活

 前回に引き続いて、今回は「多様な食品をバランス良く食べることについて」で書いた「日常的に食べている多様で健康的な食品等」のうち、クエン酸作用機能、働き) とそれを摂取している理由・効果について書きます。

クエン酸の概要

 クエン酸は、柑橘類や梅などの植物食酢等の発酵食品に含まれる有機酸であり、爽やかな酸味腐敗防止作用を有することから清涼飲料水等の食品添加物として、また、炭酸カルシウム等の溶解作用を有することから電気ポット、加湿器、便器等の水垢落としとして広く使用されています。
 水垢落としとしては、次回に書く重曹も用いられますが、水道水に含まれているミネラル分や石鹸が原因の水垢等アルカリ性)には酸性のクエン酸が、油汚れや皮脂汚れが原因の水垢等酸性)にはアルカリ性の重曹効果的です。

 また、クエン酸には、経験的に疲労回復等の様々な効果があると言われています。その作用について、以前から「エネルギー産生のためのクエン酸回路の名称ともなる極めて重要な成分であることに関連して説明している説」を喧伝しながらサプリメント等としても販売されていますが、現在では、こうした説には否定的意見が増えています

クエン酸の作用(機能、働き)

  公益財団法人 コーセーコスメトロジー研究財団のコスメトロジー研究報告第26号(2018年発行)No23「クエン酸による細胞機能の調節機構:美容および美白、老化における役割」には次のとおり書かれています。(要旨)

1. 緒 言
 クエン酸は、細胞内小器官であるミトコンドリアで働くクエン酸回路TCA回路またはKrebs回路)を動かす 8 種類の酸のうちの 1 つである。酵母からヒトまで、真核生物のあらゆる細胞がミトコンドリアをもっており、クエン酸合成から始まるクエン酸回路によって細胞のエネルギー源であるアデノシン三リン酸(ATP)が産生される。一方、細胞質にはクエン酸回路の前段階にあたる解糖系が存在し、クエン酸回路に比べて効率が悪いもののATPを産生することができる。
 多くの細胞では、好気的条件下ではクエン酸回路を使ったATP産生が行われる。一方、癌細胞では好気的な環境下であっても解糖系を使ってATPが産生されることが知られており、Warburg効果(ワールブルク効果、または好気的解糖)と呼ばれ。癌細胞においてWarburg効果が生じるメカニズムは未だに不明であるものの、解糖系からクエン酸回路への切り替えにはクエン酸合成が必須であることから、クエン酸合成酵素の何らかの機能異常または機能獲得がWarburg効果を引き起こしている可能性が考えられる。
 クエン酸は柑橘系果物の果汁の主成分だけでなく、補助食品(サプリメント)としても販売されており、容易に体内に摂取することができる。さらに、クエン酸には様々な効能があることが知られている。最も知られているのは疲労回復効果であり、クエン酸には筋肉における乳酸の濃度を低くする作用が知られている。また美容に関しても、皮膚の弾力性を高める作用が知られている。一方、クエン酸摂取によって癌細胞が形成されにくくなるといった作用が知られている。それ以外にも、骨粗鬆症の予防効果高血圧の予防効果通風や結石の改善効果などが知られている。しかしながら、実はクエン酸の効能については実際に証明された例は少なく科学的根拠が乏しいのが現状である。例えば、クエン酸の作用として知られる「疲労回復」、「筋肉や神経の疲労予防」について、科学的に検証を試みたものの証明に至らず、最近では否定的な見方もされている。さらに、クエン酸を主成分とする医薬品がないことも、クエン酸の健康への効果が疑問視される一因となっている。
 ただし、クエン酸による細胞毒性は報告されておらずクエン酸細胞の呼吸活性の制御に必須あるという事実については疑う余地がない。そのため、クエン酸を効率よく細胞に摂取する方法、または、細胞内におけるクエン酸合成酵素の活性を上昇させる方法(例えば、食材や飲料成分)が明らかになれば、クエン酸は「若さの持続」のカギを握る物質として再認識されるかもしれない。そこで本研究では、クエン酸の健康や美容における効果科学的に検証するとともに、クエン酸の摂取方法およびクエン酸合成酵素を活性化させる物質の同定についても検討した。

2. 方 法
2.1. 遺伝子改変マウスの作製
 クエン酸合成酵素(citrate synthase、以下CS)は、ミトコンドリア内に存在する酵素であるが、一方ではミトコンドリア外の細胞質にも存在する。しかしながら、このことはあまり知られていない。我々は、ミトコンドリア外に存在するCS(extra-mitochondrial CS、以下eCS)をコードする遺伝子を欠損させたマウスeCs遺伝子欠損マウス)を作製して解析を行った。

2.2. 色素細胞(メラノサイト)の体外培養

2.3. 細胞内のカルシウム波の測定

2.4. 免疫染色

2.5. ウエスタンブロット解析

3. 結 果
3.1. eCs遺伝子欠損マウスにおけるメラニン色素産生異常
 CSは、ミトコンドリア内に存在する酵素である一方、ミトコンドリア外の細胞質にも存在するが、このことはあまり知られていない。CSはすべての細胞の呼吸系を司る酵素であるため、CS変異マウスは発生初期の段階で致死になるはずである。そのため、Cs欠損マウスを用いて成体におけるクエン酸の役割を解析することは困難である。ただし、マウスでは、CS以外に、ミトコンドリア外CS(eCS)をコードするもう1つの遺伝子(eCsが存在する。そこで、常法に従って胚性幹細胞を用いてeCs遺伝子欠損マウスを作製した。
 マウスの遺伝的背景を黒色系統のC57BL/6 にしたところ、eCs遺伝子欠損マウス(以下、KOマウス灰色を呈した。1990 年代までに毛色を決定する遺伝子はすべて同定されたはずであるが、eCSは色素形成を調節しているタンパク質として働いている可能性が出てきた。そこで、マウスの背中の 4 種類の毛のうち 2 種類(AwlとZigzag)を比較したところ、KOマウスでは明らかに含有されるメラニン色素の量が少なかった。そこで毛を回収し、抽出液中に含まれるメラニン色素の量を吸光度で測定したところ、有意な差が認められた。また、eCs遺伝子を欠損させた領域にはβ-ガラクトシダーゼ(LacZ)遺伝子を挿入していたため、LacZ染色によってeCs遺伝子の発現領域を調べたところ、小脳の特定の神経細胞層にeCSの発現が認められた。
 一方、精巣にも発現が認められ、さらに精巣の重量がKOマウスでは有意に低下していることもわかった。メラニン色素の量が低下した原因として、⑴メラニン色素の合成量の低下、⑵メラノサイトの細胞数の低下、が推測された。そこでこれらの点について検討を行ったところ、メラノサイトの細胞数がKOマウスでは有意に低下していることが明らかになった。
 続いて、eCSが関与するメラニン色素の産生過程を明らかにすることを試みた。eCSはcAMPの毛幹の上皮細胞層における産生および分泌に重要な役割を果たしていることが考えられた。

3.2. eCSによる雄の生殖能力の制御
 eCS雄の生殖能力にも関与している可能性が考えられた。そこで、eCSタンパク質の発現を調べたところ、精子で発現していることがわかった。さらに野生型精子を抗eCS抗体によって免疫染色したところ、精子頭部に発現量が多いことがわかり、明らかにミトコンドリアの局在とは異なっていた

4. 考 察
 本研究ではeCSが「メラノサイトによるメラニン色素の生成」および「男性の生殖機能」の両方に必須であることを初めて明らかにした。
 小脳におけるeCSの発現についてはまだ検討段階である。小脳も「うつ病」「自律神経失調症との関連があることから今後検討する必要がある。一方、動物、植物、微生物に存在するホルモンとして知られるメラトニンは、概日リズムを司り、我々の睡眠を制御する物質であるが、メラトニンの分泌メラニン色素生成、さらには生殖機能には深い関係があることが報告されている。また、我々の研究からも生殖系に異常を生じるマウスにおいて、神経系にも異常を示すことを報告している。神経系、色素形成、生殖系が何らかのメカニズムによってつながっている可能性が考えられる。

5. 総 括
 本研究から、ミトコンドリア以外に存在するクエン酸合成酵素の重要性が明らかになったクエン酸は、我々にとって容易に摂取できるものであるため、その生理作用については正確な知識が必要である。本研究から、クエン酸の役割について科学的根拠が提示され、クエン酸合成酵素の新しい機能の解明につながると考えられる。皮膚の老化や、小脳の機能へのeCSの関与についても今後検討する必要がある。

クエン酸を摂取している理由

 大学時代にワンダーフォーゲル部で登山サイクリングをしていた頃から、レモン水や梅干しで疲労回復を図って来たことから、経験的にクエン酸による疲労回復効果を実感していて、また、直接的又は間接的に脂肪や糖質の代謝促進効果もあると考えていました。

 そして、還暦を以て現世に再誕し二度目の人生を本気で生きようとしていた矢先に、一度目の人生を含む私の人生において最悪の健康状態となり本気で生活習慣の改善に取り組み始めました
 その一環として食生活の改善運動のためにクエン酸を摂取し始めました。

 なお、一日当たりのクエン酸の摂取量は、摂取し始めた頃は持病の逆流性食道炎に悪影響を与えないように数g程度から始めて徐々に増やし、最大時は15g程度オーバーナイトオーツに混ぜたりUberの配達時の水分補給用のクエン酸水にしたり、入浴時に飲んでいる炭酸水に混ぜたりしていました。
 その後、体脂肪の減少に伴いクエン酸の摂取量を徐々に減らし、更に黒酢を摂り始めてからそれに含まれるクエン酸量に相当する分を減らして、現在は3g程度オーバーナイトオーツに混ぜるだけとなっています。

クエン酸を摂取している効果

 私の場合、クエン酸クエン酸を含む黒酢梅干し摂取による運動中運動後における疲労回復効果を実感しています。
 また、クエン酸や黒酢梅干しの摂取を含む生活習慣改善の成果、特に体脂肪を減少したことにより10年間私を苦しめてきた逆流性食道炎の症状をほぼ無くすことが出来ました。

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