前回までに引き続いて、今回は「その1 多様な食品をバランス良く食べることについて」で書いた「日常的に食べている主な食品等」のうち、ブロッコリー、小松菜、ほうれん草に含まれている栄養素と機能性成分について書きます。
ブロッコリー
ブロッコリーに含まれる栄養素
ブロッコリーは、アブラナ科に属する野菜類(ここで言う「野菜類」は「日本食品標準成分表」と「食品成分データベース」で分類されている「野菜類」のことです。)であり、同科の野菜類は栄養素が豊富なものが多いですが、その中でもブロッコリーは蛋白質が豊富であり、かつ、アミノ酸のバランスも比較的に良好です。
更に、食物繊維や、ミネラルの中では浸透圧調整やナトリウム排出作用があるカリウム、ビタミンの中では、様々な代謝に必要不可欠なB群(B12を除く。)、特に葉酸が豊富であり、抗酸化作用を有するEやCも比較的に豊富です。
ブロッコリーに含まれる栄養素の一般成分とアミノ酸については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
ブロッコリーに含まれる機能性成分
ブロッコリーを含むアブラナ科の野菜類に含まれているイソチオシアネートの一種であるスルフォラファンという機能性成分の抗癌作用や抗炎症作用等について研究がされています。
スルフォラファンについては、独立行政法人理化学研究所 (旧)植物科学研究センターの「がん予防成分を多く含む 健康機能野菜の開発に向けて」をご参照ください。
また、ブロッコリー等の緑黄色野菜に含まれているカロテノイドの一種であるルテインという機能性成分が加齢黄斑変性の予防に効果があるとされています。ルテインについて、「第112回 日本眼科学会総会 宿題報告Ⅱ(平成21年3月10日)」の「Ⅱ 機能性食品因子による網脈絡膜病態の是正 2.ルテインの脈絡膜血管新生に対する効果」に次のとおり書かれています。
ルテイン/ゼアキサンチンは,カロテノイドと呼ばれる天然色素の一種である.カロテノイドは二重結合を多く含むため,一重項酸素を消去する能力が高い.ヒトの体内に存在するカロテノイドのうち,ルテイン/ゼアキサンチンのみが選択的に黄斑部に取り込まれる.ルテインを摂取すれば一定量のゼアキサンチンの光学異性体メソゼアキサンチンに転化されるため,ルテインの摂取は黄斑色素の補給に効果的である.ルテイン/ゼアキサンチンは生体内では合成されず緑黄色野菜に多く含まれ る. (中略) ルテインは青色スペクトル域(446nm)の光を選択的に吸収するフィルター機能の他,視細胞外節にも多く存在して抗酸化物質として網膜色素上皮を保護している可能性がある. (中略) Eye Disease Case-Control Study(EDCCS)の報告において,カロテノイドの豊富な食事を摂取した群では加齢黄斑変性のリスクが43%軽減した.特にルテイン/ゼアキサンチン6mg/日の摂取が加齢黄斑変性の予防と最も相関があった. Lutein AntioxidantSupplementationTrial(LAST)では,ルテイン10mg投与によりMPODの増加と視力改善が認められた.我々はレーザー誘導脈絡膜血管新生モデルを用いて,ルテインがnuclearfactor(NF)-kBの活性化抑制を介し,VEGF,ICAM-1,MCP-1といった炎症関連分子の発現を抑制し,脈絡膜血管新生を抑制することを明らかにした.これらの結果は,ルテインが加齢黄斑変性に対して抗炎症作用,抗血管新生作用を有する可能性を示唆し,AREDS2の生物学的根拠を示し ている. |
ブロッコリーに含まれるスルフォラファンとルテインの含有量については、国立研究開発法人「農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)」の「機能性成分含有量情報(野菜類)」をご参照ください。
小松菜
小松菜に含まれる栄養素
小松菜は、ブロッコリーと同じアブラナ科に属する野菜類です。(ここで言う「野菜類」は「日本食品標準成分表」と「食品成分データベース」で分類されている「野菜類」のことです。)
栄養素の面では、小松菜はブロッコリーに比べて注目度が低い気がしますが、ミネラルの中では浸透圧調整やナトリウム排出作用があるカリウム、カルシウム、鉄が、ビタミンの中では粘膜の抵抗力を強めたり暗視力を保つ働きがあるAがブロッコリーよりも豊富に含まれており、特に、カルシウムとビタミンAは3倍以上、鉄は2倍以上含まれています。(ビタミンAについてはその前駆体であるβ-カロテンとβ-クリプトキサンチンが260μgRAE:レチノール活性当量で野菜類の中ではホウレンソウに次いで豊富)
これら以外の栄養素(蛋白質、脂質、上記以外のミネラルとビタミン)はブロッコリーよりも少なくなっています。
小松菜に含まれる栄養素の一般成分については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
小松菜に含まれる機能性成分
小松菜には、ブロッコリーの項で書きましたルテインという機能性成分がブロッコリーの2倍近く含まれています。
小松菜に含まれるルテインの含有量については、国立研究開発法人「農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)」の「機能性成分含有量情報(野菜類)」をご参照ください。
また、ビタミンAに変換されないβ-カロテンとβ-クリプトキサンチンはカロテノイドとして様々な機能性を有していますが、この点については、次回の「人参に含まれる機能性成分」の項で書きます。
ほうれん草
ほうれん草に含まれる栄養素
ほうれん草は、ビーツやテンサイと同じヒユ科に属する野菜類(ここで言う「野菜類」は「日本食品標準成分表」と「食品成分データベース」で分類されている「野菜類」のことです。)であり、ブロッコリー等のアブラナ科の野菜類と同様に栄養素が豊富なものが多いです。
ほうれん草は、ブロッコリーには及ばないものの野菜類の中では蛋白質や食物繊維が多い方です。
ミネラルの中では浸透圧調整やナトリウム排出作用があるカリウムが100g中約690mg、様々な代謝に必要不可欠なマグネシウムが同約69mgと野菜類の中では頭抜けて豊富に含まれています。
ビタミンの中では、粘膜の抵抗力を強めたり暗視力を保つ働きがあるAの前駆体であるβ-カロテンとβ-クリプトキサンチンが同350μgRAE(レチノール活性当量)と、何も野菜類の中では人参に次いで豊富に含まれています。
また、鉄は小松菜には及ばないものの野菜類の中では多い方であり、様々な代謝に必要不可欠なB群(B12を除く。)、抗酸化作用を有するEやCもブロッコリーには及ばないものの野菜類の中では多い方です。
ほうれん草に含まれる栄養素の一般成分については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
ほうれん草に含まれる機能性成分
ほうれん草には、ブロッコリーの項で書きましたルテインという機能性成分が、年間を通じて普通のスーパーマーケット等で買うことが出来る野菜類の中で最も豊富に含まれています。
ほうれん草に含まれるルテインの含有量については、国立研究開発法人「農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)」の「機能性成分含有量情報(野菜類)」をご参照ください。
また、ビタミンAに変換されないβ-カロテンとβ-クリプトキサンチンはカロテノイドとして様々な機能性を有していますが、この点については、次回の「人参に含まれる機能性成分」の項で書きます。
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