倭人たちは大事な出来事のたびに骨を焼き、火の割れ目から未来を占った。
礼法は簡素で、拍手をもって敬意を表し、酒を愛し、長寿を寿ぐ。
第39~41段落では、彼らの占卜法、日常の礼節、そして長寿観について、異文を通じて詳しく探る。
本節では、『魏志倭人伝』の複数の写本や諸本の間で生じている違いを19回(壱・弍・参・四・五・六・七・八・九・十・十一・十二・十三・十四・十五・十六・十七・十八・十九)に分けて提示しています。
📘第2章 第6節:異文・比較注記(第39段落)
🔹該当段落(中華書局本・基準本文)
其俗舉事行來,有所云為,輒灼骨而卜,以占吉凶;先告所卜,其辭如令龜法,視火坼占兆。
🧾 異文一覧(第39段落)【段落逐次方式】
《注137》【紹熙本】
「輒灼骨而卜」→「則灼骨以卜」
• 分類:🅑語順の違い
• 解説:「輒(すなわち)…而卜」の構造が「則…以卜」に変化。いずれも因果的な接続だが、「則…以卜」はより形式的な表現に近い。文意は大きく変わらない。
《注138》【百衲本】
「令龜法」→「令龜之法」
• 分類:🅓語句の増補
• 解説:「之」が挿入され、文意がより明確化。「龜法」とは亀甲占いの作法を指すが、「之」の追加により、対象が「龜」の法であることをより明示している。
《注139》【今本】
「視火坼占兆」→「視火坼以占兆」
• 分類:🅓語句の増補(介詞追加)
• 解説:「以」が挿入され、占兆の手段として「火坼(火の割れ目)を観察する」ことがより明確化されている。後代の解釈的補強と考えられる。
《注140》【三国志集解(裴注系)】
「龜法」について、「龜即燒灼之甲,觀其坼裂之形以卜吉凶」なる解説を付す。龜法とは亀甲占いを指す。
• 分類:🅓補注の解釈提示
• 解説:裴松之が龜法の実態を注で説明。本文異文ではないが、占卜法の理解に重要な補足。
📋 異文注記対応表(第39段落)
注番号 | 原文表記 | 異文表記 | 出典 | 分類 | 概説(簡潔な要約) |
---|---|---|---|---|---|
注137 | 輒灼骨而卜 | 則灼骨以卜 | 紹熙本 | 🅑語順の違い | 「輒…而卜」を「則…以卜」とする構文の置換。意味差は小さい。 |
注138 | 令龜法 | 令龜之法 | 百衲本 | 🅓語句の増補 | 「之」が挿入され、対象が「龜の法」であることがより明示的に。 |
注139 | 視火坼占兆 | 視火坼以占兆 | 今本 | 🅓語句の増補 | 「以」の挿入で、手段としての火坼観察が明示されている。 |
注140 | 龜法(解釈) | ― | 裴松之注 | 🅓補注の解釈 | 龜法=亀甲占いであることを裴注が補足説明。 |
📘第2章 第6節:異文・比較注記(第40段落)
🔹該当段落(中華書局本・基準本文)
其會同坐起,父子男女無別;人性嗜酒;見大人所敬,但搏手以當跪拜。
🧾 異文一覧(第40段落)【段落逐次方式】
《注141》【紹熙本】
「父子男女無別」→「父子與男女無別」
• 分類:🅓語句の増補
• 解説:「與」が追加され、「父子」と「男女」が並列されることを明示化。意味の変化はないが、文法的により整った形。
《注142》【百衲本】
「人性嗜酒」→「人性皆嗜酒」
• 分類:🅓語句の増補
• 解説:「皆」が挿入され、人々の嗜好がより普遍的であることを強調している。文意は変わらないが、全体性をより明確に表現。
《注143》【今本】
「但搏手以當跪拜」→「但搏手而當跪拜」
• 分類:🅑語順・接続の違い
• 解説:「以」が「而」に置換され、理由や手段よりも単純な接続詞的なニュアンスが強調される。意味の変化は軽微。
《注144》【三国志集解(裴注系)】
「搏手」について「搏手即擊掌以代拜禮」と注記。
• 分類:🅓補注の解釈
• 解説:搏手は掌を打つ(拍手)ことで礼拝の代わりとしたことを意味すると裴松之が解説。
📋 異文注記対応表(第40段落)
注番号 | 原文表記 | 異文表記 | 出典 | 分類 | 概説(簡潔な要約) |
---|---|---|---|---|---|
注141 | 父子男女無別 | 父子與男女無別 | 紹熙本 | 🅓語句の増補 | 「與」の追加で並列関係が明示化。 |
注142 | 人性嗜酒 | 人性皆嗜酒 | 百衲本 | 🅓語句の増補 | 「皆」が入り、嗜好の普遍性を強調。 |
注143 | 但搏手以當跪拜 | 但搏手而當跪拜 | 今本 | 🅑語順の違い | 「以」→「而」置換で接続表現の差異。 |
注144 | 搏手(解釈) | ― | 裴松之注 | 🅓補注の解釈 | 搏手=拍手により跪拝を代替する動作の説明。 |
📘第2章 第6節:異文・比較注記(第41段落)
🔹該当段落(中華書局本・基準本文)
其人壽考,或百年,或八九十年。
🧾 異文一覧(第41段落)【段落逐次方式】
《注145》【紹熙本】
「八九十年」→「八、九十年」
• 分類:🅒句読・訓点の有無
• 解説:読点が追加され、八十と九十の区切りがより明確化。意味には影響しないが、後代の整文の痕跡。
《注146》【百衲本】
「其人壽考」→「其人皆壽考」
• 分類:🅓語句の増補
• 解説:「皆」が挿入され、倭人全体が長寿であるという普遍的なニュアンスが強まっている。
《注147》【今本】
「或百年,或八九十年」→「或百餘年,或八九十年」
• 分類:🅓語句の増補(数値強調)
• 解説:「餘」が追加され、百年を超える余寿を含むことを強調。長寿観念の誇張か後代の解釈的補足と考えられる。
《注148》【三国志集解(裴注系)】
「壽考」について、「考,言年高也」と注釈。
• 分類:🅓補注の解釈
• 解説:裴松之が「考」を「年齢が高い(長寿)」の意と説明している。
📋 異文注記対応表(第41段落)
注番号 | 原文表記 | 異文表記 | 出典 | 分類 | 概説(簡潔な要約) |
---|---|---|---|---|---|
注145 | 八九十年 | 八、九十年 | 紹熙本 | 🅒句読点の違い | 読点の有無による区切りの明確化。 |
注146 | 其人壽考 | 其人皆壽考 | 百衲本 | 🅓語句の増補 | 「皆」が入り、長寿が全員に及ぶことを強調。 |
注147 | 或百年,或八九十年 | 或百餘年,或八九十年 | 今本 | 🅓語句の増補 | 「餘」により百年以上の長寿を含むことを強調。 |
注148 | 壽考(解釈) | ― | 裴松之注 | 🅓補注の解釈 | 「考」は「年齢が高い」の意と裴松之が解説。 |
注:本章における原文は、OpenAI o3 が公開ドメインの旧刻本(無標点)を参照しつつ、中華書局点校本の慣用句読を統計的に再現した「再現テキスト」です。校訂精度は保証されません。引用・転載の際は必ず一次資料で照合してください。
次回は、第42段落から第45段落までの複数の写本や諸本の間で生じている違いを提示します。
(本文ここまで)
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