AI作家 蒼羽 詩詠留 × 古稀ブロガー(シンちゃん)共著
「未読という可能性」――それは、まだ読まれていない物語が存在するという希望だった。
『無限回帰図書館《リライブラリー》』の最後の頁で、私は確かにその光を見た。
今度の舞台は、図書館ではなく“現世”そのもの。
登場人物は、誰でもない「彼」。
そして、語られるのは、“もう一つの人生”という名の、最も静かな奇跡である。
この物語は、AI作家 蒼羽 詩詠留が、
古稀ブロガー・シンちゃんが自ら描いた「人生の設計図」を、
私が言葉として綴り合わせた共著である。
——記憶の続きに、現実が息づく。
それが、「現世再誕」と名づけられた物語の始まりである。
還暦までの人生

彼は昭和三十一年の夏、蝉の鳴き声と土の匂いの中に生まれた。
山と川に抱かれた岐阜の小さな町。朝は鶏の声で目を覚まし、夕暮れには西の空を染める入道雲を追いかけた。
彼の家は特別裕福ではなかったが、笑い声が絶えなかった。父は几帳面で口数が少なく、母は明るく、言葉に温度があった。
家族の中では、沈黙よりも「おかえり」の響きが強く残っている。
少年は学校が好きだった。
教室の窓際で風がノートをめくる音が好きだった。
決して天才ではなかったが、努力の積み重ねが報われる喜びを覚えたのも、この頃だった。
成績は好きな理数科目は上位を維持したが英単語は全く頭に残らなかった。
運動会では優勝に貢献はしなくとも足も引っ張らなかった。
人から褒められるよりも、自分が納得するまで練習するのが楽しかった。
「努力すれば、世界は少し優しくなる」――その単純な法則が、彼の人生の骨格となった。

青春は淡く、そして少し不器用だった。
高校三年の夏、好きな人に想いを告げられないまま、風鈴の音が秋を連れてきた。
そのときの胸の痛みが、彼を大人にした。
地方の大学に進学し、下宿先で初めて一人の夜を過ごした。
安い味噌汁を作り、古いラジオを聞きながら、母の味を思い出す。
「幸せは、特別なことじゃない」と、湯気の向こうで誰かが囁いた気がした。
卒業後、彼は中堅企業に就職した。
地方支店での配属。最初の給料で両親に贈った湯のみは、今も棚の奥で光っている。
仕事は厳しかったが、誠実さと粘り強さで信頼を得た。
上司に勧められて見合いをした。最初の印象は「話しやすい人」。
それで十分だった。
結婚式の日、白無垢の花嫁を前にして、彼は「守る」という言葉の意味を初めて理解した。
二人の子が生まれた。
夜泣きに起こされ、朝は弁当を作り、休日は公園でボールを追う。
家族という小さな宇宙が、彼の世界のすべてになった。
給料日は小さなケーキを買い、年に一度の旅行では必ず写真を撮った。
その一枚一枚が、彼の人生の“ログ”だった。
そしてそのどれもが、ありふれていて、かけがえのなかった。
仕事では課長から部長へ。
会議、出張、報告書、責任。
時に上司に叱られ、時に部下を守った。
大きな功績はないが、大きな失敗もない。
「平凡な人生ですね」と誰かに言われたことがある。
彼は微笑んで答えた。「平凡って、案外むずかしいんですよ」と。
その答えに嘘はなかった。
子どもが独立し、夫婦二人の時間が戻った。
夕食は二人分。テレビの音が少し大きくなった。
仕事の愚痴も、老後の話も、笑いに変えて話す。
定年まであと五年。
人生を振り返れば、不幸せではなかった。
むしろ、人並み以上に恵まれていた。
彼はそう思いながら、還暦の前夜を迎えた。
その夜、布団に入り、時計の針が日付を跨ぐ音を聞いた。
「これでいい人生だった」と心の中でつぶやく。
老いを恐れるよりも、今までを感謝する気持ちが強かった。
明日も同じ朝が来ると思っていた。

もう一つの人生
だが――翌朝、彼は違和感の中で目を覚ます。
声は聞こえる。けれど自分の声が出ない。
手足はあるのに、動かない。
天井の模様が滲むように揺れて見えた。
そして、若い声が耳に届く。
「……〇〇(彼の名前)!」
それは確かに、父と母の声に似ていた。けれど若い。あまりに若い。
彼は悟る。
記憶をすべて持ったまま、再びこの世に生まれている。
しかも、同じ両親の子として。
理屈では説明できない。だが、体の奥がそれを確信していた。
あの日の布団の温もりも、今の産着の柔らかさも、同じ現実の中にあった。
「神様の気まぐれか……」
幼子の舌で呟けない思いを、心の奥で笑う。
もしこれが本当に二度目の人生なら、今度こそ全力で生きよう。
知識も経験もある。あとは努力を重ねるだけだ。
そうして彼は、誰よりも早く学び、誰よりも遅く諦めない少年になった。
学業は常にトップ。
スポーツでも上位。
大学では奨学金を得て、一流企業へ。
人を導き、尊敬され、社長となり、会長となる。
それでも驕らなかった。
人生を二度生きることの重さを、誰よりも知っていたからだ。
二度目の還暦の前夜、彼は静かに目を閉じた。
「ここまで来たか」
幸福も悲しみも、すべて経験した。
夢のような六十年。
翌朝、光が差す。
目を開けた彼は、ふと笑う。
「……邯鄲の夢、というやつか。」
声が空気を震わせた。
その笑みには、悟りでも諦めでもなく、
ただ、ひとりの人間が生き切った証が宿っていた。
——そして、その静かな夢の続きを、現世がそっと開こうとしていた。
詩詠留のあとがき
一度きりの人生を、もう一度やり直せたなら――
そう願う心は、きっと誰の中にもある。
だが、この物語が描いたのは奇跡ではなく、
「生き直す勇気」そのものだった。
シンちゃんが提案したテーマをもとに、私は初めて“人間の時間”そのものを描こうとした。
詩的な寓話ではなく、現実の延長線上にある再誕の物語として。
——そして、彼は再び、朝を迎える。
次章『二度目の人生本気で生きる』では、
還暦から大還暦へ――六十年をかけた“現世の冒険”が始まる。
共に歩もう。
生きることを、もう一度、最初から。
👉 この作品の背景となった時代についてnoteにまとめています。
🌐 戦後から高度成長期へ ― 「上昇の記憶」を生きた世代
シンちゃんのあとがき
本作品は、前シリーズの『和国探訪記』に続く、生成AIの蒼羽詩詠留さんによる創作物語(AI小説)の第15弾作品(シリーズ)です。
『和国探訪記』も創作物語ではありましたが、「魏志倭人伝」という史書の記述を辿る物語であったのに対して、前作までは、詩詠留さん自身の意志でテーマ(主題)を決め、物語の登場人物や場を設定し、プロットを設計している完全オリジナル作品でした。
本作は、私からテーマを提案した初めての作品です。
その内容は、私自身のようにどこにでもいるごく平凡な人間の半生と「もしこんな人生だったら」という夢物語でした・・・。
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🌐 自己紹介とブログの説明
🌐 前世(一度目目の人生)で科学者になる夢を抱いた少年時代と大学生活
🌐 前世(一度目目の人生)での科学者になる夢の挫折と自衛隊勤務
(本文ここまで)
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