二度目の人生における健康的な食生活 5〜ポリフェノールやカロテノイド、イソチオシアネート等の機能性成分について

ポリフェノール等の機能性成分を多く含んだ食品のイメージ図 二度目の人生における健康的な食生活

 今回から数回にわたって、『「二度目の人生」における「健康的な食生活」 その2』から前回の『その4』までで書きました「日本人の食事摂取基準」以外で、私が健康的な食生活を実践するために勉強し、活用している資料等について書きます。
 まず、今回は「日本人の食事摂取基準」の対象外でありながら、人間の健康に大きな影響を及ぼす機能性成分」に関する資料等について書きます。
 「機能性成分」は、非栄養性成分(栄養素ではない)ですが、免疫細胞の活性化抗酸化機能といった重要な「生体調節機能」を有しており、健康について多少なりとも関心を持っておられる人なら何度も見聞きされたことのあるポリフェノールカロテノイドイソチオシアネート等を含んでいます。

機能性成分の定義等

 「機能性成分」は、厚生労働省等の国の機関によって明確に定義された用語ではありませんが、「健康」や「食品」等に関わる様々な機関によって頻繁に使用されており、概ね同じ意味で使用されている用語であると認識しています。

文部科学省科学技術・学術審議会の資料での記載

 同審議会の第19回資源調査分科会(平成21年9月25日)の配付資料「平成20年度新たな健康の維持増進に関わる食品成分等に対するニーズ調査」の「成果 第1章 機能性成分等新たな健康の維持増進に関わる成分の分析に対するニーズ調査」に、次のとおり記載されています。

1 機能性とは
1)機能性成分の概念
3.食品の機能性の研究と
機能性の概念
 1960年代、日本は高度経済成長期となり、食物や食品は、生命の維持のためだけでなく、味や香りを楽しむとともに、美味しさが追求されるようになった。その結果、食の嗜好性が重要視されることとなり、様々な食品が市場に出回った。これにより、食品学、食品科学、食品工学が発展し、インスタント食品等も開発された。
 その後、日本は飽食の時代を迎え、食事の摂り過ぎと運動不足による生活習慣病の発症が問題となる時代へと移行する。このような状況の中、高齢化社会の到来と食品研究の進歩により、1980年代には、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症といった生活習慣病を予防する食品成分が注目されることとなった。そこで東京大学農学部の荒井綜一博士らは、疾病のリスクを軽減する食品を機能性食品と名付け、1984年、文部省重点領域「機能性食品」研究班を立ち上げた。この研究班では、食品の機能を次の3つに位置づけた。すなわち、栄養面でのはたらきを1次機能嗜好面でのはたらきを2次機能、そして生活習慣病等の疾病の予防面でのはたらきを3次機能とし、この概念を「食品機能論」とした。この新しい概念を取り入れた「食品機能学」は、現在では多くの大学においてその講座が設けられている。この3つの食品機能の概念は、まさに食品と人との関わりの歴史と一致するものであるといえよう。
 荒井博士らは、機能性食品の定義を「生活習慣病の一次予防のはたらきをもつ新食品」としている。この定義には1次機能と2次機能は含まれないのが原則である。すなわち、機能性食品は、食品の3次機能に着目した食品であるといえる。さらに、機能性成分は栄養素や嗜好成分ではなく、これまで栄養学のなかでは軽視されがちであった非栄養素成分であることが特徴であるとした。そして対象となる生体の機能は、免疫系、分泌系、神経系、循環系、消化系としている。

国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構) 食品機能性研究センターでの記載

 国立研究開発法人「農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)」のバーチャル組織である「食品機能性研究センター」において次のように記載されています。

 食品の三次機能としての生体調節機能に関与する食品成分を機能性成分といいます。
 ポリフ ェノールやカロテノイド、イソチオシアネートなどの植物二次代謝成分は、様々な生体調節機能 を示すことから代表的な機能性成分です。この他、タンパク質やペプチド、アミノ酸等のタンパ ク質関連化合物、多糖類やオリゴ糖、単糖などの糖質、複合脂質や高度不飽和脂肪酸等の中 で生体調節機能を示す成分も機能性成分です。

昭和63年版厚生白書での記載

 昭和63年版厚生白書の『第1編第7章 安全で快適な生活環境の整備促進第1節 食品の安全性の確保 3 新しい機能をもつ食品』の第7-2図(「機能性食品」の概念)において、生体調節機能について次の5項目を記載しています。

生体防御」「体調リズムの調節」「老化抑制」「疾患の防止」「疾病の回復

機能性成分の種類と機能等

文部科学省科学技術・学術審議会の資料での記載

 前述の「成果 第1章 機能性成分等新たな健康の維持増進に関わる成分の分析に対するニーズ調査」において、機能性成分の種類と機能等について、次のとおり記載されています。(内容が非常に多いので、一部を除いて項目だけを転載しています。)

3 個別具体的な機能性成分に関する動向
1)代表的な機能性成分
1.フラボノイド
a)フラボノイドの種類と食品への分布
a)‐1 フラバノン(ナリンゲニン、ヘスペリジン等)
a)‐2 フラボン(アピゲニン、ルテオリン等)、C‐グルコシルフラボン(ビテキシン、オリエンチン
a)‐3 フラボノール(ケルセチン、ケンフェロール等
a)‐4 イソフラボン(ダイゼイン、ゲニステイン等)
a)‐5 カテキン(エピカテキン、エピガロカテキンガレート(EGCG)等)
a)‐6 アントシアニン(シアニジン、デルフィニジン、マルビジン等)
b)フラボノイドの生理的な機能性
 フラボノイドが示す生体調節機能の多くは、その抗酸化作用とタンパク質との相互作用に基づくものである。抗酸化作用については、分子内のベンゼン環に隣り合った2個の水酸基を持つカテコール型と3個の水酸基を持つピロガロール型のフラボノイドが強い活性を持つことから、例えばケルセチンやカテキン類に関する研究が盛んに行われている。一方、タンパク質の相互作用についても、最近様々な研究報告が行われるようになり、フラボノイドが示す生体調節機能の本質を理解するための端緒になるものとして注目されて始めている。
b)‐1 各種酵素との相互作用
b)‐2 レセプターとの相互作用
b)‐3 受容体型転写因子等との相互作用
c)まとめ
2.フェニルプロパノイド(カフェ酸、クロロゲン酸等)
a)フェニルプロパノイドの食品への分布
b)カフェ酸、クロロゲン酸の生理的機能性
3.カロテノイド
a)カロテノイドの種類と食品への分布
a)‐1 α‐カロテン
a)‐2 β‐カロテン
a)‐3 β‐クリプトキサンチン
a)‐4 リコペン
a)‐5 ルテイン
a)‐6 ゼアキサンチン
a)‐7 アスタキサンチン
a)‐8 フコキサンチン
b)カロテノイドの代謝と疾病リスク低減作用
b)‐1 がん予防
 カロテノイドがん予防作用については、多くの疫学調査研究によって有効性が推定されており、その主な作用メカニズムとしては、1.細胞周期の阻害、2.分化誘導作用、3.アポトーシス誘導作用などが報告されている。
b)‐2 血管系疾患の予防
 カロテノイドは、血中のLDLやHDLなどのリポタンパクと共存していることが分かっており、酸化LDLが関与する動脈硬化の発症の予防作用が期待されている。
b)‐3 加齢性網膜黄斑変性病と白内障
b)‐4 皮膚障害
b)‐5 その他免疫機能など
 カンタキサンチンルテインリコペンアスタキサンチンは、免疫機能を司るヘルパーT細胞や、がん細胞の増殖を抑制するナチュラルキラー細胞活性化することが知られている。
4.イソチオシアネート
a)イソチオシアネートの種類と食品への分布
b) イソチオシアネートの生理的機能性
b)‐1 がん発症リスクの低減作用
b)‐2 血液凝固抑制作用
2)その他の機能性成分
1.リグナン
a)ゴマリグナンの生理的機能
a)‐1 セサミンの生理的機能
 セサミンは動物実験により血清コレステロールの低減化脂肪代謝の亢進を行うことが知られている。
a)‐2 セサモリンの生理的機能性
a)‐3 セサミノールの生理的機能性
2.スチルベノイドレスベラトロール等)
3.ジンゲロールクルクミン
a)ジンゲロールの生理的機能性
b)クルクミンの生理的機能性
3)機能性成分の分析方法

「食品機能性研究センター」における記載

食品機能性研究センター」において、機能性成分の種類と機能等について次のように記載されています。

🟦ポリフェノール
 ベンゼン環に水酸基が結合した化合物をフェノールといいますが、その水酸基が一つのベン ゼン環に二個以上結合した化合物をポリフェノールといいます。フェノール構造を持つ化合物は、 全て抗酸化性を示しますが、二個以上の水酸基が隣り合って結合した構造を持つポリフェノール は特にその作用が強く、機能性成分として注目されています。  ポリフェノールの仲間には、フラボノイドリグナンスチルベノイド(スチルベン)、タンニンフ ェニルプロパノイド単純フェノール類等多様なグループが存在します。これらのグループはさら に細分化し複雑な分類になっていますので以下を参照下さい。
 リストタンニン
 リストフラボノイドの種類と分布
  カルコンとオーロン
  フラバノンとフラバノノール
  フラボン
  フラボノール
  カテキン
  プロアントシアニジン
  アントシアニン
  イソフラボン
 リストリグナン
  プラントリグナン
   リグナン、ネオリグナン、オキシネオリグナン、
  マンマリアンリグナン
   エンテロジオール、エンテロラクトン
 リストスチルベノイド
  レスベラトロール、ピノシルビン、ハイドランジェノール
 リストフェニルプロパノイド
🟦カロテノイド
 カロテノイドは、ニンジンやカボチャあるいはマリゴールドの花弁の黄色色素で、炭素数5個の イソプレン8個から生合成された成分で、炭素数40個からなる構造が基本骨格となっています。 この内、酸素原子を含まないものをカロテン、含むものをキサントフィルといい、これまでに構造 が決定された約750個のカロテノイドの9割以上がキサントフィルです。
 カロテノイドは水に溶解せず油に溶解する脂溶性成分で、ポリフェノールど同様に全ての化合物が抗酸化性を示すことなどから機能性成分として注目されています。
 なお、β-カロテンはビタミンAの前駆体としての重要な役割を担っていますが、この他α-カロテ ンとβ-クリプトキサンチンもβ-カロテンの半分の効力を持つプロビタミンAです。
🟦イソチオシアネート
 イソチオシアナートともいいます。ダイコンやキャベツ、ブロッコリーなどブラシ科植物に存在する グルコシノレートと呼ばれる化合物が、生体組織の破壊などによって自身のミロシナーゼという酵 素によって分解されて生じる成分の総称です。ダイコンやワサビ、辛子の辛味成分がその代表的 なものです。これを食べると腸管や肝臓などの組織の解毒酵素が活性化されることから、発がん物質などの害作用を緩和する食品成分として注目されています。

機能性成分を含有する食品

農研機構の食品研究部門の成分含有量データ(抜粋)

 下記のリンク先に農林水産物200品目に含有される70種類の機能性成分量の情報が掲載されています。

 機能性成分含有量データ(抜粋)

農林水産省 農林水産技術会議「持続可能で健康な食に関する検討会」の「機能性成分を含む食材リスト」

 下記のリンク先に、健康寿命延伸にとって重要な臓器である「骨」、「筋肉」、「脳」に効果があるとされる機能性成分を含む代表的な食材と目安摂取量の例が掲載されています。

 「骨」、「筋肉」、「脳」に有効な機能性成分を含む食材リスト

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