前回に引き続いて、今回は「多様な食品をバランス良く食べることについて」で書いた「日常的に食べている多様な食品等」のうち、 香辛料類(スパイス)の中のシナモンパウダー、ターメリックパウダー、クミンパウダー、コリアンダーパウダーに含まれている栄養素と機能性成分について書きます。
香辛料類全般
(本項の内容は「常食している健康的な食品の栄養素と機能性成分 24」の「香辛料類全般」と同じです。)
香辛料の定義等
香辛料についての明確な定義というのはありませんが、厚生労働省の食品安全部長通知「食品衛生法等の一部を改正する法律による改正後の食品衛生法第11条第3項の施行に伴う関係法令の整備について別添1」においては次のとおり書かれています。
1 法第11条第3項の施行に伴い、新たに香辛料(スパイス及びハーブ)に係る食品分類として「その他のスパイス」及び「その他のハーブ」を設けることとしたが、「香辛料」、「スパイス」及び「ハーブ」の定義は以下のとおりとすること。 2 香辛料とは、食品に特別な風味を与えることを目的とし、比較的少量使用される種々の植物の風味または芳香性の葉、茎、樹皮、根、根茎、花、蕾、種子、果実、又は果皮等をいうこと。香辛料は、スパイス及びハーブに大別されること。 3 スパイスとは、食品に風味付けの目的で比較的少量使用される種々の植物由来の芳香性樹皮、根、根茎、蕾、種子、果実、または果皮をいい、アサの種子、アサフェチダの根、アサフェチダの根茎、アジョワンの種子、アニスの種子、ウイキョウの種子、ウコンの根、ウコンの根茎、オールスパイスの果実、オールスパイスの未成熟果実、オレンジの果皮、ガジュツの根、ガジュツの根茎、カショウの果実、カショウの未成熟果実、カシアの樹皮、カフィアライムの果実、カフィアライムの未成熟果実、ガランガルの根、ガランガルの根茎、カルダモンの種子、カルダモンの果実、カルダモンの未成熟果実、カンゾウの根、カンゾウの根茎、キャラウェイの種子、クチナシの果実、クミンの種子、クローブの蕾、ケシの種子、ケーパーの蕾、コショウの果実、コショウの未成熟果実、ごまの種子、コリアンダーの種子、サフランのめしべ、サンショウの果実、サンショウの未成熟果実、シソの種子、シナモンの樹皮、ジュニパーベリーの果実、しょうが、スターアニスの果実、スターアニスの未成熟果実、西洋わさび、セロリの種子、タマリンドの果実、ディルの種子、とうがらし、ナツメグの種子の仁、ナツメグの種皮(メースをいう。)、ニジェラの種子、ニンニク、バジルの種子、パセリの種子、バニラの果実、バニラの未成熟果実、パプリカ、パラダイスグレインの種子、バラの果実(ローズヒップをいう。)、フェネグリークの種子、ピンクペッパーの果実、マスタードの種子、みかんの果皮、ゆずの果皮、レモンの果皮、ロングペッパーの果実、ロングペッパーの未成熟果実及びわさびの根茎をいうこと。 その他のスパイスとは、スパイスから、オレンジの果皮、ごまの種子、しょうが、西洋わさび、とうがらし、ニンニク、パプリカ、ゆずの果皮、レモンの果皮及びわさびの根茎を除いたものとすること。 なお、パプリカには、「パプリカ」と称して販売される、いわゆるジャンボピーマン等は含まないこと。 4 ハーブとは、食品に風味付けの目的で薬味として比較的少量使用される種々の主に草本植物の葉、茎、根及び花からなり、生のまま、または乾燥したものが使用されるものをいい、アニスの葉、アニスの茎、アンゼリカ、ウイキョウの葉、ウイキョウの茎、エシャロット、オレガノ、カフィアライムの葉、カモミール、カレープラント、カレーリーフ、キャットニップ、キャラウェイの葉、キャラウェイの茎、クレソン、コリアンダーの葉、コリアンダーの茎、サボリー、サラダバーネット、サンショウの葉、シソの葉、シソの花穂、ジャスミン、ステビア、セージ、セロリの葉、セロリの茎、センテッドゼラニウム、ソレル、タイム、タデ、タラゴン、ダンディライオン、チャイブ(あさつきを含む。)、チャービル、ディルの葉、ディルの茎、ドクダミ、ナスタチウム、ニガヨモギ、にら、ハイビスカス、バジルの葉、バジルの茎、パセリの葉、パセリの茎、ハッカ、バラの花(ローズをいう。)、ヒソップ、ベルガモット、ボリジ、マーシュ、マスタードの葉、マスタードの茎、マジョラム、ミョウガ、ヤロウ、ヨモギ、ラベンダー、リンデン、ルッコラ、ルバーブ、レモングラス、レモンバーム、レモンバーベナ、ローズマリー、ローレル、わさびの葉及びわさびの葉柄をいうこと。 その他のハーブとは、ハーブから、クレソン、セロリの葉、セロリの茎、にら、パセリの葉及びパセリの茎を除いたものとすること。 なお、エシャロットには、「エシャロット」「エシャレット」等と称して販売される早取り栽培のラッキョウは含まないこと。ハッカとはシソ科ハッカ属のハーブをいい、スペアミント及びペパーミントを含むこと。マスタードの葉及び茎には、カラシナが含まれること。また、わさびの葉及び葉柄には、いわゆる花わさびが含まれること。 |
野菜類等と香辛料類の関係
「日本食品標準成分表」においては、同じ食品であっても、その加工等によって、「野菜類」等に分類される場合と、「香辛料類」に分類される場合があります。
生姜や大蒜についても、根茎や鱗茎をそのまま調理して食す場合は「野菜類」に、これらを乾燥し粉状にしたものは「香辛料」に分類されています。
香辛料類に含まれる栄養素
一般的に、香辛料を食べる量は極少量(私の場合、一種類の香辛料毎の使用量はパラパラとふりかける程度、どんなに多くても1g以下で、一食当りで使用している全香辛料の使用量を合計しても最大で2〜3g程度)なので、香辛料に含まれている栄養素(蛋白質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミン)を考慮しても無意味だと考えています。
その上で、ご参考として各香辛料に含まれる栄養素の一般成分とアミノ酸についての「食品成分データベース」の検索結果を掲載します。
香辛料類に含まれる機能性成分
私が料理に香辛料を使う最大の理由は、発酵食品以外の食塩、醤油、ソースといった塩分、糖質、脂質、食品添加物等を含む調味料を使わない代わりとして風味付けするためです。
そして、多くの香辛料が伝統的に健康に良いとして食されてきたことに加えて、それらの風味の元となっている物質が何らかの機能性を併せ持っていたり、それら以外の機能性成分を含んでいるといった情報があるからです。
もっとも、日本の研究機関における香辛料やその原料植物等の機能性に関する研究は途上段階にあり明確なエビデンスのある情報は乏しいようです。
また、香辛料から摂取できる機能性成分が極少量なのは栄養素と同じですが、栄養素の場合は香辛料以外の食品から必要量を十分以上に摂取出来ているのと異なり、機能性成分は各食品毎に含まれているその種類や機能性が異なる場合が多いので、多少なりとも効果を得られているのなら儲け物程度に考えています。
シナモンパウダー
シナモンは、クスノキ(楠)科ニッケイ(肉桂)属の常緑樹であり、その若い樹皮を乾燥したものを細長く巻いてスティック状にしたものと、パウダーにしたものが香辛料として市販されています。
近縁種の根からは有名な和菓子の八ツ橋等に使用されているニッキが、また楠(クスノキ)からは鎮痛作用や防虫効果のある樟脳(ショウノウ)が採れます。
シナモンパウダーに含まれる栄養素
シナモンパウダーに含まれる栄養素の一般成分とアミノ酸については、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
シナモンパウダーに含まれる機能性成分等
ネット上には、シナモンには糖尿病の予防・改善効果、消化促進効果等があるという情報が見られる一方、厚生労働省の「eJIM(統合医療に係る 情報発信等推進事業)」では、次のとおり書かれています。
背景 ・シナモンには多くの種類があります。セイロン・シナモン(Cinnamomum verum)はスリランカが発祥で、「真性シナモン(”true” cinnamon)」として知られています。カッシア・シナモン(Cinnamomum aromaticum)は東南アジアに自生しています。北アメリカで最も多く販売されているのはこの品種です。 ・シナモンは何千年もの間、香辛料として利用されていますが、さまざまな品種のシナモンの樹皮から作られています。シナモンの葉、花、果実および根も、料理や薬に用いられてきました。シナモン製品の化学組成は、原材料の品種や使用部位によって異なります。 ・シナモンは、中国、インド、ペルシャ(イラン)をはじめとする世界各地で伝統医学に利用されてきた長い歴史があります。 ・現在では、シナモンはサプリメントとして、糖尿病、過敏性腸症候群またはそのほかの胃腸障害など、さまざまな症状・疾患に良いとされています。カッシア・シナモンは、虫除けとして皮膚への局所使用が良いとされています。 これまでに解明されていること ・シナモンに関する研究は多く、特に糖尿病への効果について研究されています。しかし、使用したシナモンの品種や部位が不明な場合も多いため、研究結果の解釈は困難です。 研究で明らかになったこと ・人を対象とした試験の結果からは、いかなる健康状態に対してもシナモンの使用を明確に支持するものはありません。 ・2019年に発表された、糖尿病患者にシナモンを補充した18件の試験を対象とするレビューでは、シナモンは血糖値を低下させるものの、長期間の血糖値を反映する指標であるヘモグロビンA1C値にはあまり影響しないことが示唆されました。しかし、10件の試験では使用したシナモンの種類が明記されておらず、8件の試験はほかの理由で研究の質が低いと判断されたため、このレビューの結果に意味があるかどうかは不明です。 ・シナモンが減量および血中コレステロール値と関連脂質のコントロールに有用であるかは解明されていません。シナモンが過敏性腸症候群に有用であるかを示す科学的根拠(エビデンス)は十分ではありません。 ・カッシア・シナモンに虫除け効果があるかどうかは不明です。 安全性について ・シナモンサプリメントは、香辛料または香味料として食物に使用される通常量であれば、摂取しても安全であると考えられます。大量かつ長期間の摂取は、副作用と関連してくる場合があります。最も多くみられる副作用は胃腸障害またはアレルギー反応です。 ・カッシア・シナモンには、肝臓に有害なクマリンと呼ばれる化学物質が含まれています。一部のカッシア・シナモン製品は、クマリンの含有量が高いです。ほとんどの場合、カッシア・シナモンを摂取しても、深刻な問題を引き起こすほど大量のクマリンを摂取することはありません。しかし、カッシア・シナモンの長期摂取は、肝疾患を有するなど、感受性の高い人では問題となる可能性があります。 ・妊娠中または授乳中にカッシア・シナモンを使用しても安全かどうかは、ほとんどわかっていません。食物に使用される通常量よりも大量のセイロン・シナモンを妊娠中に摂取した場合、安全ではない可能性あります。食物に使用される通常量よりも大量のセイロン・シナモンを授乳中に摂取した場合の安全性については、ほとんどわかっていません。 ・シナモンを通常医療の代用として用いるべきではありません。特に糖尿病にかかっている場合は、受診を遅らせるべきではありません。 |
ターメリックパウダー
ターメリックは、別名を鬱金(ウコン)と言い、根茎を乾燥してパウダーにしたものが香辛料として市販されたり、カレー粉の原料として使用されています。
ターメリックパウダーに含まれる栄養素
ターメリック(パウダー)は「食品成分データベース」に収録されていません。
ターメリックパウダーに含まれる機能性成分
多くの人は、ターメーリックと聞けば、ポリフェノールの一種であるクルクミンを思い浮かぶと思います。
クルクミンについて、健康長寿ネットの「ポリフェノールの種類と効果と摂取方法」には、次のとおり書かれています。
クルクミンは、カレー粉の主成分であるターメリック (ウコン) に含まれる黄色の色素で、スパイスや、食品添加物 (着色料) として利用されています。「抗酸化作用がある」「肝臓に良い」「発がんを抑制する」などと俗に言われていますが、人において信頼できる十分な情報が見当たりません。今後の研究が期待されます。 |
クミンパウダー
クミンはセリ科の香菜であり、その種子(クミンシード)や、それを乾燥してパウダーにしたものが香辛料として市販されたり、カレー粉の原料として使用されています。
クミンパウダーに含まれる栄養素
クミン(パウダー)は「食品成分データベース」に収録されていません。
クミンパウダーに含まれる機能性成分
クミンにはポリフェノールの一種であり抗酸化作用を持つ複数種類のフラボノイドが含まれているとされています。
また、このフラボノイドの中にはオートファジーを誘導する効果を持つアピゲニンが含まれているともされています。
コリアンダーパウダー
コリアンダーはセリ科の香菜であり、その種子や葉を乾燥してパウダーにしたものが香辛料として市販されたり、カレー粉の原料として使用されています。
また、コリアンダーの生食用の葉は、エスニック料理店等ではパクチー(タイ語)、中華料理店等ではシャンツァイ(中国語)としてメニューに記載されている場合が多いです。
コリアンダーパウダーに含まれる栄養素
コリアンダーパウダーは「食品成分データベース」に収録されていないので、参考として、その葉に含まれる栄養素の一般成分とアミノ酸について、下記「食品成分データベース」の検索結果をご参照ください。
コリアンダーパウダーに含まれる機能性成分
ネット上には、コリアンダーが血糖やコレステロールの調整、消化促進、口臭予防、精神安定に効果があるといった情報がありますが、具体的な成分やその作用についてのエビデンスが乏しい状況です。
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