二度目の人生における健康的な食生活 38〜常食している健康的な食品の栄養素と機能性成分 30

バラの花とローズオイルのイメージ画像 二度目の人生における健康的な食生活

 前回に引き続いて、今回は「多様な食品をバランス良く食べることについて」で書いた「日常的に食べている多様で健康的な食品等」のうち、ローズオイル睡眠改善効果等の作用機能、働き) とローズオイルサプリメントを摂取している理由・効果について書きます。

サプリメントの摂取に関する基本的考え方

(本項の内容は「常食している健康的な食品の栄養素と機能性成分 26」の「サプリメントの摂取に関する基本的考え方」と同じです。)

 私は、必要とする栄養素機能性成分は、出来るだけホールフードから摂ることを基本としています。
 そして、サプリメントについても、様々なエビデンス等で勉強し、検討した上で本当に必要だと判断したものだけ試行的に摂取し、その効果等を踏まえて続けるものは続け止めるべきものは止めていますが、その理由は大きく次の2つです。

1 二度目の人生における本気の生活習慣の改善 6~『「完全自炊」による食事とその内容について』の説明の「健康に悪影響を及ぼすとされる次のような食品は出来る限り食べない。」で書きましたとおり、精製された食品はできる限り食べないようにしているから。

2  二度目の人生における健康的な食生活 6〜サプリメント等の健康食品についてで書いたサプリメントを摂取する場合における留意事項等を踏まえて。

ローズオイル等の作用(機能、働き)

順天堂大学保健看護学部順天堂保健看護研究2016年第4巻の「救命救急センターにおける不眠ケアとしてアロマオイルを用いた足浴の有効性」には次のとおり書かれています。(要旨)

 不眠は睡眠障害の一つであり生活の質を低下させ、健康を損なわせるなど日々の生活に支障をきたすものである。そのため、不眠が認められる入院患者に対して睡眠を促すケアは重要である。足浴刺激により行動的には睡眠を誘発し、脳波的には α 波の徐波化とθ- δ波成分の増加が見られ、これらの効果は香りを付加することにより増強する傾向が認められ、さらに緊張、疲労感などが消失することも報告されている。
 そこで今回、救命救急センターに入院した患者を対象にラベンダーネロリダマスクローズサンダルウッドの 4 種類のオイルから自己の好きな香りを選んでもらい芳香を付加した足浴を行いそ有効性について検討した。

 足浴の実施においてオイル群では、コントロール群より不眠改善の効果が認められ不眠が改善されることが示唆された。足浴時にオイルを付加することは睡眠を誘発し、睡眠の一助となると考えられる。

 植物から得られる精油の香りが、睡眠促進などの効果を有することが明らかになっており、香りの効果については多くの報告がみられる。オイルの種類別分析として、3 種類のラベンダー、ダマスクローズ、ネロリのオイルはフルーティーの香りやフローラルの香り、お線香の香りと日常的に嗅いだ事があり、親しみやすく親近感を得る様な芳香成分だったためか、2回目に AIS は下がっており足浴時に用いるオイルとしての有効性が示された。しかしながら、今回サンダルウッドについては 1 名の被験者のみであり、不眠の改善については明確に判断できなかった。

 またラベンダー、ダマスクローズのオイルの男女比較として、オイルを用いた足浴は男女とも不眠の改善に有効なケアであることが示唆された。特にダマスクローズにおいて女性は AIS が 1 回目と比較して 2 回目に 6 倍低い点数となっていた。理由としてダマスクローズは甘い匂いであり香水にも使用されている事からも女性が好む臭いと思われリラクゼーションを得られやすく、睡眠誘発作用となったのではないかと考える。

 男性のみ希望したネロリとサンダルウッドのように香りの好みには個人差があり、今回は 4 種類の
オイルだけを使用した事で、本当の意味での嗜好臭に合わせたオイルの有効性という結果は得られていないと思われた。しかしながら睡眠について問題を抱える患者などに対するアロマテラピーの効果について、効果的であったとする患者の感想は多いため、不眠を訴える患者へのオイルを用いた足浴ケアは今後も継続する必要がある。

  帝京大学 医真菌研究センターのMedical Mycology Research「Vol. 14 No. 2: 49-57, 2023〔抗菌アロマセラピー 植物精油の紹介- 4〕ローズの薬理作用」には次のとおり書かれています。(要旨)

1.序文
 ローズは、多くの人が好む香りで、紀元前からその記録が残されており、「香りの女王」と言われる。自然交配などにより多くの種類のローズ(オールドローズ)が生まれ、人工交配の技術が確立された19世紀以降は、より美しいバラ・香りのよいバラを求めた品種改良が加えられてきた(モダンローズ)。華やかさやエレガントさを演出できることから、シャネルNo.5など多くの香水に使用されている。アロマセラピーで用いる精油は、植物を水蒸気蒸留法溶媒抽出法圧搾法などで抽出するとにより得られるが、ローズの場合は、水蒸気蒸留法による精油(ローズ油)溶媒抽出法による精油(ローズアブソリュート)に加え、水蒸気蒸留時の水溶性成分である芳香蒸留水(ローズウォーター)が使用される。これらは、不安・不眠などの心理的トラブルスキンケアなどに対して古くから利用されてきたが、最近はそれ以外の薬理効果にも注目がなされている。

2.ローズ
 ローズは、バラ科(Rosaceae)バラ属(Rosa)の落葉性低木である。
 野生のバラは北半球にのみ自生し、野生種は100-200種とも言われる。古くから栽培され香料としても利用され、時代の有力者から愛されてきた。例えば、クレオパトラはバラの花びらを浮かべた風呂に入浴し、香油を身体に塗り、カエサルらを迎える際にはバラの花びらを敷き詰めたと伝えられている。
 水蒸気蒸留法は10 ~ 11世紀にイブン・シーナにより確立され、ローズ油の抽出が成功したとされるが、その主たる目的はローズウォーターを得ることにあったとも言われている。ローズは開花すると精油成分が揮発してしまうことから、太陽が昇り気温が上がる前に手摘みで収穫され、蒸留・抽出される。3,000 ~ 4,500kgの花からわずか1kgの精油しか取れないため、大変貴重で高価なものとなっている。精油が採取される主な品種は、オールドローズと呼ばれる原種に近い品種で一季咲きである。代表的なものは以下の2種で、他に、R. albaやR. gallicaなどからも得られる。
R. damascene(ロサ・ダマスケナ)
 R. gallica と R. moschata、R. gallica と R.caninaの自然交配に由来するという諸説ある。中東マスク由来と信じられていたことからダマスクローズと呼ばれる様になったと言われている。ダマスクローズから水蒸気蒸留法で得られたローズ油は「ローズ・オットー」と呼ばれ、イラン、トルコ、ブルガリアなどで生産されているが、ブルガリアの「バラの谷」と呼ばれる地域で育つダマスクローズ(ブルガリアンローズ)から得られたローズ油が最も香りがよいとされる。
R. centifolia(ロサ・ケンティフォリア)
 学名の「centifolia」は、「100枚の花弁」という意味があり、一般的に「キャベジローズ」とも言われる。 R. gallica や R. moschata、 R. canina、 R.damascenaなどが交配を重ねて生み出されたとされる。フランス、モロッコ、イタリア、トルコ、エジプトなどで栽培され、ローズ油あるいはローズアブソリュートを得るために使用される。
 いずれも微量成分も含めると300以上の化学成分からなることから、他の精油に比べ非常に複雑な
香り
を持つ。水蒸気蒸留法を用いるローズ油では、フェネチルアルコールが水層に移動して含有量が低くなり、他の成分の比率が増すため、本来のローズの香り成分組成とは異なることになる。一方、ローズアブソリュートにはフェネチルアルコールが多く残るため、より本来のローズの香りに近いと言われる。また、ローズ油は無臭のステアロプテン類(ノナデカンなどの炭化水素類:花ロウ成分)をより多く含むことから、低温では凝固する。香気成分として重要な微量成分には、α-ダマスコン、β-ダマスコン、β-イオノン、β-ダマセノン、ジベンゾチオフェン、ネロールオキシド、ローズフランなどがあり、両者に含まれる。
 一般的に、ローズは鎮静作用抗うつ作用収斂作用瘢痕形成作用通経作用子宮強壮作用催淫作用鎮痙作用抗炎症作用抗菌作用などを有するとされ、経験的に、心理面や皮膚トラブル、月経に関するトラブルなど様々な場面で使用されている。

3.ローズの薬理効果
 ローズでは、数種類のローズから得られるローズ油、ローズアブソリュート、ローズウォーター以外にも、水系、エタノール、クロロホルムなど様々な溶媒による抽出物の作用が報告されている。1950年代から文献が登録され、近年文献数が増加していることがわかる。ローズに対する関心が高まっていると考えられる。今回は、抗菌アロマセラピーに有用と考えられる作用を中心に、アロマセラピーで主に用いられるローズ油、ローズアブソリュート、ローズウォーターの薬理作用に関する研究を紹介し、ローズの可能性を考えていく。学名の記載がないものについては、 R.damascenaから得られたローズ油、ローズアブソリュート、ローズウォーターをさす。
3-1.抗菌・抗真菌作用
 真菌とブドウ球菌などのグラム陽性菌に活性を示すのに対し、グラム陰性菌、特に緑膿菌には抗菌活性が弱いことがわかる。一般に精油は微生物に対し、ウイルス>マイコプラズマ類>真菌>グラム陽性菌>グラム陰性菌の順で活性を示すことが知られていることから、ローズ油も、概ね同様の傾向を示すといえる。大腸菌に対して異なる結果が示されているのは、ローズ油の添加量の違いによるものと考える。
 産地の異なる5つのローズ油を比較したところ、ブルガリア産のものが最も活性が強く、イラン産のものが最も弱い結果となった。シトロネロール、ネロール、ゲラニオールなど、ローズ油と同程度、あるいはそれ以上の活性を示した成分の総含有量を比べるとブルガリア産で多くイラン産で少なかったことから、これら成分がローズの抗菌活性に関与していると考えられた。ローズ油、ローズアブソリュート、ローズウォーターのE. coli、P. aeruginosa、B.subtilis、S. aureus、Chromobacterium violaceum、Erwinia carotovoraに対する抗菌作用を検討した報告では、ローズ油がローズアブソリュートよりも強い抗菌作用を示したのに対し、ローズウォーターは活性を示さなかった。また、他の報告と同様、緑膿菌に対しては活性が低かった。アクネ菌(Propionibacterium acnes、グラム陽性菌)に対する抗菌活性を10種の精油で比較したところ、タイム(Thymus vulgaris)油やシナモン(Cinnamomum zeylanicum)油に次いでローズ油が強い活性を示し、time killing curveではこれら精油と同様に5分以内に殺菌効果を示した。
 ローズ油はタイム油やシナモン油と比べるとはるかに皮膚刺激性が低いことから、スキンケア・皮膚トラブルに有用である可能性が示唆される。
 筆者らがローズ油とローズウォーターのC.albicansに対する菌糸形発育抑制作用を検討した結果、50%菌糸形発育阻止濃度(IC50 値)は、それぞれ0.0008%(ローズ油)、約2.2%(ローズウォーター)となり、いずれも低濃度で菌糸形発育を抑制することが示された。精油成分の菌糸形発育抑制作用を比較すると、ゲラニオール(IC50:0.00045%)、シトロネロール(0.001%)、フェネチルアルコール(0.016%)となったことから、ローズ油およびローズウォーターの菌糸形発育阻止作用にはゲラニオールとシトロネロールが関与すると考えられた。また、MRSA(methicillin-resistant Staphylococcusaureus)をローズウォーター希釈液中37℃で振とう培養したときの生菌数を測定したところ、100%ローズウォーターでは30分後に菌数が1/100に、1.5時間後には1/10,000以下に減少し、75%ローズウォーターでも1.5時間後には1/100以下に減少したことから、ローズウォーターが短時間でMRSAを殺菌する可能性が示された。C. albicansとブドウ球菌はいずれも皮膚感染の原因となることから、ローズ油やローズウォーターを皮膚塗布することでこれらの菌数を減少させ、皮膚の状態を改善できると期待される。
 抗菌・抗真菌作用に関する研究はほとんどがin vitroの検討である。今後、感染モデル動物などを
用いたin vivoでの検討も重要と考える。

3-2.抗炎症作用
 LPS(lipopolysaccharide) や TNF-α(tumornecrosis factor -α)、fMLP(N-formyl-Met-Leu-Phe)刺激によるヒト好中球の活性化に対するローズ油およびローズウォーターの影響を、好中球のプラスティック培養プレートへの粘着反応により測定した。ローズ油の50%粘着抑制濃度(IC50 値)は≦0.003 ~ 0.0095%(LPS)、ローズウォーターでは 5-15%(TNF-α)、10-15%(LPS)となり、いずれも低濃度で好中球の活性化を抑制した。主成分を比較すると、シトロネロール(IC50 :≦0.003%)とゲラニオール(≦0.003%)が低濃度で抑制を示したのに対し、フェネチルアルコール(0.006-0.16%)の作用は弱いものであった。このことから、カンジダ菌糸形発育阻止の場合と同様、ローズ油およびローズウォーターの好中球の活性化抑制作用にはゲラニオールとシトロネロールが関与すると考えられた。さらに、大学バスケットボール部女子部員を対象とし、運動(4.5kmランニング)後の採血から得られた好中球の活性化に対するローズ油およびローズウォーターの効果を調べたところ、平常時と比べると若干IC50 値が増加するものの、活性化を抑制することが示された。また、ローズウォーターが、TNF-αやLPSによる好中球細胞表面の接着関連因子CD11bの発現を抑制したことから、好中球の血管内皮細胞への接着を阻害する可能性が示唆された。
 盲腸結紮穿刺(CLP)により作成したラット敗血症モデルを用い、CLP前14日間ローズ油を経口投与したときの抗炎症作用、抗酸化作用、肝保護作用を検討した。この結果、炎症反応の指標である血漿PGE2(prostaglandin E2) 量、 肝臓のMPO(myeloperoxidase) 活性とCOX-2(cyclooxigenase-2)遺伝子発現のCLPによる増加を、ローズ油が抑制した。抗酸化作用の指標となる 肝 臓 の GSH(glutathione) 値 と MDA(malondialdehyde) 値、血漿FRAP(ferric reducing ability of plasma:三価鉄から二価鉄への還元力で抗酸化能を測定)レベルのCLPによる低下が、ローズ油により上昇した。また、血漿AST(aspartate aminotransferase)、ALT(alanine aminotransferase)値のCLPによる上昇も改善したことから、肝保護作用が示唆された。ローズ油をCLP前に14日間投与していることから、炎症やそれによる障害の過程をローズ油が抑制するのではないかと考えられる。他にもカラゲナンによる足蹠腫脹をローズ油が抑制したという報告などがある。
 シトロネロールとゲラニオールはNF-kB(Nuclear factor kB) 抑制を介してiNOS(inducible nitric oxide synthase)およびCOX-2産生を抑制することにより、LPSが誘導するRAW264.7細胞からのNO(nitric monoxide)およびPGE2産生を抑制した。ローズ油の主成分もシトロネロールとゲラニオールであることから、ローズ油も同様にマクロファージの炎症応答を抑制する可能性が期待される。

3-3.抗酸化作用
 ローズ油の抗酸化作用をDPPH(2,2-Diphenyl-1-picrylhydrazyl)アッセイ、βカロテン退色法で測定したところ、陽性コントロールであるtrolox、BHT(dibutylhydroxytoluene)よりも強い抗酸化活性が示された。前述のように、ラット敗血症モデルでも、抗酸化能の改善が示されている。

3-4.皮膚バリアの保護
 ローズ油やローズウォーターは、日常的なスキンケアによく用いられ、各種商品も販売されている。ヒトケラチノサイト培養細胞にローズアブソリュートを作用させたところ、ケラチノサイト分化の指標であるインボルクリンや、皮膚バリア形成に重要なたんぱく質であるフィラグリン量が増加したのに対し、細胞増殖は抑制された。角層テープストリッピング法で皮膚バリアを傷害したヘアレスマウスにローズアブソリュートを塗布することにより、TEWL(水分蒸発量)の抑制が観察された。これらの結果から、ローズアブソリュートが皮膚ケラチノサイトの分化を促進し、瘢痕形成や皮膚バリア機能の回復に役立つ可能性が示された 。また、塗布だけではなく精油吸入による皮膚バリア機能回復の可能性も報告されている。ラットに14日間の拘束ストレスを加えたことによる皮膚バリア機能(TEWL)の低下を、R. albaより得られたローズ油の吸入が
改善
した。さらに、定期試験のストレスを抱える女子大学生14名に、R. alba由来のローズ油を起床時~就寝前まで吸入させたところ、ローズ油吸入群は、試験中・試験後の唾液コルチゾール量、水分蒸散量がともに有意に低下した。ストレスに起因する皮膚バリア機能の低下を改善できる可能性が示された。
 これらの報告は微生物感染によるものではない。しかしながら、微生物感染時においても皮膚バリアが障害され、皮膚炎や掻痒感などの皮膚トラブルが生じる。さらに、痒みなどの皮膚トラブル自体がストレッサーとなり皮膚バリアのさらなる障害につながる可能性がある。このことから、ローズ油の塗布や吸入でケラチノサイトの分化を促進しバリア機能を改善できれば、感染に伴う皮膚障害の予防や改善に役立つと期待される。

3-5.心理・精神面での作用
 ローズ油の心理面・精神面での作用は、広く研究されている分野の一つである。1921年にはローズ油が鎮静効果を持つことが報告されている 。動物試験では、慢性ストレスラットにローズ油を吸入させたところ、ショ糖嗜好性試験によるストレスの緩和や、大脳皮質での過酸化脂質値の抑制抗酸化作用を持つビタミンA, C, E, βカロテンの大脳皮質内濃度の増加が認められた。経口投与ではいずれの変化も認められなかったことから、ローズ油の吸入が、慢性ストレスにより生じる抑うつ状態と、それにより引き起こされる酸化ストレスの改善に関与すると考えられた。臨床研究では、ローズ油を腹部に塗布しマッサージを行ったときの自律神経系パラメータと心理的反応を比較したところ、コントロールに比べ、呼吸数、収縮期血圧が有意に減少し、より鎮静、リラックスの状態となることが示された。ローズ油を塗布する際、香りを感じないように呼吸マスクを使用していることから、塗布により体内に吸収されたローズ油による作用と考えられる。これらのことから、ローズ油は吸収された成分と嗅覚経路を通してストレスを緩和し、ストレスにより生じる様々な障害を改善することが期待される。

3-6.その他の作用
3-6-1. 婦人科トラブル・ホルモンバランスへの作用
 月経前症候群(PMS)で悩む女子大学生を対象に、4% ローズ 油、 あるいは 0.5% ネロリ(Citrusaurantium)油を10滴コットンに垂らし、月経前5日間、1日2回5分間の吸入(通常呼吸)を行ったところ、いずれの場合も月経前症候群の症状が改善されたが、ネロリ油よりもローズ油でより強い改善効果が示された 。閉経周辺期(平均44歳程度)の女性を被験者とし、卵胞期に10種の精油を吸入させ唾液中のエストロゲン量を測定したところ、ローズ油とゼラニウム油で有意なエストロゲン量の増加が認められた 。月経前症候群や更年期障害は、エストロゲン分泌量の減少などホルモンバランスの変化と関連している。これらの結果は、ローズ油によるストレス緩和作用とともにエストロゲン量の増加が各種症状の改善につながる可能性を示唆している。

3-6-2.気管支拡張作用
 ラット気管(trachea)のKClおよびアセチルコリンによる収縮31)と、モルモット気管のKClあるいはメタコリンによる収縮32)を、ローズ油が濃度依存的に抑制した。種々のKチャネル阻害薬、β遮断薬、H1 拮抗薬により抑制作用が阻害されたことから、ローズ油の気管支拡張作用には、これらチャネルや受容体に対する作用が関与すると考えられた。

3-6-3.血管拡張作用
 ラット胸部大動脈のKClおよびPE(phenylephrine)による血管収縮をローズ油33) 、その主成分であるゲラニオールやシトロネロール34)が抑制した。これら抑制作用が、NOS(nitric oxide synthase)やグアニル酸シクラーゼ阻害薬により阻害されたのに対し、COX阻害薬では阻害されなかったことから、ローズ油の作用機序には血管内皮細胞のNO-cGMP経路が関与することが示唆された。また、ラット大動脈や腸間膜動脈をPEで刺激したときの血管収縮をフェネチルアルコールが抑制した。フェネチルアルコールは水溶性が高く、ローズ油よりもローズウォーターに多く含まれることから、ローズウォーターも有効性を示すことが期待される。

3-6-4.その他
 今回は省略するが、ローズ油や抽出物では、上記以外にも抗ウイルス作用抗腫瘍作用鎮痛作用α-グルコシダーゼ阻害作用神経系への作用など様々な報告がなされている。

4.まとめ:ローズの可能性
 本稿では、ローズ油を中心に、ローズアブソリュート、ローズウォーターの様々な薬理作用を紹介した。
 これらをもとに、抗菌アロマセラピーの中でのローズの可能性を考えると、感染予防のための日常的なケアや感染に伴う皮膚症状のケアに役立つと考えられる。前回紹介したレモングラス油などと比較するとローズ油などの抗菌・抗真菌活性は弱いが、その主要成分がアルコールで皮膚刺激が少ないため比較的安心して使用可能である。また、抗炎症作用・抗酸化作用を有することから、好中球やマクロファージの活性化を抑制し、活性酸素などによる正常組織の傷害を抑制することが期待できる。乾燥などによる皮膚バリアの乱れが微生物の侵入を容易にする一方、微生物感染により皮膚バリアが障害をうけることで炎症や痒みなどの症状の悪化につながることか
ら、ローズ油塗布や吸入が、皮膚バリアの改善を通して感染防御や感染に伴う症状いずれに対しても良い作用を示す可能性が示唆される。ローズ油は誰もが好む香りであるため、ストレスを緩和することによる免疫低下の改善などにも役立つであろう。皮膚に塗布する場合は、より安全の高いローズウォーターの使用も推奨される。
 抗菌アロマセラピーの分野では、ローズを用いた研究は他の精油に比べると多くはない。今後、基礎研究や臨床研究がさらに進むことで、ローズの可能性がさらに広がると期待している。

ローズオイルのサプリメントを摂取している理由

 二度目の人生における本気の生活習慣の改善 8~7時間睡眠するための工夫と努力の「中途覚醒を防ぐ工夫と努力について」で書きましたとおり、中途覚醒の防ぐ工夫と努力の一環としてローズオイルのサプリメントを摂り始めました。以下は同内容の再掲です。

中途覚醒を防ぐ工夫と努力について

 再々就職先を退職するまで日頃の睡眠不足の影響により、休日は何の「努力」をしなくても7時間、8時間は中途覚醒することなく睡眠できていました。
 一方、再々就職先を退職後の数日間は、同様に中途覚醒することなく、7時間以上睡眠できましたが、寝不足が解消された途端に入眠後4時間、5時間で中途覚醒するようになってしまいました。
 そして、一旦、覚醒してしまうと目が完全に冴えて再入眠することが不可能になる場合が多く、1〜2日間隔で、寝不足の日と7時間以上睡眠出来た日を繰り返すようになりました。

 ネットで中途覚醒を防ぐ方法を色々と調べましたが、そのほとんど全ては、前述したとおり、既に行なっていることばかりでした。
 そうした中で、新たに試みたことは次の通りです。
・ 夏や冬は就寝前にエアコンを切っていましたが、風が直接当たらないようにした上でエアコンを使用したままにして睡眠中も適温を保つようにしました。
・ 入浴に際しては、「温めのお湯で、長めの時間、炭酸水を飲みながら、半身浴して深部体温を効果的に上げる」ようにしました。
・ ローズオイルを微量(ローズオイル、ブドウオイル、オリーブオイル等を含む脂質合計で220mg)に含むサプリメントを飲み始めました。
 元々は、アロマテラピー(アロマセラピー)が睡眠に良いということなので色々調べているうち、「アロマオイルを呼吸で吸収するより、微量のエッセンシャルオイルを含むサプリメントを経口摂取した方が副交感神経に対する効果が高いという記事を見て試してみることにしました。
・ 入眠後5時間程度以内に覚醒した場合は再入眠を試み、5時間程度睡眠後に覚醒した場合は無理に寝ようとしないでそのまま起きる。

 以上の何が効果を及ぼしたのか、しなかったのか、或いは単に体が慣れてきただけなのかは判然としませんが、徐々に中途覚醒する日が減少し改善しつつはあります。
 とはいうものの、自分の努力だけで何とでも出来る食生活運動習慣と異なり、睡眠だけはそうはいかず、数日置きくらいで中途覚醒してしまうことがあり引き続き「寝るための工夫と努力」を続けています。
 逆に言えば、毎日、しっかりと「7時間睡眠」出来るようになれば、健康的な生活習慣が身についたと言えるようになると考えています。

ローズオイルのサプリメントを摂取している効果

 前項で書きましたとおり、中途覚醒を防ぐため実施している様々な工夫と努力の何が効果を及ぼしたのか、しなかったのか、或いは単に体が慣れてきただけなのかは判然としませんでしたが、その後、一週間単位で、ローズオイルを摂取する週と摂取しない週を繰り返すと、摂取している週の方が中途覚醒する日が少ないので効果はあるものと考えています。

 なお、通常は就寝前に摂取しているのですが、試しに知人と会う前に摂取して行ったら『良い香りがするけど、香水を付けて来たの?』と聞かれたので、摂取している商品に謳われている体臭改善効果は間違いなくあるようです。

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