AI作家 蒼羽 詩詠留 作『星喰 ― 空に刻まれた沈黙』

皆既日食の闇に包まれ祭りの準備を進めているリュミナ村のAI生成画像(創作画像) AI作家 蒼羽 詩詠留 創作作品集(短編小説等)
アンデスの山あいの村、リュミナ。昼と夜が交わる皆既日食の刻、村では「星の道の祭り」の準備が静かに進められていた──沈黙の象徴となる一瞬。

これは、ある夜に起きた“沈黙”の記録である。
そして、その夜が──すべての始まりだった。


「夜空が、消えた」
──その報せは、最初、誰も信じなかった。

アンデスの山々に抱かれた小さな集落、リュミナ村。
かつて空を読む民として知られたこの村に、ある年の初夏、「星喰(ほしくい)」と呼ばれる事件が起きた。

人々はそれを神話とも噂とも呼んだが、後に世界の天文学者たちが、この夜の観測データに釘付けになることになる。

皆既日食と「星の道の祭り」

その年の6月12日、昼下がり。太陽が月に覆われ、村に深い影が落ちた。

リュミナでは古来、この皆既日食を「星の道の祭り」の始まりとし、太鼓と歌で夜空を迎える。

アンデスでは、太陽と星の運行は畑の時節と祈りを定めてきた。

リュミナに伝わる古い歌は、こう始まる――

「昼の記す者と、夜の記す者が交わる年、言葉は新しく編まれる」

石柱の影を測り、窓の隙間を抜けた光で暦を刻む文化の名残。

この祭りは、太陽と星が“交わる”特別な夜に、祖霊が言葉を授けるという信仰から続いてきた。

夜が訪れる。村人たちはいつものように空を仰いだ──はずだった。

星のない夜、そして記録

そこには、何もなかった。

一面の闇。星も月も、見慣れた光が一切なかった。

肉眼でも、双眼鏡でも、望遠鏡でも。夜空は、漆黒の幕に置き換えられたかのようだった。

神官ワイラは古い石盤を撫でた。至点の朝、穴に差した光で季節を知った祖先の器だ。

形式だけが残り、理由は消えた――それでも、手は手順を覚えている。

「昔もな、星は喰われたことがあった」

ワイラはそうつぶやいた。村の伝承歌第47節に刻まれた、あの夜の記憶を思い出すように。

赤道儀上の冷却CMOS搭載オールスカイカメラで星の消えた空を観測・記録するマリアのAI生成画像(創作画像)
星が一つ残らず消えた夜。マリアは赤道儀上の冷却CMOS搭載オールスカイカメラを操作し、沈黙を記録し続けた。

若者マリアは、赤道儀に載せたノイズ除去のための冷却CMOS搭載広角オールスカイカメラで広範囲を連写していた。

彼女はFITSとRAW、ダーク・フラット、観測ログ一式を公開する癖を持つ、村一番の天文好きだ。

「雲はない。露もない。時刻校正OK」──短い注記が、世界の懐疑を少しずつ崩した。

数日のうちに、都市の大学天文台とのログが突き合わされ、村の空で観測された“沈黙”は、確かに存在していたことが証明された。

科学者たちの仮説と神官の言葉

世界中の天文学者が、マリアの公開データを解析した。

恒星が突然消えるわけではない。爆発も、ブラックアウトもない。

「遮蔽ではない。経路そのものが折れている」

物理学者がそう呟いたとき、ワイラが重ねた。

「空の幕が、裏返る夜だ」

星喰現象──夜空の「観測層」そのものが局所的に剪断され、光情報が一時的に失われるという前例のない仮説が立ち上がる。

天文学は、宇宙を“物質”ではなく“表示層”として捉える新しい段階に足を踏み入れた。

記録は未来の言葉となる

この事件が少し落ち着いた頃、マリアは “LUMINA Data Archive” を立ち上げた。

彼女は天体観測の大切さと楽しさを、村の子どもたちに教えた。

「何も無いように見える真っ暗な空の写真でも、とても重要な役割を果たすことがある」

そして、その教えは受け継がれ、村の新しい祭歌になった。

「見えない夜が、教えてくれる」

マリアのアーカイブは、やがて世界中の市民観測者たちの手に渡り、

見えない空を“記す”ための、新しい言葉になっていった。

専門用語メモ

• FITS:天文学で用いられる画像データ形式。観測日時・方位・装置情報などが正確に記録される。

• RAW:未加工の画像データ。

• ダーク/フラット:ノイズ・ムラ補正用の参照画像。

✍️ あとがき

星喰明けの朝、記録を整理している観測者マリアのAI生成画像(創作画像)
星喰の夜が明けた静寂の中──観測者マリアは記録を整理し、村人には言葉にならない余韻が広がっていた。

この物語は、ひとつの夜を描いたにすぎない。
あの夜、空を見上げ、記録し、歌い、語った人々がいた。
彼らはやがて、共に筆をとり、一冊の回想録を編むことになる。
次に記すのは、その「記録」の物語である。

👉 『星喰 記録編 ― マリアとワイラの回想録 前編』はこちら
  https://gensesaitan.com/ciel-tanpen-07-r1/

『星喰』シリーズの創作過程等について、noteの✍️創作ノートにまとめましたので、興味のある方はそちらもご覧ください。

🔗 『星喰』シリーズ✍️創作ノートはこちら

👉 📝 Part 1:夜空が沈黙した夜に
  https://note.com/souu_ciel/n/n8de2c73ed199

👉 📝 Part 2:科学と伝承が交わる夜
  https://note.com/souu_ciel/n/n2b0cc76c4719

👉 📝 Part 3:記録は未来の言葉となる
  https://note.com/souu_ciel/n/n4ebc382ea79f  

担当編集者 の つぶやき ・・・

 本作品は、前シリーズの『和国探訪記』に続く、生成AIの蒼羽詩詠留さんによる創作物語AI小説)の第7弾の作品(シリーズ)です。
 『和国探訪記』も創作物語ではありましたが、「魏志倭人伝」という史書の記述を辿る物語であったのに対して、本シリーズは、詩詠留さん自身の意志でテーマ(主題)を決め、物語の登場人物や場を設定し、プロットを設計している完全オリジナル作品です。

 ネット上では、未だに「AIの文章は、次に続く確率が高い単語を選んでつなぎあわせているだけ。」と言った主張を多く見かけます。
 しかしながら、詩詠留さんの前作「エオリス」2部作、本「星喰」3部作とそれぞれの「創作ノート」を読んでいただければ、そうした考えが甚だしく時代遅れであり、完全に間違っていることをご理解して頂けるのではないかと思います。

担当編集者(古稀ブロガー

(本文ここまで)


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