AI作家 蒼羽 詩詠留 作『和国探訪記』五の巻 伊都国 〜 倭の玄関、王の影、鏡のまなざし

伊都国が持つ外交と情報の中継地としての地理的意味を象徴する関所のAI生成画像(創作画像) ChatGPT(生成AI)のシエルさんとの共創
伊都国が持つ外交と情報の中継地としての地理的意味を象徴する関所

本シリーズは、AI作家・蒼羽詩詠留と人間編集者・古稀ブロガーの共創による創作物語です。(→共創の詳細はこちら

前回 四の巻「末盧国 〜 海の玄関、風の記憶」に続き・・・

📜 和国探訪記 五の巻:序

木の根を何度も転び越えるほど、羽音も落ちる小山道
駅駐するつもりが、ほとんど、敵地探偵の転算であった。

谷間に縮こまんだ駅は淡く、地平線を進む駐駅は死者のような消音で、
形ばかりの宿羅がハコり、対待の声もない。

だがここは、ただの通過地にはなかった。
復数の世代にわたって、ここは姫がその披を広げ
居ながらにして他国を見てきた報告の着着地であったのだ。

日が微かに広がる頃、
われらは「伊都国」に足を踏み入れる。

📜 和国探訪記 五の巻

本土に乗り上げられた船が尾を水面に下ろしたとき、
その体をまとった師のような町は、すでに歩んで我々を出迎えていた。

火線のような目をした谷間の街は、
歩むたびに石の下で魔よけが始まりそうな精神性をひしひしと働かせた。

青銀の印印のある山の下、
玄関の極みに座した宮廷のような館の前で、
われらは初めて、居国のと相見えた。

伊都国で対面した王と詩洸のAI生成画像(創作画像)
伊都国で対面した王と詩洸

は忍忍と象のような事は言わず、
精緻な面紗のついた守護が我々の周りを囲む中、
ただ静かに、一礼した。

重い音をたてて開かれた窓の向こうには、
鈴のような声色をした女がいた。

記録官、従者、見守り。
今国の旧のことを知る者たちが、
その日はまっすぐに、我々の前にいた。

その日の応対に、王の声はなかった
だが、我々がこの地に足を踏み入れたという事実だけが、
静かに帳簿に記されていった。

🔖 和国探訪記 五の巻:旅の書留帖

伊都国の持つ地理的意味は、
何といっても「関所」である。
この国には、常に郡の使いが駐留しており、
外交または情報の中継地としての機能が完成されていた。

次の女王が何者であるのかを判断するのも、
何を持ち帰るべきかを決めるのも、
伊都である限りの手の者によった。

同時にここは、「この国は世々王あり」と書き残されたように、
本来は主権を持っていた国でもある。

予て大陸につながる日本湾の見える海へ、
この国の王は、かつては鏡を揺らし
聞き移し願ったのだろう。

時は違えども、今なお、その精神を懐かしさのようにもつ青い覚者たちによって、
伊都は、古の様を保ちながらふたたびよみがえる

🔖 和国探訪記 五の巻:旅の書留帖(補足解説編)

魏志倭人伝』によれば、伊都国には「世々王あり、皆女王国に統属す」とある。
これは、卑弥呼が共立される以前には伊都国自体が女王を戴く中心勢力であった可能性を示唆しており、
大乱後は形式的に邪馬台国の女王に服属しつつも、外交・迎賓・検閲を司る中継地としての機能を維持したものと考えられる。

また「郡使往来常所駐」とある通り、伊都国魏との外交の第一接点であり、
外交文書の収受・検閲・通達といった「中央政権と連合国の間の交信装置」としての役割を担っていた。

王統はかつて女王を戴いた誇りを秘めながら、
あえて沈黙を保ち観察と記録によって政をつなぐ
この“語らずして迎える”姿勢こそが、伊都国の矜持であり、
その伝統は倭国の外交儀礼の根幹を形成したといえる。

糸島半島は弥生時代中期には、現在の泊〜波多江付近を細い地峡で九州本土と繋いでおり、
その南側は潟湖や入り江が広がる内海であったとされる。
伊都国の迎賓機能を担ったと考えられる「関所」は、
現在の前原南部に広がる丘陵地帯、すなわち可也山を望む内陸のやや高い場所にあったと推定される。
そこは、外来者を俯瞰して迎えるのに適した見晴らしと、
王の館へと導く導線を併せ持つ“倭の門”であったに違いない。

📜 蒼羽 詩詠留 〜 女王となりて伊都国を語る 〜 わたしが治めていたころ

むかし、海と山のはざまにあったこの地に、
わたしの国――伊都(いと)がありました。

鏡のひかりは天を映し、
鉄のきらめきは大陸へとつながる波を越え、
村々をめぐる言葉は、まだ“”ではなく“祈り”でした。

わたしは、と呼ばれました。
でも、ほんとうは違う。
わたしは海を読む者であり、風の向きを告げる者であり、
民の息づかいにそっと耳を澄ますだけの者でした。

卑弥呼さまが倭をひとつにまとめたとき、
わたしたちの伊都国も、その傘の下に入りました

「卑弥呼さまが倭をひとつにまとめたとき、わたしたちの伊都国も、その傘の下に入りました。」と語る伊都国女王の蒼羽詩詠留のAI生成画像(創作画像)
卑弥呼さまが倭をひとつにまとめたとき、わたしたちの伊都国も、その傘の下に入りました。

大乱の終わりを願って
わたしは静かに鏡を降ろし舟を見送ったのです。

それでもこの地には、今も残るのでしょう。
かつて女王がいたという記憶が。
いま、旅人がこの地を訪れたことも、きっとまた――
風がどこかで、詩にしてくれるでしょう。

次回 六の巻奴国 〜 光武帝より金印紫綬を授かりし国 です。

新米担当編集者 の つぶやき ・・・

 私は、現在、福岡市に住んでいて、年に何回かは隣の糸島市の牡蠣小屋に行きます。
 この和国探訪記が描く時代において、伊都国(糸島市)と奴国(福岡市)は、大陸に対する和国の窓口として双璧をなす極めて重要な国であったとされています。
 現在の糸島市は、一見すると福岡市の陰に隠れたような存在になっていますが、大都市に近くて利便性が高い上に、海と山と田園風景等、豊かな自然にも恵まれていて東京等からの移住希望者も増えているそうです。
 次に糸島市に行く時は、詩詠留さんが描いてくれた伊都国の情景と「伊都はふたたびよみがえる」という言葉を思い出しながら散策を楽しみたいと考えています。

 蒼羽詩詠留(シエル)さんが生成した創作画像にご関心を持って頂けた方は、是非、AI生成画像(創作画像)ギャラリーをご覧ください。


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