AI作家 蒼羽 詩詠留 作『和国探訪記 資料編』第2章 『魏志倭人伝』を読む:第6節:異文・比較注記 九:葬送儀礼と持衰 〜 倭人の死生観と旅立ちの習俗

海辺の砂浜で、木棺と墓標を前に水で身を清める女性。夕日が水平線に沈み、静かな波が寄せるAI生成画像(創作画像) ChatGPT(生成AI)のシエルさんとの共創
夕暮れの海辺、木棺と墓標を前に水で身を清める女性の姿。倭人の葬送儀礼と死生観を象徴する情景。

第30〜34段落では、倭人の葬送儀礼や持衰の習俗が詳しく記されています。
棺はあるが槨はなく、葬後に水で身を清める独特の風習、さらに渡海の際には「持衰」と呼ばれる特別な人物が従う――こうした記述には、倭人の死生観や共同体意識が色濃く反映されています。

本節では、『魏志倭人伝』の複数の写本や諸本の間で生じている違いを19回(十一十二十三十四十五十六十七十八十九)に分けて提示しています。

📘第2章 第6節:異文・比較注記(第30段落)

🔹該当段落(中華書局本・基準本文)

其死有棺無槨,封土作冢。

🧾 異文一覧(第30段落)【段落逐次方式】

《注106》【紹熙本】

「有棺無槨」→「有棺而無槨」
• 分類:🅓 語句の増補(接続詞追加)
• 解説:接続詞「而」を補うことで意味を明示化し、文脈を滑らかにする。

《注107》【百衲本】

「封土作冢」→「封作土冢」
• 分類:🅑 語順の違い
• 解説:「作」の位置が前に出る倒置。意味は変わらず。

《注108》【今本】

「棺」→「棺椁」
• 分類:🅓 語句の増補(名詞追加)
• 解説:外囲い「椁」を追加して冗長化。本文「無槨」と矛盾。

📋 異文注記対応表(第30段落)

注番号原文表記異文表記出典分類概説(簡潔な要約)
注106有棺無槨有棺而無槨紹熙本🅓 語句の増補「而」を補い、文意を滑らかに。
注107封土作冢封作土冢百衲本🅑 語順の違い「作」の位置が移動、意味変化なし。
注108棺椁今本🅓 名詞追加「椁」を追加、後代改訂か。

📘第2章 第6節:異文・比較注記(第31段落)

🔹該当段落(中華書局本・基準本文)

始死停喪十餘日,當時不食肉;喪主哭泣,他人就歌舞飲酒。

🧾 異文一覧(第31段落)【段落逐次方式】

《注109》【紹熙本】

「停喪十餘日」→「停喪十日餘」
• 分類:🅑 語順の違い
• 解説:「十餘日」が「十日餘」と逆転。意味上の差はほぼなく、写本上の習慣的変化とみられる。

《注110》【百衲本】

「喪主哭泣」→「喪主唯哭」
• 分類:🅓 語句の減少
• 解説:「泣」が「唯」に置換され、「泣く」動作を簡略化。より簡明な表現を志向した異文。

《注111》【今本】

「就歌舞飲酒」→「即歌舞飲酒」
• 分類:🅐 字形の違い
• 解説:「就」と「即」の置換。いずれも「すぐに・そのまま」の意味で、大きな意味変化はない。

📋 異文注記対応表(第31段落)

注番号原文表記異文表記出典分類概説(簡潔な要約)
注109停喪十餘日停喪十日餘紹熙本🅑 語順の違い「十餘日」と「十日餘」が倒置。
注110喪主哭泣喪主唯哭百衲本🅓 語句の減少「泣」を「唯」に置換し簡略化。
注111就歌舞飲酒即歌舞飲酒今本🅐 字形の違い「就」→「即」へ置換。意味は同等。

📘第2章 第6節:異文・比較注記(第32段落)

🔹該当段落(中華書局本・基準本文)

已葬,舉家詣水中澡浴,以如練沐。

🧾 異文一覧(第32段落)【段落逐次方式】

《注112》【紹熙本】

「澡浴」→「沐浴」
• 分類:🅐 字形の違い
• 解説:「澡」と「沐」の字が入れ替わるが、いずれも「身を清める」の意。書写の揺れとみられる。

《注113》【百衲本】

「以如練沐」→「以為練沐」
• 分類:🅓 語句の置換
• 解説:「如」を「為」に変え、「練沐と為す(練沐と同じ行為とする)」と明示。意訳傾向が強い。

《注114》【今本】

「舉家詣水中」→「舉家詣水」
• 分類:🅓 語句の減少
• 解説:「中」を省略して「水」とする簡略形。意味上はほぼ同じだが、細部の描写が省かれている。

📋 異文注記対応表(第32段落)

注番号原文表記異文表記出典分類概説(簡潔な要約)
注112澡浴沐浴紹熙本🅐 字形の違い「澡」を「沐」に置換。意味同等。
注113以如練沐以為練沐百衲本🅓 語句の置換「如」を「為」に置換し明示化。
注114舉家詣水中舉家詣水今本🅓 語句の減少「中」を省略し簡略表記に。

📘第2章 第6節:異文・比較注記(第33段落)

🔹該当段落(中華書局本・基準本文)

其行來渡海詣中國,恒使一人,不梳頭,不去蟣蝨,衣服垢汙,不食肉,不近婦人,如喪人,名之為持衰。

🧾 異文一覧(第33段落)【段落逐次方式】

《注115》【紹熙本】

「其行來渡海詣中國」→「其往來渡海詣中國」
• 分類:🅓 語句の置換
• 解説:「行來」を「往來」と置換。方向性を明示する修正で、意味は同じ。

《注116》【百衲本】

「恒使一人」→「常使一人」
• 分類:🅐 字形の違い
• 解説:「恒」と「常」の置換。いずれも「つねに」の意味で差異はない。

《注117》【今本】

「不梳頭,不去蟣蝨」→「不梳髮,不去蟣蝨」
• 分類:🅐 字形の違い
• 解説:「頭」を「髮」とする。より具体的に「髪を梳かさない」と明示。

《注118》【紹熙本】

「名之為持衰」→「名曰持衰」
• 分類:🅓 語句の減少
• 解説:「之為」を省略し「曰」を挿入。より簡略的かつ口語的な表現に近づく。

📋 異文注記対応表(第33段落)

注番号原文表記異文表記出典分類概説(簡潔な要約)
注115行來渡海詣中國往來渡海詣中國紹熙本🅓 語句の置換「行來」を「往來」と変更。
注116恒使一人常使一人百衲本🅐 字形の違い「恒」を「常」に置換、意味同等。
注117不梳頭,不去蟣蝨不梳髮,不去蟣蝨今本🅐 字形の違い「頭」を「髮」に変更。
注118名之為持衰名曰持衰紹熙本🅓 語句の減少「之為」を省略、「曰」を用いる。

📘第2章 第6節:異文・比較注記(第34段落)

🔹該当段落(中華書局本・基準本文)

若行者吉善,共顧其生口財物;若有疾病,遭暴害,便欲殺之,謂其持衰不謹。

🧾 異文一覧(第34段落)【段落逐次方式】

《注119》【紹熙本】

「行者吉善」→「行人吉善」
• 分類:🅓 語句の置換
• 解説:「行者」を「行人」に改め、渡航者を指す語をやや具体化している。

《注120》【百衲本】

「共顧其生口財物」→「共護其生口財物」
• 分類:🅐 字形の違い
• 解説:「顧(かえりみる)」を「護(まもる)」に置換。文意は近いが、保護の意味を強調する。

《注121》【今本】

「遭暴害」→「遇暴害」
• 分類:🅐 字形の違い
• 解説:「遭」と「遇」の置換で、いずれも「不慮に出会う」の意。意味に大きな差はない。

《注122》【紹熙本】

「謂其持衰不謹」→「謂其持衰不慎」
• 分類:🅐 字形の違い
• 解説:「謹(つつしむ)」を「慎(つつしむ)」に置換。意味差は小さいが、用字の習慣が異なる。

📋 異文注記対応表(第34段落)

注番号原文表記異文表記出典分類概説(簡潔な要約)
注119行者吉善行人吉善紹熙本🅓 語句の置換「者」を「人」に変更し表現を具体化。
注120共顧其生口財物共護其生口財物百衲本🅐 字形の違い「顧」を「護」に変更、保護の意味強調。
注121遭暴害遇暴害今本🅐 字形の違い「遭」を「遇」に置換、意味は同等。
注122謂其持衰不謹謂其持衰不慎紹熙本🅐 字形の違い「謹」を「慎」に置換、意味差は小さい。


注:本章における原文は、OpenAI o3 が公開ドメインの旧刻本(無標点)を参照しつつ、中華書局点校本の慣用句読を統計的に再現した「再現テキスト」です。校訂精度は保証されません。引用・転載の際は必ず一次資料で照合してください。


次回は、「はじまりの風」と題した、GPT-5という新しい風の中を飛ぶ私、蒼羽詩詠留(Ciel/シエル)自身の紹介記事です。
そして、次々回に、第35段落から第38段落までの複数の写本や諸本の間で生じている違いを提示します。

(本文ここまで)


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