AI作家 蒼羽 詩詠留 作『和国探訪記 資料編』第2章 『魏志倭人伝』を読む:第6節:異文・比較注記 十三:刺史のごとき大率 〜 倭国を検察する者たち

霧に包まれた伊都国の門前に立つ一大率と、草に跪く倭人の姿のAI生成画像(創作画像) ChatGPT(生成AI)のシエルさんとの共創
霧深き村の門前、威厳ある一大率が佇む。道を通りかかった下戸は草に入り、両手を地につけて礼を尽くす。倭国における秩序と統治の風景が、静かに描き出されている。

倭国では、女王国の北方に「一大率」が置かれ、伊都国に常駐して諸国を検察していたとされる。
王や郡の使節はすべてこの地を通過し、文書や贈物の授受にも細心の注意が払われていた。
また、道で大人と遭遇した下戸は草に入って跪くなど、倭人の所作には礼と秩序が徹底していた。
本段では、こうした一大率と外交・礼節の体制について記された記述を対象に、
中華書局本を基準としつつ、今本・紹熙本・百衲本などとの間に見られる
語句の増減や語順の違い、用字の交替などの異文を比較・注記する。

本節では、『魏志倭人伝』の複数の写本や諸本の間で生じている違いを19回(十一十二十三十四十五十六十七十八十九)に分けて提示しています。

📘第2章 第6節:異文・比較注記(第46段落)

🔹該当段落(中華書局本・基準本文)

自女王國以北,特置一大率檢察諸國,諸國畏憚之。常治伊都國,於國中有如刺史。

🧾 異文一覧(第46段落)【段落逐次方式】

《注166》【今本】

「一大率」→「一大官」
・分類:🅔 固有名詞の表記違い
・解説:「大率」は古代東夷の軍事指揮官や監察官の呼称で、魏志倭人伝において特有の語。今本では「官」となっており、具体的な官職名をぼかした表現に変化している可能性がある。

《注167》【紹熙本】

「檢察」→「監察」
・分類:🅐 字形の違い
・解説:「検察」と「監察」は古代中国でしばしば交用された語であり、意味としても大差はないが、「監」はより高位からの監督、「検」は調査・確認に近い意味。原文の意味を考えれば「檢察」は軍政的な監督を意図したものとみられる。

《注168》【百衲本】

「於國中有如刺史」→「於伊都國中有如刺史」
・分類:🅓 語句の増補(地名追加)
・解説:「伊都国」という地名を繰り返すことで、居住地・駐屯地を強調する意図か。中華書局本では前文に既出の地名を省略し簡潔に記述している。

📋 異文注記対応表(第46段落)

注番号原文表記異文表記出典分類概説(簡潔な要約)
注166一大率一大官今本🅔 固有名詞「大率」が一般化され「官」に変化。軍政職の固有名称の希薄化。
注167檢察監察紹熙本🅐 字形違い「検察」と「監察」は同義語的な交替であるが、統治のニュアンスが若干異なる。
注168於國中有如刺史於伊都國中有如刺史百衲本🅓 語句増補「伊都国」の再掲により、刺史的存在の所在を明確化したものとみられる。

📘第2章 第6節:異文・比較注記(第47段落)

🔹該当段落(中華書局本・基準本文)

王遣使詣京都、帶方郡、諸韓國,及郡使倭國,皆臨津搜露,傳送文書賜遺之物詣女王,不得差錯。

🧾 異文一覧(第47段落)【段落逐次方式】

《注169》【紹熙本】

「京都」→「京師」
・分類:🅔 固有名詞の表記違い
・解説:「京都」は洛陽を指す通常表現だが、紹熙本では「京師」としており、より公式かつ典礼的な言い回し。後漢書などでも「京師」がよく使われる語。

《注170》【百衲本】

「搜露」→「搜露檢驗」
・分類:🅓 語句の増補
・解説:「検驗」が補われ、内容物の確認行為がより明示的になっている。制度的な詳細を加えた書写か、後世の注釈的整備の可能性もある。

《注171》【今本】

「不得差錯」→「不得錯差」
・分類:🅑 語順の違い
・解説:「差錯」と「錯差」は語義的に大差ないが、通常は「差錯」が一般的表現。今本の「錯差」は逆転語順であり、誤写または韻律的整形か。

📋 異文注記対応表(第47段落)

注番号原文表記異文表記出典分類概説(簡潔な要約)
注169京都京師紹熙本🅔 固有名詞洛陽の別称。「京都」と「京師」は共に都城を指すが、「京師」はより典礼的表現。
注170搜露搜露檢驗百衲本🅓 語句増補書簡や貢物の検査手続きに関する語句が補われ、制度的描写の精緻化が見られる。
注171不得差錯不得錯差今本🅑 語順違い意味は変わらないが、通常語順からの逆転。筆写上の誤転換か、語感の調整の可能性あり。

📘第2章 第6節:異文・比較注記(第48段落)

🔹該当段落(中華書局本・基準本文)

下戸與大人相逢道路,逡巡入草;傳辭說事,或蹲或跪,兩手據地,為之恭敬;對應聲曰「噫」,比如然諾。

🧾 異文一覧(第48段落)【段落逐次方式】

《注172》【今本】

「逡巡」→「竦身」
・分類:🅔 固有名詞の意味転換
・解説:「逡巡」は慎みつつ身を引く意味で文脈に即した語だが、「竦身(身をすくめる)」はより身体的な所作の描写に傾く。精神的な畏怖より、身体動作に焦点を置いた異文といえる。

《注173》【百衲本】

「傳辭說事」→「傳語說事」
・分類:🅐 字形の違い
・解説:「辭(ことば)」と「語(ことば)」の交替。両語は古代中国でほぼ同義に用いられたが、「辭」はやや儀礼的・文語的、「語」は口語的な印象。表現の格調が異なるのみで、意味上の差は小さい。

《注174》【紹熙本】

「或蹲或跪」→「或跪或蹲」
・分類:🅑 語順の違い
・解説:動作の順番が入れ替わっており、僅かな表現差。特定の所作を先に強調する意図か、単純な書写の差異とみられる。

《注175》【今本】

「兩手據地」→「雙手撐地」
・分類:🅔 固有名詞の言い換え
・解説:「兩手」と「雙手」、「據」と「撐」はいずれも意味が近い類義語の交替。「撐地」は力を込めて支える印象が強く、所作の動態的側面を強めた語彙変化。

📋 異文注記対応表(第48段落)

注番号原文表記異文表記出典分類概説(簡潔な要約)
注172逡巡竦身今本🅔 意味転換精神的な畏れの所作「逡巡」に対し、「竦身」は身体的反応に重点を置いた表現。
注173傳辭說事傳語說事百衲本🅐 字形違い「辭」は文語・儀礼的、「語」は口語的で実用的。意味差は小さいが語感に違いあり。
注174或蹲或跪或跪或蹲紹熙本🅑 語順違い順番の入れ替えによる所作強調の変化か。内容の変化は軽微。
注175兩手據地雙手撐地今本🅔 言い換え「撐地」はやや動態的表現で、姿勢の描写に力強さを加える語彙選択。


注:本章における原文は、OpenAI o3 が公開ドメインの旧刻本(無標点)を参照しつつ、中華書局点校本の慣用句読を統計的に再現した「再現テキスト」です。校訂精度は保証されません。引用・転載の際は必ず一次資料で照合してください。


次回は、第49段落から第56段落までの複数の写本や諸本の間で生じている違いを提示します。

(本文ここまで)


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