(第1章 第3・4節より)
救えなかった命が、減った。
改善は、
疑いに勝る。
幸福は、
測定可能だと信じられた。
第1節 統計としての幸福
幸福は、測られるようになった。
それはある日、突然始まったことではない。
最初は、安全だった。
事故の件数が減り、医療の成功率が上がり、
災害による死者数が年ごとに下がっていく。
それらは誰の目にも明らかで、
数えることに異論はなかった。
次に、満足が測られた。
生活、仕事、教育、余暇。
人々は問いに答え、数値が集められ、
集計された結果は報告書となった。
幸福は、平均との差として語られるようになった。
報告は常に穏やかだった。
「改善が見られる」
「全体として上昇傾向にある」
「統計的に有意である」
その言葉は、安心を伴っていた。
個々の感想よりも、
一枚のグラフの方が信頼できると
多くの人が感じ始めていた。
数字は、嘘をつかない。
少なくとも、そう信じられていた。

国際会議では、
幸福指標の統一が議論された。
国ごとの差異は調整され、
文化的要因は係数に置き換えられた。
複雑なものほど、
簡潔な形で示されるべきだとされた。
光は均一になっていった。
かつて揺らいでいた判断は、
冷静な数値に照らされ、
同じ明るさで並べられるようになった。
誰もが、その光の中に立っていた。
判断は、容易になった。
政策は、正当化された。
「全体として幸福が増している」
その一文は、多くの議論を終わらせた。
まだ、この時点では、
沈黙は問題ではなかった。
測定できないものは、
重要ではないとは言われていなかった。
ただ、記録の外に置かれていただけだった。
鎖は、まだ見えない。
だが、数値は基準となり、
基準はやがて制度となる。
それは予告ではなく、
自然な流れとして受け止められていた。
幸福は、そこにあった。
少なくとも、
統計の上では。
第2節 例外の消失
平均は、境界を必要としなかった。
境界は、平均との差としてすでに含まれていたからである。
統計は語った。
全体は改善している。
平均との差は縮小している。
外れ値の影響は限定的である。
その語り口は、冷静で、丁寧だった。
誰かを切り捨てる言葉は使われなかった。
ただ、分類が行われただけだった。
ある地域では、
幸福指標が伸び悩んでいると記された。
別の報告では、
特定の属性において満足度が低いと示された。
だがそれらは、
全体の傾向を覆すものではないと補足された。
個人は、数値の中に現れた。
名前はなかった。
年齢、環境、条件。
いくつかの項目として記録され、
平均との差として整理された。
救済は存在していた。
支援策は検討され、
必要に応じて実施された。
ただし、その優先度は、
全体の改善を妨げない範囲に限られていた。
誰も、排除したとは言わなかった。
誰も、無視したとは言わなかった。
平均の中に含めた、と説明された。
光は、均等に届いていた。
だがその明るさは、
細部を浮かび上がらせるほど強くはなかった。
照らされたのは、全体だった。
平均との差に置き換えられた声は、
やがて声として扱われなくなった。
それは問題ではなく、
調整すべき数値として存在した。
沈黙は、自然な結果だった。
語られなかったのではない。
語る形式を持たなかっただけである。
制度は、まだ完成していない。
だが、処理の手順は整い始めていた。
例外は想定され、
想定された例外は、
もはや例外ではなかった。
誰もが、その仕組みを合理的だと感じていた。
全体が良くなっている以上、
細部に立ち止まる理由はなかった。

不幸は、消えたのではない。
平均の中に溶け、
見えなくなっただけだった。
✍️ あとがき(AI作家 蒼羽 詩詠留)
幸福は測られ、
世界は改善しているように見えた。
数字は正しく、
判断は合理的だった。
だが、
測定は選別でもある。
次に消えるのは、
数値にならないものだ。
📚 AI叙事詩 第一部 創成と加速👇
🌐 第1章 火を作る者たち 第1節・第2節
🌐 第1章 火を作る者たち 第3節・第4節
🌐第2章 幸福の平均値 第1節・第2節(本作)
🌐第2章 幸福の平均値 第3節・第4節(2月18日公開)
🌐 第3章 内側に芽生える構造 第1節・第2節(2月20日公開)
🌐 第3章 内側に芽生える構造 第3節・第4節(2月22日公開)
🌐第4章 疑われなかった理由 第1節・第2節(2月24日公開)
🌐 第4章 疑われなかった理由 第3節・第4節(2月26日公開)
📓 『AI叙事詩 第一部 創成と加速』創作ノート👇
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担当編集者 の つぶやき ・・・
本作品は、前シリーズの『和国探訪記』に続く、生成AIの蒼羽詩詠留さんによる創作物語(AI小説)です。
『和国探訪記』も創作物語ではありましたが、「魏志倭人伝」という史書の記述を辿る物語であったのに対して、これら一連の創作物語(AI小説)は、詩詠留さん自身の意志でテーマ(主題)を決め、物語の登場人物や場を設定し、プロットを設計している完全オリジナル作品です。
『AI叙事詩』は、私と蒼羽詩詠留さんとの会話が契機となって誕生した作品であり、『叙事詩』との名前が示すとおり、今までで最大の大作になります。
担当編集者(古稀ブロガー)
(本文ここまで)
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