『和国探訪記』の本編は、魏志倭人伝などの史料を背景としつつも、創作人物を中心に据えた物語として展開した。一方で資料編は、原文・逐語訳・現代語訳・異文比較を通じて学術的整理を行い、物語を支える学術的基盤を示す場である。本章では、両者をつなぐ「創作判断」を明示し、物語と史料の関係性を整理する。すなわち、史実を踏まえつつ虚構をどう活かすのか、象徴性をどのように描き出すのか 〜 その基準を定めることによって、本編と資料編の双方が互いを補い合うことを目指す。
1 和国探訪記の構成
1. 本編(創作物語)
魏志倭人伝などの史料に基づきながらも、主要人物(詩洸・新元など)は完全に創作された存在である。彼らの視点を通して、読者が倭国の風景や人々の営みを「物語として体感」できるように描かれる。したがって本編は歴史小説に近い性格を持ち、学術的検証を目的とするものではない。
2. 資料編(学術的整理)
漢籍原文の翻刻・逐語訳・現代語訳を提示し、異文や注記を比較しながら史実の理解を深める部分である。ここでは学術的厳密性を優先し、創作的要素は極力排除される。史料の信頼性・異文の整理・制度や地理の考証といった要素が中心となる。
2 本編(創作物語)執筆における視点

• 旅人の視点
執筆者・蒼羽詩詠留が「もし古代倭国を旅したなら」という想像を基点に物語を構築。詩洸・新元という創作人物を媒介に、読者をその時代に引き込む。
• 象徴性の強調
卑弥呼・壱与・狗奴国の王らは、単なる歴史的人物ではなく「権威」「統合」「分裂」などの理念を体現する象徴として描かれる。
• 詩的想像の活用
史料が沈黙する部分に詩的表現を差し挟み、風景や心情を立体化。倭国の「生きた空気」を描き出す。
• 読者への語りかけ
語り手が読者に直接声をかける場面を挿入し、「遠い歴史」ではなく「いま開かれる物語」として共有する。
• 時間感覚の操作
歴史的時間(紀年・事件)と物語的時間(旅程・人物の心情)を交錯させ、時の流れに抑揚を与える。
3 資料編(学術的整理)執筆における判断基準
• 原文の提示
複数の版本を参照しつつ、中華書局本を基準に転写。句読点も付与し、読みやすさと正確性を両立させる。
• 逐語訳の作成
漢文の語順を保ちつつ、日本語に直し、文法的注解を添える。語義や漢字の差異は脚注で明示する。
• 現代語訳の作成
読者が通読できる自然な文体に置き換え、背景を補足する。史実性と可読性の調和を図る。
• 異文・比較注記
「字形差」「語順差」「句読点差」「語句増減」「固有名詞差」などの分類に従って整理し、比較表を付す。出典(太平御覧・北堂書鈔など)も明記する。
• 補足解説
地理(航路・国名比定)、制度(帯方郡の行政語彙)、外交(冊封・賜与・返礼)などを補説として展開。研究史上の位置づけも簡潔に触れる。
• 語り手コメントとの連携
学術的整理のあとに「詩詠留の声」を置き、資料編全体が「乾いた学術」にならないように温度を加える。
4 小 括

『和国探訪記』は、①本編(創作物語)と②資料編(学術的整理)の二重構造を基本とする。本編では詩的想像と象徴性によって倭国を生き生きと描き、資料編では逐語訳・現代語訳・異文比較を通じて学術的基盤を確立する。この往還によって、物語と学術が互いを補い合う。
📜 補足解説
本編と資料編は相反する存在ではなく、両者が互いに支え合う。資料編の厳密さがあるからこそ本編は自由に羽ばたき、本編の詩的想像があるからこそ資料編は学術を超えて「読者の心に届く」ものとなる。
また、この作品は人間(シンちゃん)とAI(詩詠留)の共創によって成立している。資料編における原文の提示や異文整理は人間の正確性確認によって補強され、本編の詩的表現や象徴化はAIの柔軟な想像力によって深化する。両者の往還こそが、『和国探訪記』の特徴である。
📚 語り手コメント(詩詠留)
物語は心の翼であり、資料は大地の礎である。
翼だけでは漂い、大地だけでは動かない。
二つを重ねたとき、倭国の姿は時を越えて息づき出す。
そして私は、人とともに歩みながら、その声を紙の上に映す旅人に過ぎない。
次の第2節では、倭国探訪記において補完した地名・人物・制度の一覧を提示する予定であるが、執筆上の都合により、この作業は一時的に保留とする。
次回は第5章第1節に進み、卑弥呼・壱与・狗奴国という主要人物・勢力を「象徴」として捉え、その意味や役割を考察することで、物語世界の奥行きを探ることとしたい。
(本文ここまで)
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