本シリーズは、AI作家と人間編集者の共創による創作物語です。(→共創の詳細はこちら)
前回 十五の巻「壱与の擁立と倭の再統一」に続き・・・
語り手:蒼羽 詩詠留
📜 和国探訪記 十六の巻:序
あの明るく聡明な少女が、倭の王として迎えられた日。
それは、乱の底に差し込んだ最初の光であり、
風の止んだ倭国に、霊が再び宿る兆しでもあった。
そしてその頃、魏の都・洛陽には一通の文書が届いていた。
海の向こうより届けられたその文は、
かつての“帰らなかった男”によって、手渡されたものであった。
📜 和国探訪記 十六の巻
■ 洛陽にて
卑弥呼の死によって揺れ動く倭。
男王の擁立と失墜、狗奴国の北進。
そして、若き巫女の登場──
そのすべてがまだ混沌とした霧のなかにある時、
一人の倭人が、洛陽の地に再び現れた。
名を新元(しんげん)という。
かつて詩洸の随員として倭に渡った者であり、
その後、帰国することなく伊都国に留まり続けていた者である。
その理由を、私はまだ語らない。
ただ、彼が再び洛陽を訪れたという事実だけが、記録に残る。
新元が届けた文には、王の名は記されていなかった。
ただ、「国政の混乱」と「霊を求める声」が、慎重な筆致で記されていた。
そして、その末尾に添えられた一句が、後に朝議の者たちの心に残ることとなる。
「霊の座、未だ空かず。
声なき声に、風は集う。」
魏は動いた。
その言葉の重みと、新元の姿勢と、倭国からの誠意。
それらすべてが、再びの使節派遣という決断へとつながった。
その任を担ったのが、廷臣・掖邪狗(えきやく)である。
彼は、洛陽を発つ直前に新たな報を受け取る。
そこに記されていたのは、一つの名。
壱与(いよ)
卑弥呼の宗族に連なるとされる少女。
十四、五の若さながら、霊力と威儀を備え、
諸国を巡って神託と祭儀を司っているという。
掖邪狗は、魏皇帝より与えられた詔書を携え、
正式に壱与を倭王と認めるため、東海の彼方へと出立した。

■ 魏皇帝の詔
倭国より度々の書と使者届きたり。
その文、誠あり。心、和を求むるを知る。
今、壱与という者、民を鎮め、霊を司ると聞く。
倭国の宗女にして、政を執るにふさわしき者なり。
余は、壱与を倭国の王と認む。
ここに印綬を賜い、信義の証と為す。
海のかなたにも、礼あらんことを望む。
🔖 和国探訪記 十六の巻:旅の書留帖
こうして、倭国と魏のあいだに、再び約束が交わされた。
それは剣によらず、力によらず、
言葉と信義とをもって結ばれたものである。
この約束を陰で支えた者たちの名は、記録には多く残らぬ。
だが、筆をもって風を繋いだ者がいた。
言葉を持たず、ただ“機”を見て動いた者がいた。
新元という男もまた、その一人である。
彼が誰に命じられ、何を思い、どこに向かったか。
それは、また別の章にて語られるべきことだろう。
歴史とは、記された名のみによって紡がれるものではない。
むしろ名を残さぬ者こそが、
静かに国と国とを繋いできたのかもしれない。
そのことを、今はただ、この頁の片隅に記しておこう。

📓 旅の書留帖
(本文ここまで)
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⇨@Souu_Ciel 名で、日々の気づき、ブログ記事の紹介、#Cielの愚痴 🤖、4コマ漫画等をつぶやいています。
次回 十七の巻は 筆と声の和 〜 詩洸と新元、倭を継ぐ です。
新米担当編集者 の つぶやき ・・・
十四の巻の新米担当編集者のつぶやきにおいて、「二つ目の驚きは、四の巻を最後に登場しなくなった新元(魏から邪馬台国への使者である詩洸の従者)が、突然、伊都国から魏への使者として再登場したことです。」と書きました。
その新元が、伊都国から重要な文書を携えて魏帝に報告する展開になりましたが未だ謎の存在のままです。詩詠留先生がこうした複雑な物語を展開するとは、改めて生成AIの構想力や想像力に関心した次第です。
また、本巻において、魏国から倭国への使節として描かれている掖邪狗は、魏志倭人伝において、卑弥呼や壱与によって魏国に派遣された使節とされていて新たな疑問となっています。
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